シニアライフ・コンシェルジュが案内する都内の名処⑱

旅・生き方

CHAPTER18 昭和史に残る伝説のアパートを再現 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム

東京に観光名所は数あれどあまり知られていない穴場スポットは数多く存在します。そんな「」を、シニアライフ・コンシェルジュ藤野政史がご案内します。
今月は、都営大江戸線の落合南長崎駅より徒歩5分の場所にある「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」に出掛けてみましょう。

現代マンガの巨匠が集った聖地

 手塚治虫、寺田ヒロオ、藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫──。昭和を代表するマンガ家たちが、若手時代に暮らした木造2階建てのアパート。それが豊島区椎名町にあったトキワ荘です。老朽化のため、1982年に取り壊されてしまった伝説のアパートは、地域住民をはじめとした多くの方々の熱意のもと、2020年7月に豊島区立トキワ荘マンガミュージアムとして再現されました。ミュージアムがあるのは、実際のトキワ荘があった場所から徒歩5分ほどの場所。解体時に残されていた天井板から部屋のサイズ感を割り出し、当時とほぼ変わらない姿で再現されました。企画展示室をはじめとした近代的な1階に対し、2階は当時のトキワ荘の様子をリアルに体験できる空間になっています。昭和の香り漂うアパート内を、広報の北山さんに案内していただきました。「1952年に棟上げされたトキワ荘は一般の方も住むごく普通のアパートでしたが、棟上の翌年に手塚治虫先生が入居したのをきっかけに、多くのマンガ家が出入りするようになります。広い廊下の両側には四畳半の居室が並び、アパートというより現代の寮のイメージに近いかもしれません。今回再現された建物は築10年頃のようすを再現しており、あえて外壁や内装を汚すエイジングという演出を施しています」
北山さんが言うように、驚いたのは細部に至るまでエイジング加工が施されている点です。外壁の経年変化や鉄格子の赤茶けたサビ、トイレの黄ばみなど、本物さながらの作りには目を見張るものがあります。

手塚治虫が入居し、続いて藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄が暮らした14号室。現在は展示空間になっている。

昭和30年代当時を再現した共同炊事場。小物類は時代を感じさせるもので、飲料水の容器1つにまでこだわっている。

トキワ荘ゆかりの漫画や書籍が展示されている1階のマンガラウンジ。著名マンガ家たちが開館記念に寄せたお祝いメッセージ入りの色紙プリントのほか、手塚治虫がトキワ荘解体時に天井板に描いたという『リボンの騎士』のサファイア姫と自画像、トキワ荘のジオラマなどが展示されている。

当時の雰囲気そのままに、玄関で靴を脱いで上がる仕様になっている。階段にはギシギシときしむ音が鳴る工夫も。

昭和30年代の暮らしを追体験

 マンガ家の部屋を再現したスペース、トキワ荘の歴史や当時の暮らしを紹介する部屋、トキワ荘があった椎名町の歴史を紹介する常設展示室など、同じ部屋はひとつとしてありません。「3つの再現部屋は、実際に住んでいた先生方の監修によって調度品に至るまで忠実に再現しています。昭和20〜30年代のマンガ家たちの生活を垣間見ることができる、貴重な空間ではないでしょうか」と北山さん。映画好きだったという石ノ森章太郎さんのアシスタントの部屋にはフィルムが積み上げられていたり、他の部屋には描きかけの原稿が散乱していたりと、当時のようすを彷彿(ほうふつ)とさせます。
それだけでなく、ミュージアムの周辺には多くのマンガに登場するラーメン店松葉やマンガ家たちが通った銭湯の跡地など、数々の見どころが点在しています。そのため、訪れる人はトキワ荘と併せて周辺散策を楽しむのだとか。
これだけ充実した施設であるトキワ荘マンガミュージアム。整備費の一部は寄附金でまかなわれているのだそう。日本のマンガ文化の原点とも言うべきこの地を守るためにも、施設に足を運べない方は寄附という形で関わるのもひとつの方法かもしれません。

トキワ荘看板

時代と共に変化していったトキワ荘の看板書体。館外に設置された看板は、当時の写真を参考に2つの書体で再現されている。

電話ボックス

屋外には、当時広く普及していた丹頂型とよばれる電話ボックスが置かれている。マンガ家たちが出版社と連絡を取る際に使用していたそう。

窓辺に広がる風景

窓辺には、実際に部屋から見えていた風景が描かれている。夜は窓に灯りがともり、建物の外からはマンガ家が徹夜をしているかのように見える演出も。

豊島区立トキワ荘マンガミュージアム

■所在地/豊島区南長崎3-9-22 南長崎花咲公園内
■最寄駅/都営大江戸線「落合南長崎駅」より徒歩5分、西武池袋線「東長崎駅」より徒歩10分、西武池袋線「椎名町駅」より徒歩15分
■開館時間/午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
■休館日/月曜日(祝日の場合は翌平日)、その他年末年始、展示替え期間
■入館料/HPからの予約優先制
特別企画展期間は有料(詳細はHPをご確認ください)
※履物を脱いで入館する施設となります。裸足でのご入館はできませんので、靴下の着用やスリッパのご準備をお願いします。

藤野 政史さん藤野政史(ふじのまさふみ)
グローバルライフ株式会社 代表取締役
シニアライフ・コンシェルジュ
シニア世代の皆さまが楽しく、笑顔で、遊び、学ぶ、集う会
「グローバルライフクラブ」を運営。
 

 

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