木村重男先生の上手な老い方手帖「長寿祝いについて」

旅・生き方

人は生きてきたとおりに齢をとる。「いい年のとり方をしましたね」と言われるように。
良いも悪いも受け取めて、一日一日を大切に生きる、木村重男先生の珠玉のコラム。

⑱長寿祝いについて

 だれでも長生きしたいと願っています。長寿祝いのことを「賀寿」といい、数え年で祝います。
「還暦」は六十年で再び生まれた年の干支に還ることに由来することから、数え年六十一歳の称で、お祝いに赤いちゃんちゃんこや赤いずきんを贈るのは、「赤ちゃんにかえる」という意味があります。
「古希」は七十歳。中国唐時代の詩人・杜甫の詩の一節「人生七十古来稀なり」という詩から生まれた語といわれています。
「喜寿」は、喜の草書体が「七十七」に見えるので七十七歳の祝賀の意です。
「傘寿」は八十歳の祝いです。これは傘の略字が「八十」と読めるためです。
さらに米の字を分解すると「八十八」となり、八十八歳の賀を意味する「米寿」は末広がりの「八」が重なるので、大変おめでたいとされています。
「卒寿」は九十歳の祝いで卒の略字である「卆」をくずすと「九十」になることからきています。
「白寿」は「百」の字から一をとれば「白」なので九十九歳の祝い。
「茶寿」は百八歳。「茶」の字を分解すれば、「十」と「十」、「八十」、「八」となり、合計すれば百八になるからです。
「皇寿」は百十一歳のことです。
「皇」の字は「白」と「王」に分解でき、「白」は白寿の白で九十九を意味し、「王」は「一」と「十」と「一」で十二となり、白の九十九と合わせると百十一となるところからきています。
日本は「超高齢化」が進み、いまや人生百年時代といわれ、還暦はもとより古希ですら長寿とはいえない時代を迎えています。
それだけに、長寿の祝いの言葉を使用する機会はますます増えてくるでしょうが、ただの言葉の語呂合わせぐらいに軽く考えないで、その折々の賀寿の意味をしっかりとかみしめて、長寿を心から祝いたいものです。
でないと、テレビ番組で有名な五歳の女の子・チコちゃんから「ボーッと生きてんじゃないよ!」と、両手をひろげ大きな声で叱られそうです。
お互いに、人からも「いい年のとり方をしましたね!」と言われるように、自分でもよくここまで生きてこられたものだ……と、これまでの人生をふり返って、謙虚に森羅万象に手を合わせ、「伊達に年をとったのではない」という風格をもち、心から頭が下げられるような晩年をおくりたいものです。

木村重男(きむらしげお)
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数。

 

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