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取材/がん治療 鳥越俊太郎 「がんに負けない生き方」

鳥越俊太郎さん 「がんに負けない生き方」

4回のがん手術を乗り越えて語る
 鳥越俊太郎「がんに負けない生き方」

約10年前に大腸がんと診断され、4度の手術を経て復活を遂げたジャーナリスト・鳥越俊太郎さん。
鳥越さんが提案する「がんに負けない生き方」とは?
ご自身の体験談をもとに、6月10日に行われた特別講演をレポートします。

肺への転移でステージ4に

 ご存知の通り、がんは0期、1期、2期、3期、4期というステージに分けられ、進行しているほど数字が高くなります。各ステージはリンパ節への転移や、他の臓器への転移があるかなどで分別され、ステージが上がるほど治療後の5年生存率は低下していきます。だからといって「4期」=「末期がん」というわけではありません。今日は、大腸がんのステージ4だった私の経験談を交え、がんのこと、そして「がんに負けない生き方」についてお話ししましょう。
 2005年65歳のある日、トイレで赤黒い血が出ているのに気が付いた私は、すぐに大きな病院で精密検査を受けることにしました。結果は「大腸がん」。ある程度予想はしていたので、記録用にと病院の外にカメラマンを待たせていました。がんとわかった直後は意外と冷静で、カメラの前で明るく報告したのを覚えています。
その後、私は結果的に4回の手術を受けることになります。1回目の手術はがんとわかってから約1週間後のこと。内視鏡による腹腔鏡下切除術でがんを取り除き、ステージ2ということでした。術後の経過は極めて良好で、2週間弱で退院。手術直後から抗がん剤を服用しました。ところが1年半後の2007年1月、今度は肺に転移していることがわかりました。他臓器への転移、つまり私のがんはステージ4になってしまったのです。手術は無事に終わりましたが、その半年後には右の肺も手術(術後良性と判明)し、さらに2009年2月には肝臓に1.5㎝のがんが見つかりました。肝臓を70g切り取り、私のがんのストーリーはここで終わっています。

がんを叩き潰すのは免疫力

 ステージ4まで進んだのに、なぜ私は今でも生きているのか?と考えたとき、人間の体が持つ「免疫力」に尽きるのではないかと思います。
私は抗がん剤と併用して漢方薬を飲んでいました。東洋医学は生薬で免疫力を高める治療を行います。つまり私の免疫力は高い状態にあって、そのおかげで肺への転移もゆっくり進んでいったと考えています。皆さんは免疫力についてあまり考えたことはないかもしれませんが、これは非常に重要なことです。医者の話によると人には60兆個の細胞があり、日夜それらが細胞分裂を繰り返す中で、1日に2~3千個のがん細胞が生まれています。しかし若いうちはなぜがんになりにくいかというと、免疫力が働いてがんを全部叩き潰してくれるからです。ところが年を取ってくると免疫力が下がり、撃ち漏らしが出てしまう。だから高齢者にがんが多いのです。それらを踏まえれば、できるだけ免疫力を落とさない生活をおくることが大事になってきますよね。つまりバランスの良い食事、睡眠、運動を心掛け、生活の質をきちんと保つ。そして毎日を明るく前向きに、目標を持って、できるだけくよくよせずに生きる。なかでも一番効果的なのが「笑う」ということ。楽しくなくても意識して笑うのです。それが免疫力を高く保つ秘訣です。皆さんにも、できるだけ毎日笑って生きてほしいと思います。

がんの治療法は選択できる

余談になりますが、私は以前から事あるごとに戦争の悲惨さを訴えています。戦争のなかった戦後70年間はかけがえのないもの。生死の選択権がない戦争に比べれば、自分で治療法を選択できるがんは、決して怖いものではありません。私は5年生存率が17~18%といわれましたが、今でもこうして生きています。がんの告知を受けたからといって、必ずしも絶望することはないのです。がんの治療は手術、放射線、抗がん剤の3大療法が主流ですが、がんと人類との闘いは、徐々に人間の方が前進しています。おそらく1年ごとに、新たな手術方法や抗がん剤をはじめ、さまざまな新しい治療法が研究・開発されます。だから、もしがんになるなら、できるだけ先延ばしにした方がいい。そして免疫力を高めることを日々意識して、まだ見ぬがんに立ち向かって欲しいと思います。

鳥越俊太郎さん 「がんに負けない生き方」鳥越俊太郎さん 「がんに負けない生き方」鳥越俊太郎(とりごえしゅんたろう)
1940年3月13日生まれ。
京都大学文学部卒業後、毎日新聞社に入社。新潟支局、大阪社会部、東京社会部、「サンデー毎日」編集部に所属し、外信部(テヘラン特派員)を経て1988年4月「サンデー毎日」編集長。1989年退職。以降、テレビ朝日系列「ザ・スクープ」「サンデージャングル」でキャスターを務めるなど活動の場をテレビメディアに。2005年、ステージ4の大腸がんが発覚、肺や肝臓への転移を経て4度の手術を行った。2010年から始めたスポーツジムに加え2012年にはホノルルマラソン完走を果たすなど健康的なライフスタイルを貫いている。現在もさまざまなメディアで「ニュースの職人」として活躍中。

 

広がるがん治療の選択肢

 

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