ボケないために、いまできる方法①歩数計は認知症予防の最高のプレゼント

健康と美容

【新連載】認知症予防のカギは食事と生活のなかにあった

免許がなくても自分の足で歩いていける

 私が免許を返納したら、家族が歩数計をプレゼントしてくれました。「ボケないために、一日に1万歩、歩いてね」ということのようです。
私はもともと歩くことが大好きでした。運動することも走ることも得意でした。学生のときには柔道やマラソン、成人してからはテニスや登山を楽しんだりと、体力に自信があったほうでした。しかし、パーキンソン病のような症状が出てきてからは、足がこわばってうまく動かないこともあり、歩くのがおっくうに感じることもありました。
ところが、朝食抜きを始めて、朝にMCTオイル入りのコーヒーを1杯飲むようになってから、私の症状はずいぶん軽くなりました。ケトン体を多くつくり出せる身体なり、身体や脳のなかの炎症が治まってきたからなのでしょう。身体も疲れにくくなり、歩くことも楽になりました。抗加齢医学の権威である白澤卓二先生(しらさわたくじ)(お茶の水健康長寿クリニック院長)も、ケトン体はアルツハイマー病だけに有効なのではなく、「パーキンソン病、てんかん、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)(ALS)にも効果が期待できる」と『ココナッツオイルでボケずに健康』(主婦の友社[生活シリーズ])で示されています。
体力の衰えを実感することは、高齢世代にとって大きな不安です。不安や孤独などの心理状態も、認知症を招くリスクファクターになります。そんなときに、家族からレゼントされた歩数計は、「またがんばって歩こうかな」と私の背中をほんの少し押してくれました。免許がなくても、自分の足で歩いていける身体ならば、まだまだ行動範囲を広げていくことができると思わせてくれたのです。

歩幅を意識して歩いてみることの効用

 実は、歩くことは、認知症のよい予防策になるのです。
とても興味深い研究結果があります。「歩幅が狭い人は、広い人よりも認知症になりやすい」と、東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優(たにぐちゆう)研究員が2012年に報告しています。谷口研究員のチームは、群馬県と新潟県の2つの地域で70歳以上の高齢者を対象に、認知機能を含むいくつかの検査を実施しました。追跡期間は2年7カ月、対象人数は683人です。
この研究で明らかな違いが現れたのは、歩幅でした。歩幅を「広い」「普通」「狭い」の3つのグループにわけて調べたところ、広い人たちよりも、狭い人たちは発症リスクが約3倍にもなりました。女性の場合はさらに差が明らかで、5.8倍にもなったのです。
老化によって運動量を減らすことは、身体の脂肪量を増やし、筋肉を弱らせます。筋肉が弱れば歩幅を広くできず、小幅でちょこちょこと歩くようになります。こうした歩き方はとても疲れやすく、歩くのがおっくうになります。すると、ますます日常生活の運動量の減少に拍車がかかります。結果、認知症が起こってくるという構図が生まれてしまうのだろうと考えられるのです。
免許を返納した親には、歩数計を贈ってみてはいかがでしょうか。そして一日の終わり、「今日は何歩、歩いたか」をメールなどで報告しあい、「歩幅を広く歩いてみてね」とアドバイスする。こんなことでも、親の認知症を防ぐよい方法になります。

藤田紘一郎(ふじた こういちろう)
1939年、旧満州に生まれる。東京大学医学系大学院修了。医学博士。東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年、日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。2021年5月逝去。

 

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