あなたの声、マスク生活で弱っていませんか?健康寿命を縮める 「老け声」にご注意!

健康と美容

あなどれない「声の不調」「転倒」「誤嚥(ごえん)」リスクも

コロナ禍による外出自粛やマスク生活で人との会話が減り、声を出す機会が少なくなったことで、声が枯れる・声に張りがなくなるといった、声の異常を感じる人が増えているようです。
東京・赤坂にある山王病院の「東京ボイスセンター」には、声の異常に悩む患者さんが数多く訪れます。同センター長の渡邊雄介先生によると、「声がかすれる」「声の音域が狭くなる」「声が聞き取りにくいと指摘される」などの症状は、「声の老化」が考えられ、健康寿命にも悪影響をおよぼすと注意を呼びかけます。驚くことに、声の不調が「転倒」や「誤嚥性肺炎」のリスクを増大させるのだとか。
声帯周辺の筋肉を「声筋(こえきん)」と命名し、その重要性を発信し続ける渡邊先生に、声と健康寿命の関係や、張りのある声を出すための「声筋の鍛え方」について伺いました。

●お話を伺った方
渡邊雄介先生
山王病院国際医療福祉大学東京ボイスセンター長。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療など。テレビ出演多数。著書に「声の専門医だから知っている声筋のすごい力」(ワニブックス)など。新刊「マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい」(晶文社)

「老け声」はのどからのSOS
「声筋(こえきん)」の重要な役割を知ろう

何もないところで転ぶのは、「声筋」の衰えが原因かも?「老け声」のセルフチェックを試してみてください。

声帯のスムーズな開閉で力が入る!踏ん張れる!

のどを診る耳鼻咽喉科医は、全国に約1万人いるとされています。そのうち声だけを専門とする医師は、わずか100人ほどだそうです。著名な歌手や俳優の主治医として全幅の信頼を置かれ、まさに声のエキスパートといえる渡邊先生が指摘するのは、「のど」と「転倒」の密接な関係です。
「のどの役割は、「声を出す」「息をする」「(食べ物を)飲み込む」だけでなく、のどを閉じることで踏ん張る力を生み出します。重い物を持ち上げる際、無意識で一時的に息を止め、瞬間的にグッと力を入れる時がまさにそれです」
つまり、のどをしっかりと閉じられないと踏ん張ることができず、何もないところでの転倒などにつながるそうです。
そこで重要なのが、声帯周りの筋肉(声筋)です。この筋肉が老化などで衰えると、声帯の開閉が難しくなり、気管を隙間なく閉じることができずに「踏ん張る力がきかなくなる」「誤嚥(ごえん)を招く」といった影響が出るのだとか。
「声帯はのど仏の下辺りにある、わずか1㎝ほどの小さな筋肉です。私は声帯周りの筋肉を、わかりやすく「声筋」と名付けました。声がかすれるといった、いわゆる「老け声」は、息が無駄に漏れている・スムーズな呼気の流れが妨げられているなどのサインであり、「声筋」からのSOSです。
なにより、転倒による骨折などは寝たきりや認知症にもつながり、健康寿命を大きく脅かします。また、人の印象を決めるのは見た目の次に声のトーンといわれています。〝たかが声のかすれ〟と思わずに、今日からぜひ「声筋」を鍛えるトレーニングを始めてみてください。筋肉は何歳になってからでも鍛えられます。張りのある声で、これからの人生を元気にいきいきと過ごしてください」
まずは渡邊先生が教える「老け声セルフチェック」で、自身の声の状態を確認してみましょう。

声の専門医が教える!
「声筋(こえきん)」を鍛えて張りのある声を取り戻す方法

声帯をしっかりと閉じるためには筋トレが必要です。
とはいえ声帯周りの小さな筋肉=声筋を鍛えるには、どうすれば良いのでしょうか?

1年で1%ずつ減る筋肉

 人間の筋肉量は30代ごろをピークに、1年で1%ずつ減少していくといわれています。「声筋」も、使わなければあっという間に衰えてしまうと渡邊先生は指摘します。
「還暦も超えられた歌手の中には、年齢を重ねても張りのある声で活躍されている方が数多くいらっしゃいます。張りのある声を保っている職業として、僧侶や政治家の方たちも当てはまるように感じます。共通して言えるのは、普段から張りのある声を発する環境であること。そして、のど(声帯)に気を配っているであろうことです。私たちも例外ではなく、普段からあいさつや会話などで、張りのある声を意識して発することが大切です」
日常でできる声筋トレーニングを教えてもらいました。医療の現場で採用されている科学的根拠に基づいた方法です。

声筋トレーニング① 風呂カラオケ

湯船に浸かり、リラックスした状態で歌うだけです。コツは覚えているサビなどのパートを繰り返し歌うこと。環境によっては、口を閉じて行う「ハミング」(鼻歌)でもOKです。おすすめの歌はさまざまありますが、なかでも美空ひばりさんの曲。音域が幅広いので、声筋トレーニングに最適です。

声筋トレーニング② ストローぶくぶく法

グラスなどに少量の水を入れ、ストローの先端を水の浅いところに浸け、口元の方を噛まないように咥(くわ)えます。そのまま約5秒間、「ウー」と一息で声を出します。
これを1日に50回行います。慣れてきたら水の量を多めにして、深いところで「ウー」と声を出します。ストローは細いほど効果が出ますが、最初は太いストローから始めましょう。

グッド・ボイス グッド・ライフ!

コロナ禍で難しい状況と前置きしつつ、渡邊先生は言います。
「人間は社会的動物なので、他者とのコミュニケーションが必要不可欠です。可能な限り人と直接顔を合わせて、喜怒哀楽を共有してもらいたいです。声の異常には喉頭炎(こうとうえん)や声帯ポリープ、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)などの病気が隠れているケースもありますので、気になる場合は専門医がいる病院を受診しましょう。声帯の振動状態を観察するストロボスコープを備え、言語聴覚士が2名以上いる病院が理想です。良い声で良い人生をおくってください」
 

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