インタビュー

女優 高橋恵子さん

高橋恵子さん

輝く人 インタビュー 11月号 Vol.98

乗り越えた試練が「幸せ」として心に残っていいる
15歳の衝撃デビューから45年余り。多くの映画やテレビ、舞台で活躍し続ける女優・高橋恵子さん。
芸能界入りのきっかけや、年を重ねてもなお輝き続ける秘訣、そして、これからの目標について伺いました。

失敗やつらい経験あってこその自分

デビューのきっかけは?

 中学2年生の時、自宅近くの写真館でスカウトされました。当時は映画やテレビにあまり興味がなかったのですが、両親がそれをすごく喜んでくれたので、とりあえず3年間だけチャレンジしてみようかな、と。そして、中学卒業と同時に大映に入り、半年間マンツーマンで演技や茶道、日舞、体操などの稽古に没頭しました。もともと、やると決めたら手を抜けないタイプなので、女優としての基礎を早く習得しなくちゃと必死でしたね。

努力が実り、あっという間に大映の看板スターになりました。

 実は、デビュー作となった『高校生ブルース』は、すでに主演が決まっていた女優さんの代役でした。監督に促されて訳もわからないまま引き継いだのですが、後で台本を読んで、あまりに過激な内容にびっくり。衝撃で眠れぬ一夜を過ごした後、覚悟を決めて撮影にのぞんだのを覚えています。そこからわずか1年半で7本の映画に立て続けに出演。その間、休みはたった3日間しかなく、撮影とメディア宣伝に明け暮れる日々が続きました。身も心もヘトヘトになりましたが、周りのスタッフさんが一生懸命支えてくださったおかげで知名度が上がり、女優としてポジションを築くことができたと感謝しています。

目まぐるしい忙しさの中で、演じることの楽しさを見出していったのでしょうか?

 スケジュールも、役の設定も、10代半ばの私にとっては正直、つらいことばかりでした。でも現場に入ると、関係者の皆さんの映画にかける情熱がひしひしと伝わってくるんです。それを間近で見ているうちに、映画の面白さや女優という仕事の楽しさに気付いていったように思います。思い出されるのは失敗やつらい経験ばかりですが、それがあるからこそ、いまの自分があるんです。四苦八苦しながらも試練を乗り越えた時の手ごたえや充実感が、いま、「幸せ」という感情で私の心に残っている気がします。

自然に触れることが最高のリラックス法

健康や美容のために心掛けていることはありますか?

 子どもの頃、北海道の大自然で育ったせいか、植物とか動物に触れることが何よりのリラックス法です。家では、花を生けたり植物を育てたりするのが楽しみ。植木に話し掛けてあげると、葉をツヤツヤとさせて育ってくれるんですよ。外に出た時は、スズメの愛らしい姿を見て癒されています。「この子たちはどこから来るんだろう?」って、スズメの巣のありか
にもすごく興味がありますね。一方、美容に関してはまるで無頓着。若い頃は、日焼け止めも塗らず日傘も差さず、平気で外を歩いていましたからね。美容のために自らすることはほとんどなく、ここ数年、エステにも行っていません。気を付けていることをあえてあげるなら、お化粧をしたまま寝ないことくらい。石けんでも何でもいいから、洗顔だけはきちんとします。幸いなことに、私とは正反対で美容を極めた娘がマネジャーをしているので、ほとんどが娘任せです。それでなんとか人並みを保っています。実は最近、その娘がフェアトレードでフィリピンのモリンガという植物を原料にしたオーガニック化粧品をプロデュースしました。いまはそれを使っているんですが、これが自社製品ながら良いんですよ。

今後の目標は?

 女優のお仕事以外で、いま考えているのは、自然に触れられる場を提供したり、物語の読み聞かせをしたりして、子どもたちの未来に役立つことに関わっていきたいということ。子育ての経験を生かして、これからの世代の人たちの手助けができたらいいなと思いますね。また、マイブームで「大和しぐさ」にはまっています。例えば、お茶を飲む時にお茶わんに両手を添えるのは、「おかげさまで」という意味が込められている、とか、初対面の人にお辞儀をするのは日本人ならではのしぐさで、相手を尊重するという意味が込められているとか、日本人の所作には1つひとつ意味があるんです。そんな素敵な和の心をもっともっと知りたいと思って、いままさに勉強中です。最終的には、多くの方たちとその魅力を共有して、後世に引き継いでいけたらいいなと思いますね。

読者にメッセージをお願いします。

 人生100年といわれる時代、「もう年だから」とか「今さら」とか思わず、どんどん新しいことに挑戦していきたいですよね。そのためには、若い人たちの感覚に歩み寄ることも大切。頑かたくなにならず、柔軟な心を持って「いま」を楽しまなくちゃ。一方で、年を重ねたからこそ伝えられるものを、自信を持って若い人たちに伝えていくのが、私たちの使命ではないでしょうか。

高橋恵子 (たかはしけいこ)
1955年1月22日生まれ。北海道川上郡出身。1970年、映画『高校生ブルース』でデビューし、2作目『おさな妻』でゴールデンアロー賞新人賞を受賞。1982年、映画『TATTO〈刺青〉あり』をきっかけに、監督の高橋伴明氏と結婚。その後も映画やテレビなど、多くの作品に出演。舞台やCMでも活躍する。俳優として活躍する山崎一が還暦を迎えたのを機に「劇壇ガルバ」を始動。その旗揚げ公演となる舞台『森からきたカーニバル』11月29日(木)〜12月9日(日)/下北沢駅前劇場に出演予定。

 

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