「おひとりさま」の急な体調不良、どう備える? 老後の暮らしの安心に 「見守り契約」とは?

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一人暮らしの不安に見守り契約

 はじめまして、おひとりさまの終活トータルサポートサービスを提供する会社を運営しております弁護士の北村真一と申します。これから隔月で5回にわたって、このコラムを担当させていただくことになりました。
これからの時代、「おひとりさまの終活問題」は誰もが無関心ではいられないテーマですので、わかりやすくポイントをお伝えできればと思います。
さて、今回のテーマは「見守り契約」についてです。見守り契約について一義的な定義はありませんが、「本人の生活状況や健康状態を定期的に確認し、成年後見等が必要となっていないかを見守る」のがおもな内容です。
一人暮らしの場合、高齢になってくると何かと不安が付きまとうものです。室内で転んで動けなくなったり、急に体調をくずしたり……そういった一人では対処できない事態に備えて、見守り契約で定期的に安否確認をしてもらえれば日々の安心につながります。

企業が提供するさまざまな見守りサービス

 それでは具体的に、どのような見守りサービスがあるのでしょうか。昨今、さまざまな企業が高齢者の見守りサポートサービスを展開していますので、いくつか紹介しましょう。
自宅警備サービスを専門にする企業の見守りサービスでは、その強みを生かして室内で異常を感知すると、24時間態勢で担当者が駆けつけてくれます。ガス会社が営む見守りサービスでは、一定期間ガスを使わないと登録している家族へ通報がいったりします。
商品を定期配送する会社による見守りサービスでは、配達の度に体調などを対面で確認してくれたりするなど、それぞれの会社がそれぞれの強みを生かした見守り方を提案しています。
体調については、医師や看護師に24時間相談できるオプションがついているサービスもあります。状態確認の方法も、電話連絡のところもあれば、自宅を訪問してくれるところもあり、連絡頻度もさまざまです。どこの会社がおすすめというよりも、ご自身の状況に応じて一番適切なサービスを選ぶことが重要です。
昔は、ご近所さんで声をかけ合って安否確認をしたり、助け合ったりして暮らしていたものですが、現代社会においては、なかなかそれを期待するのは難しくなっています。本当は見守りサービスなんて必要のない社会であってほしいと思いますが、現実には、見守りサービスの需要はうなぎ上りに増加しています。

見守り契約でどこまでカバーできるか?

見守り契約を検討する際、とくに注意していただきたいのが、「どこまで見守ってくれるのか?」です。一番困るのは、見守り契約でカバーできると思っていたことが実際にはカバーできず、いざというときにあてがはずれてしまい、そこから新たな契約を結び直さなければいけなくなるケースです。ほとんどの場合、そうなってから適切な契約を結ぼうとしても、たいていは間に合いません。「何をカバーしてくれるか?」と同じように、「何をカバーしてくれないのか?」が重要なのです。
見守りサービスは、身の回りのお世話とは違います。訪問して安否を気遣ってくれるからといって、買い物を頼んだりはできません。契約のときに、しっかりとサービス内容を確認しましょう。
また見守りサービスは「財産管理契約」ではありません。例えば、体調が優れないときに代わりに銀行に行ってもらいたいとしても、見守り契約ではできません。
また、本人に正常な判断能力があることが見守り契約の前提になっていますので、判断能力が低下したときに備えるためには、「任意後見契約」が必要です。見守り契約は、あくまでも任意後見に移行するまでのつなぎとして利用するものだと心得ておきましょう。残念ですが「見守り契約だけを結んでしまえば全てが安心」というわけにはいかないのです。

自分の状況に応じて見守り契約を選ぶ

 まずは、いまのご自身にとって、いつ、どのような契約を結んでおけばよいかを見極めることが重要です。ただし「生兵法は大怪我のもと」と言うように、中途半端な知識に基づいて自分だけで判断してしまうと危険です。迷ったときは専門家への相談をおすすめしますが、終活業界は新規参入業者が多く、専門外からの参入も多い業界ですので、誤った知識が横行しやすい面があります。専門的知識と経験が必要な分野のため詐欺的な業者は少ないものの、単純に誤った知識に基づいて動く業者も少なくありません。とはいえ、数ある見守りサービスの中から自分にとって最適なサービスを選ぶのは容易ではありません。自分の状況を理解してもらった上で相談にのってくれる相手がいない「おひとりさま」の場合、より一層注意する必要があります。そんなときは弊社でもお手伝いをしていますので、お気軽にお問い合わせください。
次回は、前述した「任意後見」についてとり上げます。任意後見制度は施行されて20年以上が経ち、目新しいものではなくなってきましたが、実際の手続きや、その制度内容をきちんと把握されている方は少ないと思います。わかりやすく解説していきますので、ぜひ、お楽しみに。

北村真一(きたむらしんいち)
株式会社macoto.creative 代表取締役
まこと法律事務所 代表弁護士
大阪弁護士会 遺言相続センター所属

 

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