シニアライフ・コンシェルジュが案内する都内の名処「日本銀行本店本館」

旅・生き方

CHAPTER22 お札の発行、物価・金融システムの安定 日本銀行本店本館

東京に観光名所は数あれどあまり知られていない穴場スポットは数多く存在します。そんな「」を、隔月でシニアライフ・コンシェルジュ藤野政史がご案内します。今月は、JR東京駅より徒歩8分銀座線三越前駅より徒歩2分とアクセス良好な「日本銀行本店本館」に出掛けてみましょう。

日本人建築家による最初の国家的近代建築

 日本銀行は明治15年に開業し、明治29年に日本銀行本店本館が竣工されました。設計者は日本近代建築の先駆者として知られる建築家・辰野金吾です。
予約をすれば、館内の見所を巡るガイド付きの見学に参加できます。今回お話を伺った情報サービス局の石長さんは、「見学の時間内ではご紹介しきれないくらいの見所があります。国の重要文化財に指定されている建物自体に興味をもって来館される方も多いです」と話します。
建物に入る前の中庭では、中庭を巡る回廊の柱に施された装飾や、扉のステンドグラスなどの凝った造りが堂々たる風格を醸し出しています。留学先のイギリスで建築学を学び、欧米の銀行の視察を重ねた辰野金吾は、石造による古典主義様式で日本銀行本館を建てました。本館を上から見ると漢字の『円』の形をしているように見えますが、これは『円』を意識したわけではなく、採光に配慮するなど機能性を重視した結果だと言われているそうです。

日本銀行が世界で初めて導入したお札の自動鑑査機。昭和44年に使用。従来、手作業で行っていた鑑査(偽造券や、汚れのひどいお札を分類する作業)のスピードを一気に速めた。

本館地下1階、地下金庫の入り口の扉(昭和初期に追加設置のアメリカ製)は厚さ90㎝、重さ 25トン。開閉にとても時間がかかるのだとか。

1,000億円のお札(1万円札の模擬券)が積み上げられている様子。その規模感に驚く。撮影スポットとして人気。

創建当初の姿が残る地下金庫

  入館すると、壁面に細かい彫刻が施された客溜や営業場となります。展示室として使用されている旧役員室もモダンで美しいのですが、一番の見所はやはり地下金庫です。耐久性を高めるためにアーチ状に積まれたレンガの天井、換気をするための換気孔など、お札を保管するための工夫が随所に見られます。イギリス製の金庫扉だけでなく、国産の金庫扉も設置するなど、「日本の産業育成の視点もふまえて建てられたと思われます」という解説を聞くと、日本近代の経済や産業を支えた人々の姿が想像されて何ともドラマチックです。
これまで関東大震災(大正12年)などの災害に見舞われてきた日本銀行本館は、頑丈な造りのため倒壊を免れてきましたが、平成29年には免震化が図られました。文化財保存の観点だけでなく、非常時でもお札の発行や流通、金融システムの安定をつかさどる日本銀行の機能を維持することは重要です。東日本大震災(平成23年)の後、日本銀行は、現地で避難した方々がすぐに預金を引き出せるよう現金を手配したり、汚損したお札を新しいお札と交換したりしました。
「そうした非常時に対応することも私たちの仕事です」との説明を受け、改めて日本銀行が担う役割の大きさを実感しました。

馬の水飲み場

本館が創建された当時は馬車が使われていたため、中庭には馬用の水飲み場が設けられていた。いまも水が出るという。

創建当初の壁や天井

地下1階の金庫室には、釉薬(ゆうやく)を施すことで耐水性を強化した白色釉薬レンガや赤レンガなどが創建当初のまま残る。

お札を運んだマニ車の模型

平成16年までお札は鉄道でも運ばれていた。防犯の観点からマニ車の存在は秘中の秘とされ、名前や移動スケジュールが運行ダイヤに掲載されることはなかった。

日本銀行本店本館

■電話番号/情報サービス局見学担当 03-3277-2815
(受付時間:月~金 午前9時30分~午後4時30分まで、ただし祝日、年末年始(12月 29日~ 1月 4日)を除く)
■最寄駅/【電車】地下鉄半蔵門線「三越前」駅(B1出口)より徒歩1分、銀座線「三越前」駅(A5出口)より徒歩2分、JR「神田」駅南口、「東京」駅日本橋口から徒歩8分
■入館料/無料
■見学時間/予約見学(事前予約制・約60分)(1)午前9時30分~(2)午前11時~(3)午後1時45分~(4)午後3時15分~、当日見学(予約不要・約30分)午後12時45分~1時15分(整理券が必要)
■定員/予約見学は各回22名、当日見学は各回20名(先着順)
■休館日/土日祝日、年末年始(12/29~1/4) 
※日本銀行の業務等の事情により、見学案内を実施しないことがあります。
【本店見学サイト】 https://www.boj.or.jp/about/services/kengaku.htm/
※予約見学は事前予約が必要です。詳細は本店見学予約サイトで確認してください。 https://www5.revn.jp/bojtour/
※新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、見学時間を(1)午前11時~午後12時(2)午後3時15分~4時15分の2回とし、1回当たりの定員を10名に限定しています。当日見学は中止しています。来館前に必ずご確認ください。

※次回の「都内の名処」は3月号に掲載予定です。

藤野 政史さん藤野政史(ふじのまさふみ)
グローバルライフ株式会社 代表取締役
シニアライフ・コンシェルジュ
シニア世代の皆さまが楽しく、笑顔で、遊び、学ぶ、集う会
「グローバルライフクラブ」を運営。
 

 

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