1年で脳をイキイキ!認知症予防のための12カ月チャレンジ

健康と美容

最近もの忘れが増えた。こんなこと、ありませんか? 脳は使わなければ衰えていきます。このコラムでは脳をすこやかに保つための方法を、3人の先生が12回にわたって教えてくれます。ぜひチャレンジして、12カ月で認知症リスクを減らす生活習慣を身につけましょう。

●今月教えてくれる先生
梶川博(かじわらひろし)先生
医師、医学博士、認知症サポート医医療法人翠清会 梶川病院 会長
日本脳神経外科学会・日本脳卒中学会認定専門医

チャレンジ⑨身体的活動量を増やそう!

今より1日10分多く体を動かしてみましょう。厚生労働省の発表によれば、1日10分多く活動する「+10(プラステン)」によって、「死亡リスクが2.8%」「生活習慣病発症が3.6%」「ガン発症が3.2%」「ロコモ・認知症の発症が8.8%」低下するそうです(※1)。
●掃除や洗濯はキビキビと、家事の合間にストレッチ。●テレビを観ながらストレッチ。●買い物はいつもより遠くのスーパーへ歩いて行く。●エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う。など、少しの心掛けで1日の活動量を増やすことができます。
※1 厚生労働省発表の国民向けのガイドライン「アクティブガイド」より
ウオーキングなどの軽い有酸素運動を1週間に3回、30分間ほど行いましょう。全身の血流を良くするので、酸素やブドウ糖など栄養素が脳の神経細胞へ過不足なく補給され、神経細胞の減少を最小限に抑えることができます。ただし、激しい運動は活性酸素を増加させるので、アルツハイマー型認知症の予防には逆効果です。
「無理は禁物「」安静第一」などと思わず、疲れやすいときは回数を分けるなど工夫をして少しずつ動くようにしましょう。もしケガや病気で入院したときは、なるべく早くベッドから起きることで、生活不活発病を防ぐことができます(※2)。麻痺(まひ)や障害が発生したら、できるだけ早くリハビリテーションを始めることも大切です。
※2 病気やケガをしたときは、どの程度動いて良いかを医師に相談しましょう。

 認知症予防というと「頭を使う」ことに捉われがちですが、実は「身体活動」も、認知症予防に有効なことが多くの研究からわかっています。
米・ラッシュ大学医療センターのアロン・S・ブックマン氏らは、認知症ではない716人(平均年齢82歳)を対象に、日常の身体活動量を10日間測定し、併せて記憶力と思考能力も測定しました。その結果、家事などで日常的によく体を動かしている人の方が、アルツハイマー型認知症を発症しにくいことがわかりました。
また、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のテレサ・リュウ・アンブロス氏らは、軽度の認知症がみられる70歳〜80歳の女性86人を対象に6カ月間、速歩きなどの有酸素運動を週に2回1時間行う人たちと、有酸素以外の運動を行う人たちとに分けて比較しました。すると有酸素運動をした人たちの方が、「海馬」という脳の部位の容積が明らかに大きくなっていたのです。海馬は新しい記憶を一時的にためて整理する、いわば「記憶の司令塔」のような役目を担っています。
昨年来のコロナ自粛により「以前より活動量が減った」という人は多いのではないでしょうか。
使わない機能は、誰でも衰えていきます。「動かない」(生活が不活発な)状態を続けることで心身の機能が低下して、実際に「動けなくなる」ことを「生活不活発病」といいます(厚生労働省)。
生活不活発病とは、全身の機能が低下し、歩行や食事、入浴、洗面、トイレなどの生活が不自由になり、家事や仕事、趣味やスポーツ、人との付き合い、電話などの日常活動のレベルも低下した状態を指します。生活不活発病が長引くと、「寝たきり」リスクが高まるだけでなく、認知症の症状も現れるようになります。
健康な人でも体を動かさないでいると意外に早く筋肉が萎縮(いしゅく)します。安静による筋力低下は1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%にもおよび、1日の安静によって生じた筋力低下を回復させるには1週間かかるといわれています。
生活不活発病は一旦起こってしまうと悪循環に陥り不可逆的となりやすいため、治療よりも予防が大切です。上に対策を紹介しますので、ぜひ実践して認知症とともに生活不活発病も防ぎましょう。

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