木村重男先生の上手な老い方手帖

コラム

人は生きてきたとおりに齢(とし)をとる。「いい年のとり方をしましたね」と言われるように。
良いも悪いも受け取めて、一日一日を大切に生きる、木村重男先生の珠玉のコラム。

⑨一人暮らしの増加

 一人暮らしの高齢者が年々増加しています。原因は未婚率や離婚率の上昇、配偶者との死別後も子と同居しない人の増加などです。
一人で暮らす高齢者のうち63%が日常生活に不安を感じており「病気や介護が必要」「頼れる人がいない」と答え、26%が家計の心配をしています。
公的年金が収入の7割以上をしめている人では、年金受給額の増減が生活に直接影響するだけに、現実をしっかりと見つめて、年金に感謝し、無駄な出費を省いて金銭を生かして使い、充実した人生を心掛けたいものです。
また、一人暮らしで「頼れる人がいない」場合は、近隣によき友人やよき相談相手をもち、少しでも生活の不安をやわらげ、周囲に迷惑や心配をかけない心掛けが必要で、自分の身の回りのこともきちんとして、日々の環境の変化に耐えられる強い精神力と、それに対応できる体力や能力を、早いうちに培っておきたいものです。
一人暮らしの母親(87歳)を亡くした知人が一番困ったのは、「保険に加入しているのかどうか」「月々の電話代や光熱費をどの通帳で、どこへ支払うのか」などについて、まったく知らなかったことだったと言います。
実の親子・夫婦の間でも、災害時の「非常用持ち出し袋」のように、最低限必要な「これだけは」というものをまとめて伝えておく、聞いておくことが、いざというときのために大切です。肩を寄せ合って育った兄弟・姉妹が、親の介護をめぐって仲違(なかたが)いする例も少なくありません。
なかなか話しづらいことですが、万一の場合は、だれに面倒を見てもらいたいのか、また見てもらえるのかを、後になってもめたりする前に、介護費用などを含めて具体的に話し合い、関係者の間で了承しておくことが大切です。
だれでも「自分は寝たきりにならない」「認知症にはなりたくない」と思っていますが、ある年齢を越えると、健康自慢の人が急に倒れたり、ちょっとしたことで骨折して寝込む可能性があることを自覚しておくべきでしょう。

木村重男(きむらしげお)
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数。

 

関連記事

TOP