「相続」を「争族」にしないために資産承継のプロが解説する相続のトラブル事例②

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【ケース②】義父の介護をした妻には?
私は2人兄弟の長男で結婚以来、両親と同居しています。弟にも家庭があり離れて暮らしています。9年前に母を看取り、8年ほど前から足腰が弱ってきた父の在宅介護が始まりました。弟夫婦は共働きで私も仕事があるため、父の介護は妻に任せきりでした。そんなこともあり父は、自分の遺産は私の妻にも相続させるようにと直筆の遺言書を書いていました。私も妻には感謝しています。そんな父が先日、93歳で亡くなりました。お葬式がひと段落して遺産分割協議の際、弟に父の遺言書を見せると「こんなの無効だ」の一点張りです。最後には、お互いに怒鳴り合いになってしまいました。こんなことなら、父には公式で遺言を作成しておいてもらえば良かったと後悔しています。

相続税の納税は10カ月以内

 相続対策は各人各様、まさにケースバイケースで考えるべきものですが、「相続が発生する前にしっかりと対策を立てておくことが必要」という点は共通しています。
それでは、事前に特段の準備をせずに相続が発生した場合を想定してみましょう。
この場合、その時点で確定した相続人全員が当事者となり、被相続人が遺した財産の分割(相続)の話し合いを行うことになります。これを「遺産分割協議」といいます。この話し合いがスムーズにまとまるときは問題ありませんが、万一、分割協議が長期化したときは、次のような影響が生じます。
❶遺産分割協議がまとまるまでの間、相続財産は相続人全員の「共同相続財産」となるため、譲渡や不動産承継の意思決定に影響をおよぼす可能性があります。
❷相続開始から10カ月以内に分割協議がまとまらない場合、相続税評価額や相続税の各種特例が適用できません。さらに、相続税の納税期限(10カ月)までに相続税を納められないときは、延滞税などが発生する可能性もあります。
❸相続で取得した含み益のある株式などを売却した場合、譲渡益税の軽減特例を適用することができずに、譲渡益税(所得税・住民税)が増加する可能性があります。

高まる「遺言」の重要性

 前項で挙げたような事象は、相続人に少なからず経済的・精神的負担を強いることになるでしょう。このような事態を回避するための対策の1つとして「遺言」の作成があります。「遺言」は相続分の指定や遺産分割方法の指定ができることから、将来の相続発生時における「争族」への対策としても有効な方策と考えられます。
「遺言」では、
❶法定相続割合と異なる内容の相続分を指定できます。
❷遺産を誰にどのような形で配分するか、その方法を定めることができます。
❸相続人以外の第三者に財産を遺すことができます。
❹公的機関や菩提寺などに財産を寄付することもできます。
❺遺言執行者を指定することができます。
これらを確認したところで、そもそもなぜ「遺言」を作成するのかを考えてみましょう。「遺言」はご自身の亡き後、財産配分に関するその思いを実現させるために作るものですから、「遺言」の執行(遺言の実現)を誰に託すのかも重要となるでしょう。配偶者やお子さまなど、遺言により財産を取得される方を指定した場合、何年・何十年の後に手続きを託されたご家族には、少なからず負担が掛かるものと思われます。愛するご家族への確実な資産の移転と手続き負担の軽減、それらを高次元で実現させる方策の1つとして、経験豊富な金融機関などの「遺言信託」を活用することも有益ではないでしょうか。

現状把握と対策をしっかりと

 相続対策の第一段階として、
●まずは、ご自身の資産構成がどうなっているか?
●次に、相続税負担がどれくらいになるか?
●現状のまま納税ができるか?
こうした現状把握をしっかりとして問題点を確認、専門家の力を借りるなどして対策を検討しましょう。ただし、立案した対策は実行に移して終わりではありません。現在のように資産承継を取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代には、その対策のままで今後も大丈夫なのかを定期的にチェックし、場合によっては内容の見直しを図ることも大切でしょう。

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