太陽光発電と蓄電池でエネルギーは創って貯めて自家消費する時代へ

インタビュー

非常時に備えて創エネ&畜エネ

 台風や降雪で大規模停電が頻繁に起こる近年、太陽光発電や蓄電池の普及率が伸びています。
本誌発行元の紅屋オフセット㈱も昨年、川島工場(埼玉県・川島町)に太陽光パネルと蓄電池を設置し、太陽光発電でエネルギーを創り出す「創エネルギー(創エネ)」と、電気を貯めて必要なときに使う「畜エネルギー(畜エネ)」を可能にしました。
今月は、川島工場にこの「創エネ&畜エネ」システムの導入を決めた本誌総編集長・今井が、設置を手掛けたサンテックスマートエコリビング㈱社長・山川敦司氏と、㈱エネマン営業本部長・菊地潤氏と対談。太陽光発電システムと蓄電池のメリットと可能性に迫ります。

自社の印刷工場に太陽光発電と蓄電池設備を導入


【今井】
日本では東日本大震災を機に太陽光発電への注目が高まりました。弊社では2013年に、太陽光パネル約1500枚を川島工場と深谷工場(埼玉県・深谷市)に設置し、電力会社に売電を開始しました。年間発電量は
48万kWh(キロワットアワー)になります。
【菊地】
当時の売電価格は1kWhあたり42円でしたが、その後は価格がどんどん下がり、いまは13円ほどです。
【山川】
この価格は、経済産業省が毎年確定する「固定価格買取制度」によるものです。発電設備の容量や、電気を「すべて売る」か「余った分だけを売る」かにもよりますが、発電設備を設置してから10年間、もしくは20年間は売電価格が固定される仕組みです。
【今井】
おっしゃるとおり売電価格は下がっているのですが、昨年12月、川島工場の空いていた屋上スペースにさらに約650枚の太陽光パネルを増設、2台の蓄電池を置きました。理由は、昨年10月に埼玉県川島町と「災害時における避難場所等の施設利用に関する協定書」を取り交わしたことです。この協定により災害時などには川島工場の敷地を、地域住民の避難所および物資の集配拠点として提供するものです。

【山川】
いま、地域の防災拠点施設に太陽光発電や蓄電池設備を導入する自治体は増えています。災害が起こらないことが一番ですが、今井総編集長は万が一に備えて考えているのだと感じました。
【今井】
地域とつながり、地域に貢献することは川島町に進出した一企業としての務めです。蓄電池の導入により、災害による停電が発生してもトイレの使用や給水、スマートフォンの充電などが可能になりました。二酸化炭素の排出量は年間118トンの削減を見込んでいます。また環境面では、屋上に設置すれば太陽光パネルによる遮熱効果も期待できます。
【山川】
素晴らしいアイデアです。かつては地面に「架台」とよばれる台を設置し、その上に太陽光パネルを載せる「野立ての太陽光発電」が主流でしたが、広い面積を確保するために森林を伐採するなどの環境問題や、田畑を転用することでの高い固定資産税がネックになっていました。一方、工場や施設などの屋上や屋根を有効に使えばコストを安く抑えられ、メンテナンスも容易です。

非常時でも電力供給が必要な「病院」や「老人ホーム」

【今井】
とくに病院や老人ホームなどの施設は非常時であっても電力供給が必要ですから、今後はさらに需要が高まるのではないでしょうか。弊社は不動産事業で「リーシェガーデン和光」(埼玉県・和光市)をはじめとするサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を展開しています。練馬区・大泉学園に新たに誕生するサ高住には、太陽光パネルの設置を考えています。売電ではなく自家消費が目的です。この流れは加速するのではないでしょうか。
【菊地】
おっしゃるとおりです。最近は医療や福祉の現場で、太陽光パネルと蓄電池の設置が増えています。災害などで停電した場合、病院・介護施設としての機能が継続できるかは重要な問題です。痰(たん)を吸引する装置や熱中症を引き起こさないためのエアコンは、たとえ停電時でも止めることはできません。また、災害やシステム障害があっても事業を継続できるよう、BCP(※)対策で導入する企業も増えています。
【山川】
導入を判断する基本は経済的メリットの有無ですが、近年は環境への貢献や災害対策でプラスの価値を求める企業が多いです。

※「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の略。緊急事態に対し、企業が損害を最小限に抑えて、事業継続や復旧を図るための計画のこと

太陽光パネルと蓄電池のセットで広がる可能性


【今井】
昨年、川島工場に太陽光パネルを増設するにあたり、サンテックパワー社製のパネルを選んだのは、2013年に設置済みの設備と同一メーカーであること。国内実績豊富な安定した供給元であること。設置済みの設備にこれまで不具合がなく、品質が保証されていることが主な理由です。
【山川】
そうおっしゃっていただき光栄です。太陽光パネルも蓄電池も決して安くはありません。今後は蓄電池とセットで新しい付加価値を提供できればと考えています。
【菊地】
そうですね。蓄電池設備は、電力の最大使用ピーク時に強制放電することで基本料金を抑えることができ、同時に太陽光発電を自家消費することで使用電力量を下げられ、電気料金の大幅な削減が可能です。シミュレーション次第ですが、8~10年で購入価格の回収が実現できる見込みです。設備投資額としてはまだ高額な蓄電池ですが、今後はもっと安くなると思います。10年に1度といわれるような災害が毎年のように襲来するいまの日本にとって、蓄電池設備によるエネルギーの活用は必要不可欠になるでしょう。
【今井】
価格が下がれば環境に対する価値がより重視されるかもしれません。いまの日本は化石燃料が主体ですが、世界の流れは違います。自然エネルギーが主流になるのは必然です。今後は多くの車が電気自動車に変わっていきますが、バッテリーに貯める電気を化石燃料でつくっていては意味がありませんから。これからは蓄電池の時代であり、そこに貯めるのは自然エネルギーが理想です。太陽光発電にも新たな道が開かれると予想しています。
【山川】
おっしゃる通りです。すでに太陽光発電がベース電源になっている国があるくらいですから。
【菊地】
日本に現存する太陽光発電を一気に発電すると、国内の約半分の電気を賄うことができると聞きます。かつては企業の投資目的だった太陽光発電設備は、いまは「自分たちが使う電気はクリーンなエネルギーで」という「自家消費型」の考えにシフトしています。
【山川】
電気は私たちが生きている限り使用し続けるもの。生涯にわたって使用する電気の総量をいかに抑えるかが、経済面でも環境面でも大切なことです。一般住宅でも防災への関心の高さから、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた災害対策としての設備設置が広がっています。太陽光パネルと一緒に蓄電池を設置すれば、電気をあまり使わない時間帯は貯めておき、多く使う時間帯に使うことができます。自社の省エネと非常時への備えはもちろん、社会全体の電力需要のピークを下げることにも貢献できるのではないでしょうか。
【今井】
自治体によっては補助金制度があるので、そうした支援も把握しておいた方が良さそうです。太陽光発電・蓄電池の重要性が周知されることを期待します。今日はありがとうございました。

 

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