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こちら西新宿税理士よろず相談奮闘記【81】家族の想いをつなぐ相談「線の承継」

線の承継

相続した財産を子どもが浪費しないか、うまく活用できるのか……こうした悩みを解決するのが「線の承継」です。家族の想いをつなげる財産の承継を目指して、今月は「家族信託」のお話です。
 毎週月曜日に弊社にて開かれる無料法律税務相談所。この誌面でも多くの方々のご相談を取り上げてきました。
 ●所得税や相続税を節税したい。
 ●財産の相続税評価額を引き下げたい。
 ●効率的な贈与がしたい。
 ●優遇税制を知りたい。
 こうしたお悩みには税務的観点から有効な策を提示することにより、その解決を得ていました。
 しかし、税務的観点からすると非常に効果のあるプランでも、いざ売買や贈与によって次世代に承継させようとすると、躊躇(ちゅうちょ)なさるご相談者が多いのも事実です。お話をよくよく伺うと……
 ●贈与によって子どもが怠けたり浪費したりしないか。
 ●承継させた財産を子どもがうまく管理運用できるのか。
 ●もし先に子どもが亡くなってしまったら、子どもの配偶者とうまくやっていけるのか。
といったご心配をなさっているようです。
 こうしたお悩みの解決策として有効に機能するのが「家族信託」です(なお家族信託を用いても、財産に係る課税負担に変わりはありません)。 
信託による承継とは

「点の承継」とは?

 従来の承継方法といえば、「贈与」や「相続」です。
 これらの場合、財産の所有権は承継の直前までは親にありますが、実行された直後に子どもへと移転します。
 例えば賃貸物件を贈与した場合、
 ●誰に貸すのか。
 ●いくらで貸すのか。
 ●その収入をどう使うか。
 ●物件を売ってしまうか。
 といったことは全て子どもが決めることになり、親は手を出すことができません。このように財産を承継すると同時に、財産に係る全権が親から子どもに移転するのが、「点の承継」です。
 それでも贈与を受けた子どもが親の意向をしっかりと汲み取り、贈与前と変わらず管理運営を続けるのであれば、承継の目的は達成されたといえるでしょう。
 しかし、必ずそうなると担保できないのが点の承継の弱点です。

「線の承継」とは?

 一方、承継の効果をしっかりと持たせながら、財産について親による支配を続けたり、親が思い描く承継後のかたちを事前に設計したりできるのが、「線の承継」です。
 承継の手法は、財産を信託することです(公正証書にて、その信託についてのルールを記載した信託契約書を作成します)。
 したがって子どもへ贈与するものは、信託の「受益権」になります。受益権はいうなれば、信託に係る財産の預り証券にすぎず、その受
益権に係る財産を実際に差配するのは、受託者である親になります。
 したがって、承継された財産(=信託されて受益権化された財産)の実入りは子どものものですが、その実入りを管理するのは親のため、親の財産に係る支配が引き続き継続することになります。
 例えば、信託財産が賃貸物件である場合、毎月の家賃収入は子どものものですが、賃貸借契約を締結し、家賃を信託用の口座で受け取り、その口座を管理し、修繕の計画を決定し、物件の譲渡を決断するのは親がすることになります。
 つまり受益権の承継では、承継の後も信託された財産を親が管理し続けることができ、場合によっては後戻りする(親へ所有権を戻す)こともできます。承継が終わった後も、長い間、親子がつながり続けるのです。これが線の承継です。
     * * *
 これまで無料法律税務相談所では、税務的見解によりさまざまなトラブルを防ぎ、また優遇税制が適用できるような環境を整えるプランをご提示してまいりました。この動きを有機的に機能させるための潤滑油が、家族信託となります。安心できる承継を進める上で、ぜひご検討なさってはいかがでしょうか。
 次回は、家族の想いをつなぐ線の承継についてさらに詳しくお伝えし、最終回としたいと思います。

伏木 栄太郎さん伏木栄太郎(ふせぎえいたろう)
新宿総合会計事務所 税理士
「お年寄りの味方」を合言葉にした税務相談は、高齢者にとって、丁寧でわかり易いと好評である。

ワンパック相続

 

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