輝く人136 梅沢富美男さん 泉ピン子さん

インタビュー

300年に1人の役者と、100年に1人の女優の夢の競演
歯に衣着せぬ豪快な物言いが人気のお二人が、夢の共演!舞台で笑い泣かせます。プライベートでも仲良しのお二人に、舞台のことはもちろん、健康についても伺いました。

テレビ、舞台、お互いの土俵でガッツリ取り組み

まずは今回の舞台共演で、お互いの印象について教えてください。

【梅沢】10年ぐらい前から、舞台でご一緒させていただくお話はあったんですが、まさか本当に実現するとは思っていませんでした。
【泉】私、舞台は全然やる気なかったんです。新橋演舞場の『おんな太閤記』を最後に、舞台のお仕事は受けなくなり、化粧前(※)も小林綾子さんにあげちゃった。舞台上で休んでいる人とか、緊張感が低い現場に辟易(へきえき)して「もうやらない!」と。しかしプライベートでも仲良しの冬美ちゃんに頼まれて再び舞台に立ちました。「冬美ちゃんとできたんだから、梅沢さんともできるでしょ?」と関係者から言われ出演を決めました。でも普通、顔寄せってあるでしょ?それがなくて。稽古場で初めて会ったのよね。劇団員のお稽古を見せていただくと、厳しいんだけど優しくて、言ってることが的確!久し振りに緊張しました。この高い緊張感と厳しさ、出演することを決めて良かったと感じました。

※鏡台や、鏡台に敷いたり掛けたりする布のこと

お二人の共演はTBSドラマ『淋しいのはお前だけじゃない』がスタートですね。泉ピン子さんの土俵=テレビドラマの世界に梅沢富美男さんが加わりました

【梅沢】西田敏行さん、ピン子さんが本当に優しく迎え入れてくださり、すぐに意気投合!撮影終わりに毎日飲みに行ってました。役者同士ってライバル意識が高いんで、だんだん疎遠になっていくものなんです。でも本当に仲良くなって、ピン子さん、結婚前に旦那さんを紹介してくれましたよね。そのとき、仲間に入れていただいたと思いました。

今度は梅沢さんの土俵=舞台の世界に泉さんが加わりました。

【梅沢】私の舞台では台本は進行表なんです。役者として舞台に出たら、お客さまに合わせてくださいといつも言います。あまり人を褒(ほ)めないんですよ、悔しいから。でもピン子さんはすごい。商業演劇を大事にしている僕と勘や感覚が合うんです。
【泉】私、座長の演出方法が好き。まずは肯定して、さらにこうするともっと良くなるんじゃないかって。とにかく器が大きいんですよ、座長は。私が座長と呼ぶのは、森繁久彌さん以来はじめてです。
【梅沢】ありがとうございます。お客さまに喜んでもらうっていうのが我々の生き様なので、それをピン子さんも同じ気持ちで舞台に上がってくれる。
【泉】そう、お金を払って足を運んでくれた人が大切。その方たちに楽しんで、喜んで帰っていただきたい。もっと早く富美男ちゃんたちとやらせてもらえば良かった。
【梅沢】僕も。できないと思ってましたからね。

お忙しいと思いますが、健康維持の方法を教えてください。

【梅沢】死んだ親父から言われてたんですけど、「健康のこと考えるなら役者辞めちまえ」と。体調不良でもお客さまには関係ありませんから、常に全力、全霊をかけます。舞台に上がるとドーパミンが出るんですかね?少々無茶なことでもできてしまう。終わったあと、つらいんですけどね。
【泉】私は胆のうを取りました。胆石の痛みは激痛!冷や汗が出て。2016年「ドクターX~外科医大門未知子~」に出演しているときでした。入院を勧められましたが撮影中だったので、入院する代わりに10日間絶食して続けました。先日の御園座公演でその兆候が少しあったので、1月の明治座公演にあたって手術しました。これでご迷惑はかけません。
【梅沢】女傑だな。
【泉】私の親も芸人でしたから。舞台に穴を開けるようなことは死んでもやるな、と言われて育ちましたからね。ただ、寄る年波には勝てないというか。寝る前にセリフを食う作業をするんですよ、私。最終確認をするということなんですけど、昔は最後までやってから寝ていたのに、最近は途中で寝ちゃうの。熱海の自宅で1.5キロ、犬の散歩で山を上がって下がってしているんです。そしたら足にきちゃって着物で立とうと思ったら、よろけたんですよ、2回。それを舞台上でネタにされましたからね。
【梅沢】はい!
【泉】あ〜また初日、緊張するかも。

商業演劇の醍醐味である、お芝居、歌謡ショー、舞踊と見所いっぱいの今回の舞台について、抱負を聞かせてください。

【梅沢】東日本大震災の被災地で、家族すべてを亡くした85歳のおばあちゃんと、おばあちゃんに寄り添い元気付ける、親を亡くした14歳の女の子に出会いました。改めて日本人の素晴らしい人情を感じ、人情芝居を追求していくと決めたんです。頭を抱えて難しいなぁというお芝居ではなく、「あっ、こんな話あるわね」が人情芝居。でも人情芝居って一番難しいんですよ。ピン子さんなら何でも演じられる。だから今回の舞台も絶対、お客さまに満足いただけると自信があります。
【泉】私も笑って泣くお芝居が好きなんです。ご自分で「300年に1人の役者」と豪語するだけの役者です、梅沢富美男は。期待を裏切りません。ちなみに私も100年に1人の女優ですけどね。

梅沢富美男さん梅沢富美男(うめざわとみお)
1950年11月生まれ。福島県出身。1歳7カ月で初舞台、15歳から本格的に梅沢劇団の舞台に立ち、25歳の時に初の女形を披露。妖艶な美しさが話題を呼び、「下町の玉三郎」と称賛され、一躍大衆演劇界のスターに。女形のみならず、二枚目から三枚目までを演じ分けるほか、脚本・演出・振付も手がける。また歌手としても1982年のデビュー曲『夢芝居』が大ヒット、NHK紅白歌合戦にも出場。2012年に劇団の三代目座長を襲名。現在バラエティ番組やトーク番組、CMなどに数多く出演している。

泉ピン子さん泉ピン子(いずみぴんこ)
1947年9月生まれ。東京都出身。18歳で歌謡漫談家としてデビュー。75年日本テレビ系「ウィークエンダー」でレポーターを務め一躍お茶の間の人気者に。活動の場を女優業にも広げ、以降数多くのドラマ、映画に出演。元コメディエンヌのキャリアを活かした闊達自在なトークから、静かな立ち振る舞いまでこなす女優として、第一線で活躍し続けている。2019年3月文化庁長官表彰を受賞、同年11月旭日小綬章受章。代表作にNHK連続テレビ小説「おしん」、TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」など。


 

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