輝く人133 古田新太さん

インタビュー

あるがままの自分で、あるがままに生きるのが一番
舞台をはじめテレビや映画、バラエティなどで大活躍の俳優・古田新太さん。主演映画『空白』について伺うなかで、ナチュラルな生き方にこだわる一面に触れることができました。

監督に言われたとおり演じるのが僕の役目

古田さん主演の映画『空白』。娘の死に直面し狂気を帯びていく父親・充役をどんな思いで演じましたか?

 監督のイエスマンになること。それがオイラのスタイルなので、今回も𠮷田監督が求める「充」像をいかに作り出すかということだけを考えてやりました。終始心掛けたのが、自我を通すことで自分を保とうとする充の姿。充は人の意見をまったく聞かない人間です。すべて自分が正しいと思っているので、亡くなった娘の無実も信じて疑わず、苦悩と憎しみの中でどんどんモンスターと化していくんです。だから感情が揺さぶられるような場面があっても、充の心は決して動かない、動かされてはいけないという思いで演じていました。ところが、終盤のシーンになって監督が突然、「ここ、泣いちゃいましょう」って言うんですよ。充の心のぶれというか、複雑な心境の変化を表現するためでしょう。設定がコロッと変わっちゃったんですが、もちろんオイラは「はい!」と言って素直に応じました。

重たいテーマを扱う現場はどんな雰囲気なんでしょうか?

 𠮷田監督がすごく明るい人なんで、和気あいあいと楽しい雰囲気でした。とにかく泣くシーンが多かったんですが、滝のように涙を流しても終わった瞬間ケロッとしているんです。俳優陣がみんな物分かりが良かったので、撮影はサクサクと進んで居心地のいい現場でした。

娘をもつ同じ父親として、充に共感する部分はありましたか?

 まったくないですね。充は絶対に謝らない人間だけど、オイラは悪いと思ったらすぐに「ごめんなさい」と言っちゃうタイプだから。充は娘の知られざる一面を知ってすごいショックを受けるんだけど、オイラに言わせれば「そんなの当たり前じゃん」って話ですよ。オイラは娘とすごく仲がいい。思春期に「気持ち悪い」とか言って避けられることもなかったし、お酒が飲める年齢になってからは、よく2人で晩酌していろんな話をしています。でも、それくらいコミュニケーションをとっていても、娘について知らないことはたくさんある。そんなもんじゃないですか?だから、ずっと娘に無関心だった充は自業自得。娘を心から愛している気持ちは同じかもしれないけど、だったら生きてる間にちゃんと愛情注ぎなさいよって思います。

やりたいことのほとんどは役者としてできている

いま夢中になっていること、やってみたいことは?

 歌ったり踊ったり、ちゃんばらやったりするのが好きなんだけど、どれも仕事の中でできているんですよね。以前、飲食店をやってみたいと思ったこともあったけれど、役者をやっていると飲食店の店長にもなれる。プロレスラーや学校の先生にもなれるじゃない。しかも、役としてウソもつき放題だから、本当にいい仕事してるなって思っています。今回やった充役もそう。自分とは真逆の性格の人間になれるのも役者だからこそ。現場では毎日、怒って怒鳴ってばかりいたけど、それはそれですごく楽しかったです。

映画に、テレビに、舞台に、多忙を極める古田さんですが、健康維持のために心掛けていることは?

 何もありません。あるがままの自分で、あるがままに生きるのが一番だと思っているので。年をとれば腰が痛くなったり、ひざが痛くなったりしますけど、そのときは痛み止めの注射を打ってもらえばいい。だから、わざわざジムに行って運動したり、栄養を考えて食事をとったりなんてしませんよ。そもそもオイラの場合、「食事=酒」なので、酒が飲めないなら食事する意味がないって思っているんです。夜は仕事終わりに酒を飲みながら食べるのが習慣になっています。ただし、休みの日はちょっと違って、朝からお酒が飲めるから、朝から晩までずっと朝食を食べているような感じかな。とくに、地方ロケの合間にオフがあると、ホテルの和朝食をつまみに酒が飲めるじゃないですか。たくあんとか納豆とか食べながら飲んでるときは本当に幸せだと感じます。一人で飲み屋に行って、そこで出会ったおじさんたちとしゃべったり、バイトしてる若い子に話しかけたり。いろんな業種の人がいて自分の知らない話がたくさん聞けて、とてもいい刺激になりますね。それが役者の仕事にも活かされるので、まさに一石二鳥です。いまはコロナ禍でそれができませんが、近い将来、その日は必ず戻って来る。「オイラ、ワクチン打ちましたよ」とか言いながら、また気兼ねなく飲みたいですね。

古田新太(ふるたあらた)
1965年12月生まれ。兵庫県出身。大阪芸術大学在学中に劇団☆新感線の公演に出演して以降、同劇団の看板俳優として活躍。一方で、外部の舞台やドラマ『俺のスカート、どこ行った?』『半沢直樹』『小吉の女房』など、映画『信長協奏曲』『土竜の唄 香港狂騒曲』『パディントン』(声の出演)『ヒノマルソウル』など数多くの作品に出演。そのほかバラエティ番組出演、ラジオのパーソナリティ、雑誌のコラムを手掛けるなど、俳優以外でも幅広く活動中。

 

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