人と街、社会を支えるサポート・サービスロボット

インタビュー

ものづくりに応えるものづくり企業

 菊池製作所の技術は、私たちが日常手にしている携帯電話やデジタルカメラ、時計などの部品に活かされています。ほかにも、自動車や医療機器など、社会を支えるさまざまな製品の開発から試作、量産までを一括一貫で行っており、まさに「ものづくりに応えるものづくり」を実践する企業として、私たちの暮らしを支えている会社といえます。
1975年の創業当初は、板金加工や金型製作の下請けが中心だった同社。それがいまや、大手各社から開発パートナーとして支持され、産学連携によるロボット開発メーカーとしても注目されています。その仕事は産業用ドローンをはじめ、レストランで活躍する配膳ロボット、腰の負担を軽減するアシストスーツなど、働く人の健康維持をサポートするロボットにまで広がっています。
今回は、ロボットの進化とこれからの暮らしについて考えます。

【対 談】
菊池製作所代表取締役社長  菊池 功  ゴールデンライフ 総編集長  今井 敏義

菊池製作所の創業者として、78歳のいまも新しいことに挑戦し続ける菊池功氏と、今年74歳の本誌総編集長・今井が、日本のものづくりやロボットの未来について語り合います。
 

菊池 功(きくち いさお)
菊池製作所代表取締役社長
1943年、福島県飯館村出身。中学校卒業後に上京し、カメラの試作品会社に就職。27歳で独立し、東京都八王子市に菊池製作所を設立。2011年にジャスダック上場を果たし、10の工場と約350名の社員を抱える

今井 敏義(いまい としのり)
紅屋オフセット株式会社
代表取締役
ゴールデンライフ
総編集長

身近で活躍する配膳ロボット

【今井】昨年の暮れに家族でファミリーレストランに行った際、御社が開発した屋内汎用移動ロボットが料理を配膳してくれました。このご時世ということもあり、注文した3回とも配膳ロボットが対応してくれました(笑)。
【菊池】弊社で扱っている配膳ロボットは、配膳や下膳、運搬に加え、音声ガイダンスによるアナウンス機能も搭載し、センサーでお客さんを感知して止まることもできます。テーブルまで注文を受けに行くと、お子さんが喜んでくださるようで、店舗によっては集客が2割ほど増えたとお聞きすることもあります。
【今井】よくロボットに人間の仕事を奪われるなんて言いますが、すべての仕事をロボットに変えるのではなく、ロボットと人の仕事を棲み分ければ良いと思います。
【菊池】同感です。下膳でロボットに食器を運ばせれば、スタッフは手が空いてほかの作業ができます。最近は飲食店だけではなく、介護施設でも食事や見回り用として配膳ロボットが導入されています。介護施設の現行基準では、入所者3人につき1人の職員を配置する決まりで、介護の現場は人手不足といわれていますが、ロボットの力を借りれば1人で4〜5人を余裕を持って担当できる可能性も見えてくるのではないでしょうか。

人生100年時代を据えた 産学連携のロボット開発

【今井】ここ八王子のショールームには、たくさんのサポート・サービスロボットが展示されていますね。産学連携などで開発されたロボットが多数あるそうですが、どれくらい扱っているんですか。
【菊池】共同研究を行う大学・研究機関は50~60あり、アシストスーツのひとつである「マッスルスーツⓇ」を製造する株式会社イノフィスなど、大学発のスタートアップを中心に24社出資し、それらの企業等が開発するロボットを100製品以上扱っています。事業としての可能性や社会貢献を考慮した段階で、まずは大学の教授や研究者と共同出資で会社をつくります。これが他社にはない弊社の特徴です。
【今井】私も「マッスルスーツⓇ」を体験しましたが、電気ではなく空気を使うシンプルな構造が良いですね。モーターを使うような複雑なサポートロボットより、安心して使いやすいと体感しました。
【菊池】「マッスルスーツⓇ」は、腰をいためやすい介護現場や農作業などで、腰の負担軽減策として利用されている作業支援ロボットです。働き手も高齢化が進んでいますから、ゴム製の人工筋肉といった優しい力で制御する製品は現場に適しているようです。支援ロボットを研究する大学の先生方の多くが20年以上も前から、「人生100年時代」を見据えていました。われわれもそれに感化され、「人ができないことをロボットでサポートする」「ものづくりで社会の役に立ちたい」という思いが強くなりました。
【今井】車の安全運転サポート装置も同様ですね。足腰が弱ってきたけれど、移動手段として車が必要なのであれば、衰えた人間の機能を補完してくれる装置を付けて安全運転をめざす。人間ができることと機械ができること、それぞれの得意分野を上手く活用できる社会になればと思います。
【菊池】その通りです。でも、人は歩けなくなってから、自立の素晴らしさに気付きます。誰もが車いすや寝たきりの生活は先延ばしにしたいと望みます。そうなる前に、歩行支援サポートロボットなどを活用すれば、健康寿命の延伸にも期待が持てます。

生涯現役、社会貢献につながる事業を

【今井】日本は国をあげて、もう一度ものづくりに真面目に取り組むべきです。いまは郊外を車で走っても流通倉庫ばかりで、工場が減っていると感じます。
【菊池】私は、ものづくり技術は、日本が世界でトップだと思っています。日本の中小企業は、お客さま一人ひとりに合ったオリジナル商品をつくるのは天下一品です。シニア世代の生活をベースにしたものづくり産業は、今後、自動車産業と同じくらいの規模になるだろうと予想する大学教授が多くいます。120のベンチャー企業とコラボしている現在、自身が生きているうちに、それらの企業から成功事例をいくつも出していきたいと意気込んでいます。
【今井】いつか人は死にます。そのとき自分に、「どんな仕事をしたか?」と問いかけたら、ちゃんと答えられるような仕事をしていきたいですね。事業はお金儲けだけではなく、社会を良くしたい、皆が豊かに暮らせるようなものを生み出したい、という思いがないと、働く意義がなくなってしまいます。
【菊池】高齢者は国の宝。うちの技術者にも60代、70代が多くいます。働く気迫と体力があれば、ずっと働いてもらいたい。体の機能は高齢になると衰えてきますが、それをカバーする方法はいくらでもあります。しかし、経験はそうはいかない。
【今井】生涯現役でいる、という思いが大事ですね。
【菊池】それは絶対にそうです。
【今井】今日はありがとうございました。

菊池製作所

企業からの要望とアイデアをカタチにする、「研究開発」・「試作」の総合支援企業。
多様な技術と開発、試作、量産のすべてのプロセスを一括一貫体制でサポート
【問】042-651-6093
 

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