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税務相談 こちら西新宿税理士よろず相談奮闘記【61】

相続税を払うために自宅や土地を売らなければならない。
そうした事態を避けるためにあるのが「小規模宅地等の減額制度」です。
高齢社会と関わりの深い改正点を、改めて確認しておきましょう。

 毎週月曜日に開く無料法律税務相談所。毎年この時期は暑さのせいか、ご相談件数は少なめです。そこで過去の相談内容を読み返していたところ、相続税の改正によって取り扱いが変更となった話題に多くの声が寄せられていることに気が付きました。その中から今月は「小規模宅地等の減額」制度における2つの論点を紹介したいと思います。
 優遇される金額が大きい反面、条件が多岐にわたっているこの制度は、適用間違いに注意し、いかに使いこなすかが申告作業では重要となってきます。

二世帯住宅では注意が必要

「小規模宅地等の減額制度」は、自宅の土地に多額の相続税をかけてしまうと生活の根拠を失いかねないため、『自宅の土地は330㎡まで、80%減額して評価してあげます』というものです。例えば土地の評価額が1億円だった場合、相続税の計算上での評価額は2000万円となり、8000万円分は課税対象にはなりません。
 ただし二世帯住宅の場合、平成25年12月31日以前は、この制度を適用するためには少し複雑でした。二世帯住宅の土地が、小規模宅地等の減額制度でいう「居住していた土地」とみなされるためには、お亡くなりになった方とその親族が「同居」していたと認められなければいけません。改正前は、建物内部で互いに行き来ができない構造の場合「同居」とは認められず、子ども世帯が住む部分に対応する土地は、この特例が原則適用できませんでした。したがって、この制度を受けるがために、無理やり内階段を作ったり、渡り廊下を通したりと、不毛な相続税対策も見受けられました。
 しかし改正によって、平成26年1月1日からは、建物の内部で行き来ができない構造であっても、親世帯と子ども世帯は「同居」しているとみなされ、その二世帯住宅の建つ土地全てが、小規模宅地等の減額制度の対象となりました。
 ただし、建物の登記には注意が必要です。親が建物全てを所有するのであれば問題ありませんが、例えば1階を父、2階を子、という区分所有登記の場合は、改正前と同様に「同居」とは認められません。これは、所有権を分けて建物内部で行き来ができない構造で別々に住んでいるとみなされ、同じ分譲マンション内で別々の部屋に住んでいること(例えば20階建のマンションの10階に親が住み15階に子が住むような状態)と何ら変わりがなく、二世帯住宅の概念におさまらないから、とみられています。
 建築資金を親子で負担した場合には、これに該当しないよう共有の登記を検討すべきでしょう。

老人ホーム等へ入居した場合、自宅の土地は? また高齢者施設へ入居した場合、それまで住んでいた自宅の土地の取扱いにも改正がありました。改正されるまでは、老人ホームなどに入居すると今まで住んでいた自宅の土地は、小規模宅地等の減額制度でいう「居住していた土地」とはみなさない、となっていました。国の見解は、入居とともに施設の所有権や終身利用権を取得するので、そちらが自宅となる、となっていたのです。
 この現実にそぐわない考え方が税制改正にて改められ、相続開始の直前に老人ホームなどへ入居してからお亡くなりになったとしても、以前に住んでいた自宅の土地も、小規模宅地等の減額制度が適用できるようになりました。ただし、本特例を受けるためには次の要件があります。

❶ 介護が必要なために、一定の老人ホーム等に入所した
❷ 相続開始の直前において、要介護認定または要支援認定を受けている
❸ 自宅を事業の用や、お亡くなりになった方以外の者の居住の用にしないこと

 なお、この改正は平成26年1月1日以後の相続について適用されます。

 また、新たに運用が始まった「空き家の譲渡所得の3000万円控除」(Vol.67参照)と、老人ホームなどへ入居した場合の「小規模宅地等の減額制度」を重複して適用を受けるためには条件が限定されそうです。これについては近く通達が発表される見通しですので、詳細がわかり次第、改めてとり上げていきます。
 

ワンパック相談

伏木栄太郎伏木栄太郎(ふせぎえいたろう)新宿総合会計事務所 税理士
「お年寄りの味方」を合言葉にした税務相談は、高齢者にとって、丁寧でわかり易いと好評である。

 

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