12カ月で身につける健康リテラシー③人はどうして病気になるのですか?

健康と美容

「健康リテラシー」は人生100年時代をより良く生き抜くためには欠かせないスキルです。
知っているようで知らない病気や医療の疑問に、3人の先生が月替わりで易しく回答してくれます。

https://www.goldenlife.jp/r_goldenlife/wp-content/uploads/2022/02/138_health04.jpg
梶川博先生

病気の原因は、「外因」と「内因」とに分けられます。外因とはコントロール可能で、ビタミンなど特定の栄養の過不足、食中毒、化学物質、感染症など、内因とは現在の医学では対処が難しく、生まれ持った遺伝子情報の異常や、加齢などが挙げられます。医学の進歩により病気の原因は、まず内因が背景にあり、これに外因である環境因子が組み合わさって発症することがわかっています。

●今月教えてくれる先生
梶川博(かじかわひろし)先生
医師、医学博士
認知症サポート医
医療法人翠清会 梶川病院 会長
日本脳神経外科学会・日本脳卒中学会・日本認知症学会 会員

病気の原因となる「外因」と「内因」

 病気にならないためには、まずは病気になる原因を知っておくことが大切です。
「がん」や「認知症」を例にとっても、発症する人もいれば発症しない人もいます。「新型コロナウイルス感染症」も軽症ですむ人と重症化する人がいます。それは一体なぜでしょうか。
現在、病気の大きな原因とされているのが、食事や運動、喫煙や飲酒の有無といった毎日の生活習慣です。これらは病気の「外因」にあたります。地球環境や有害物質、ストレスなども外因です。
私たちが生まれながらに持つ遺伝子情報や、加齢などの内因からは逃れることはできませんが、生活習慣を改善するなど病気の外因を減らすことは可能です。
また、人の体にはもともと「免疫」という病気に対する防衛システムが備わっていて、免疫が正常に働いていれば、「がん」や「新型コロナウイルス感染症」も未然に防いでくれますし、たとえ発症しても健康な状態に早く戻ることができます。しかし免疫も、生活習慣の乱れや加齢によって機能が低下することがあります。

病気から体を守る防衛システム「免疫」

 免疫には、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
自然免疫は私たちが生まれながらに備えている免疫で、細菌やウイルスなどの病原体に接した際、それを排除したり殺したりするシステムです。
獲得免疫は、生まれたときには備わっていませんが、後天的に獲得される免疫です。例えば、ワクチン接種ではあえて病原体を体内に入れることで、その病気に一度かかった状態にし、「免疫細胞」である「白血球」にその病原体に対する戦い方を記憶させます。そうすることで、病原体が再び体内に侵入してきたときに速やかに病原体の増殖をくい止めます。
白血球は、血液を構成する細胞の1つで、病原体や異物から体を守る働きを担っています。
白血球には、「好中球」、「好酸球」、「好塩基球」、「単球」、「リンパ球」があります。
体の中に細菌やウイルスなどの病原体が進入すると、血管の外に出た単球が「マクロファージ」となって、体内に侵入した病原菌などを貪食(どんしょく)して分解してくれます。マクロファージの手にあまる病原体に対しては、リンパ節で待機している3種類のリンパ球(B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞)が出動します。
また、「がん」にならないのも、白血球の働きが大きく貢献しているためです。
がん細胞は、もともとは正常な細胞から発生するため、健康な人の体でも1日に5000個以上ものがん細胞ができることがわかっています。しかしリンパ球の一種である「ナチュラルキラー細胞」が、がん細胞を攻撃することで、がん細胞の増殖を防いでいます。
このように、白血球は24時間体制で体を守ってくれています。
ただし免疫システムが過剰に働くと、花粉など病原体ではない侵入物に対しても過剰に反応したり、自分の細胞など外敵ではないものまで誤って攻撃したりするために、「自己免疫疾患」を起こすこともあります。
つまり、免疫の働きは強すぎても弱すぎてもだめで、バランスよく働いていることが大切です。

 

関連記事

TOP