木村重男先生の上手な老い方手帖「5つの感謝と共に生きる」

旅・生き方

人は生きてきたとおりに齢をとる。「いい年のとり方をしましたね」と言われるように。
良いも悪いも受け取めて、一日一日を大切に生きる、木村重男先生の珠玉のコラム。

⑬5つの感謝と共に生きる

 人間の欲望には際限がありません。毎日のように次々とテレビコマーシャルや通信販売でたくみに宣伝される目新しい商品に、「あれもほしい」「これがあると便利だ」と、つい心が動きます。
大阪のUさん(74歳女性)は、「上を見れば欲しい欲しいの星だらけ、傘着て暮らせ己が心に」と、ことあるごとに教えてくれた母親の言葉を思い出し、置かれた境遇に感謝して、分相応な暮らしを楽しんでいます。生活信条は、先祖を祭れ 親拝め親は大事に 子は宝夫はわが身の 守り刀 新潟のTさん(77歳男性)も、幼い頃から父親に教えられてきた「5つの感謝」を大切に、元気で働いておられます。それは、
❶ 朝、目が覚め、健康な体で起きられることへの感謝
❷ 朝、家族に見送られて仕事に行けることへの感謝
❸ 一日、一生懸命に仕事ができたことへの感謝
❹ 職場から無事に家に帰れたことへの感謝
❺ 家族全員が「おやすみ」と言い合って、床に就けることへの感謝
なんと素朴ながら、おだやかなよきお人柄と、充実した生活ぶりでしょうか。感謝することの大切さを、私もTさんから教えられました。
* * *
老年心理学を長年研究している新井保男教授は、高齢者の日常的な生き方について、わかりやすく、
❶ 前向きに生きること
❷ 好奇心を失わないこと
❸ 柔軟な心をもつこと
❹ 知能を低下せしめないこと
❺ 配偶者と共に老いること
と示唆しています。
なかでも配偶者と共に老いることは、長年連れ添ってきて、何もかも知りつくしているとはいえ、なかなか自分の思うようになってくれない相手に腹を立てて不愉快な生活をしている人もいるのではないでしょうか。
そんなときは、「あと何年夫婦でいられるか……」を考えてみると、「共に老いる」ことの大切さに少しは気付いて、感謝の念がわいてくることでしょう。

木村重男(きむらしげお)
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数。

 

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