輝く人127 高畑淳子さん

インタビュー

私にしかできないことを考えて、たどり着いたのが「演劇」の世界
女優として舞台・映画・ドラマで活躍する一方、チャーミングな人柄でバラエティでも大人気の高畑淳子さん。
女優になるまでの軌跡を伺いつつ、その素顔に迫ります。

こだわっていたのは「私」というオリジナリティ

どんなお子さまでしたか?

変わっていましたね。小学校低学年のころは、授業に飽きると勝手に教室を出ていき、校長室で校長先生のおひざの上にちょこんと座っているような子でした。とにかく奇行が多くてね。小学6年生のときには、急にパーマをかけたくなって、一人で美容院に行ったこともあります。体が大きかったので、高校生だってうそをついてパーマをかけてもらったんですが、思いのほか時間がかかって、帰宅が夜8時を過ぎちゃったんですよ。そうしたら、家では私が帰ってこないと大騒ぎ。「あっちゃーん、あっちゃーん」て、近所の人も巻き込んでたいへんなことになっていました。

中高校生のころは仏像が趣味だったそうですが。

高校生のときは、趣味を持っているのがひとつのステータスでした。周りはドストエフスキーの「罪と罰」だとか、ニーチェだとか言っていたんですよ。でも私は興味が持てなくて。どうしようってさんざん悩んだ結果、思いついたのが「仏像」だったんです。でもそれは好きというより、まだ誰もやっていないことをやりたかっただけ。「私」というオリジナリティを出すことにこだわった結果なので、とうてい趣味とは言えなかったですね。当時、関西圏に住む叔父と一緒に仏像巡りもしましたが、結局はすぐに飽きてしまいました。

女優の道に進まれたのも、オリジナリティを追求した結果なのでしょうか?

そうかもしれませんね。昔、水泳をやっていて香川県で一番だったんですよ。ところが全国大会に出たら、なんとビリ!勉強もよくできるといわれて頭のいい学校に入ったら、順位は常に半分より下。水泳も勉強も自信があったのに、実はたいしたことなかったんだって思い知らされた。じゃあ、私にしかできないことってなんだろう?そう考えてたどり着いたのが、演劇の実技を教えてくれる桐朋学園大学で、直感的に「これだ!」って思ったんですね。とはいえ演劇の「え」の字も知らず、生の舞台を一度も観たことがなかった私。「自分はかわいい」って勘違いしていた部分も大きかったと思いますよ。実際に入学すると、周りはすっごくキレイな人ばかり。またもや現実の厳しさを思い知らされました。

それでも女優でやっていこうと決めたきっかけは?

 卒業後は、なんとか青年座に入れてもらったのですが、なかなか成果の出ない日々が続きました。そうして迎えた30歳。帰郷も考え始めたちょうどそのときに、舞台ドリスとジョージ『セイムタイム・ネクストイヤー』の出演が決まったんです。この舞台はブロードウェイの大ヒット作で、日本では橋爪功さんと小川真由美さんの共演で大絶賛された作品。これをきっかけに次々とオファーをいただけるようになりました。私にとって大きなターニングポイントだったと思いますね。今回の映画『お終活』で橋爪さんとご一緒できて、ご縁を感じました。

映画を通してさまざまな価値観に触れてほしい

健康や美容のためにやっていることはありますか?

当たり前のことですが、規則正しい食事と、野菜や果物をたくさんとること。そしてプールに行くのを日課にしています。昔、水泳部だったころは泳ぐのが嫌で嫌で苦しくて仕方がなかったんですが、いまはすごく気持ちいいんですよ。毎回1000メートル泳ぐようにしています。血色が良くなって美容にもいいかなと思っています。美容系で最近ハマっているのは、お粉を水で溶いて顔に塗るタイプのパック。乾いてカピカピになったところで、もう一塗りして乾いてからはがすと、肌がフワッときれいに明るくなるんですよ。パック中の顔が滑稽(こっけい)なので、楽屋で皆でやって盛り上がってます。

読者にメッセージをお願いします。

映画の醍醐味(だいごみ)は、単に作品を観るだけじゃなく、その感想を誰かと分かち合うことだと思うんです。あの人が好きとか嫌いとか、あのシーンが良かったとか悪かったとか。人によって観ているポイントが全然違ったりするので、それも面白いところ。年をとると、みんな頑固(がんこ)になるじゃないですか。誰しも自分の価値観が一番だって思いがちなんですが、実際は三者三様で、それが面白いところです。だからこそ、もっと他人の意見に耳を傾ける機会を持つべきかな、と。そのツールとして映画を役立ててほしいんです。今回の映画『お終活』は、橋爪さんや私のような熟年層だけでなく、水野さんや剛力さんの若年層や、葬儀屋に長年貢献している松下さんなど、それぞれの年代でハマる見どころが違うと思います。「終活」はネガティブに思われがちですが、これからの人生を楽しむためのもので、この映画ではそれが描かれています。皆さんでこの映画を観て、おしゃべりしてほしいです。

高畑淳子(たかはたあつこ)
1954年10月生まれ。香川県出身。1976年、青年座に入団し舞台女優としてデビュー。『セイムタイム・ネクストイヤー』『雪まろげ』『チョコレートドーナツ』などに出演。ドラマでは『3年B組金八先生』シリーズや『白い巨塔』、NHK大河『真田丸』、『アライブ』、映画でも『ALWAYS 三丁目の夕日’64』『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』『終わった人』など多数の作品に出演。さらに声優としてアニメや映画の吹き替えも行うなど多方面で活躍し、2014年「紫綬褒章」を受章。

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