多種多様なこれからの老人ホームおさえておきたい 選び方のポイントとは?

暮らし

「老人ホーム」を大別すると

 ひと言で「老人ホーム」と言っても多様な形態があります。大きく「公的運営」と「民間運営」の2つの視点で整理してみると「公的運営」には3つの形態があります。
❶ 特別養護老人ホーム/特養とよばれる代表的な施設。
❷ 介護老人保健施設/老健とよばれる家庭への復帰を目指すために、リハビリテーションなどを行う施設。
❸ 介護医療院/医療的なニーズのある要介護者のための施設。
各施設の運営は社会福祉法人や医療法人が行っており公的な安心感と、比較的安価(※)であることが魅力です。入居条件として要介護度が一定以上であることや、入居希望者が多いため入居までの待ち期間が長い傾向にあります。
次に「民間運営」には、
❶ 介護付有料老人ホーム
❷ 住宅型有料老人ホーム
❸ サービス付き高齢者向け住宅
などがあります。
部屋の広さの規定や、介護サービスの提供方法などでそれぞれ違いがあるわけですが、高齢者のための「住まい」と「介護」の2つを合わせて提供するという点は共通しています。その方の状態や生活への希望に合わせて多様な選択が可能で、入居までの待ち期間も比較的短いといえます。また、運営会社がそれぞれの特色を生かし、オリジナルなサービスを提供していることも魅力です。ただし、多種多様な企業が参入しているため、将来的に安心できる運営会社かどうかを見極めることが重要です。

※入居にかかる費用は所得額によって異なります。

スマートエイジング7つの秘訣

 開設から10年を迎えた私の勤務する介護付有料老人ホーム「ハートフルケア見附」は、要支援1〜要介護5の方まで幅広い状態の方が入居されているのが特徴です。お一人おひとりの日々変化する状態に合わせて、その方らしい暮らしがおくれるよう職員一同心掛けています。そのなかで参考にしているのは、東北大学教授で脳科学者の川島隆太氏らが提唱する「スマートエイジングという生き方~7つの秘訣」です。
❶ 脳のトレーニングをする
健康な人でも高齢になると前頭前野の働きが鈍ってきます。手書き、音読、簡単な計算などを、コミュニケーションを取りながら行うことが効果的です。
❷ 有酸素運動
生活習慣病を予防するには体内の脂肪を燃やす有酸素運動が効果的。心拍数を100~110くらいに保つ運動がおすすめです。
❸ 筋力トレーニング
高齢になると転倒・骨折しやすくなります。これを予防するには下半身の筋肉、とくに腰の奥にある大腰筋を鍛える必要があります。この筋肉を鍛えると、歩くときにつま先が上がるようになり、転びにくくなります。
❹ 年金以外の収入を得る
お金を得る喜びは大切です。生活に張りが出ます。
❺ 他人の役に立つ
誰にとっても大きな成長機会であり、心理的報酬となります。
❻ 明確な目標を持つ
具体的な目標設定をすることで、日々の生活に張りやリズムが出て、前向き思考になり、潜在能力が発揮されやすくなります。
❼ 好きなことに取り組む
好きなことにずっと打ち込んでいると周囲の人から「あなたらしい」と言われるようになります。自分らしく生きたいと思う=好きなことに取り組む、といえるかもしれません。好きなことがわからない人は、まず、それを探してみましょう。
* * *
いかがでしょうか?どなたにとっても重要な要素といえるかもしれません。
以前、ある方に「いい施設とは?」とおたずねしたところ、「いい職員がいる施設だよ」という答えが返ってきました。私も同感です。ケアを行うことは、人と人のつながりであり、こころを通わせることで成り立っています。技術や知識も大切ですが、その方を思う気持ちが何より大切です。
人生100年時代が到来したいま、私が考える施設を選ぶ際のポイント3つを紹介します。
❶ 認知症ケアの充実
2025年には85歳以上の半数以上におよぶという認知症。私たちには認知症と共に生きていく覚悟が必要かもしれません。私も多くの認知症の方と関わるなかで、介護の力で、その方が穏やかに自分らしく生きられることを実感しています。より適切なケアを行うことで、認知症の方と共に暮らしていけると考えています。
❷ 食事の充実
外出などの機会が少ないご入居者にとって、1日3度の食事は大きな楽しみです。もし入居した施設の食事が美味しくなかったら、その方の生活の質も大きく下がってしまうでしょう。季節を感じられる食事、イベントで楽しむ食事、ときには豪華な食事もしたいものです。当施設ではグループ会社である食事提供事業者と、ご入居者の声や職員の提案を交えて検討を行い、常に美味しく安全な食事提供を心掛けています。
❸ お看取り
ここ数年、終末期の不可逆的な身体の変化や、積極的な治療がかえってご本人に苦痛を与えてしまうことなどへの理解が進み、介護施設での最期を希望される方も増えてきています。当施設でも、ご家族や医療機関と連携のうえ、条件が整う場合は、お看取りの対応を行っています。ただし医療的行為への制約、職員体制の問題もあり、すべての方へご提案できる状況ではないのが現状です。どのような最期を迎えるか、それぞれの価値観や思いもあり大変難しい問題ですが、今後もこの課題に取り組んでいきたいと思います。

山崎芳行(やまざきよしゆき)
㈱東日本福祉経営サービス
介護付有料老人ホーム ハートフルケア見附 施設長

 

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