輝く人125 舘ひろしさん

インタビュー

ひときわ華やかな存在だった石原プロその一員になれたおかげでいまがある
ダンディでありながらチャーミング。気さくな人柄でバラエティでも人気の俳優・舘ひろしさん。
45年前のデビュー当時を振り返りながら、最新出演映画についても伺いました。

歌や芝居よりもの作りに興味があった

10代のころは、医師を目指していたそうですね?

 開業医だった父の影響で、なんとなく医者になるのかなぁーといった程度のものでした。小学生まではわりと優等生タイプで成績もほぼオール5、それなりに楽しい学校生活をおくっていました。ところが、中学でいじめにあったのをきっかけにちょっとグレて、やんちゃな思春期をおくることに。その後、高校でラグビーと出会って更生しましたが、逆にラグビー一色の生活になってしまい、勉強はそっちのけでしたね。結局、受験では医大を片っ端から受けるも、すべて不合格。浪人しての再チャレンジも失敗に終わり、医者になるという夢は見事砕け散りました。そこで、もの作りが好きだった僕は、建築学科に進学し、建築家を目指すことにしたんです。

芸能界入りのきっかけは?

 大学4年のとき、ある雑誌に掲載された僕の写真が注目されて、スカウトされたんですよ。そしてロックバンドのボーカルとして歌手デビューしました。と同時に、映画『暴力教室』で俳優としてもデビューすることになったんです。でもね、当時は歌うことや演じることにあまり興味がありませんでした。当時の僕は、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの影響をすごく受けて、もの作りに対する興味が深まっていた時期だったので、歌や芝居よりもアルバムを作ること、映画をつくることを楽しんでいた気がします。

最終的に、芸能の道を選んだのはなぜですか?

 人生の恩人ともいうべき、渡哲也さんとの出会いがあったからでしょうね。かつて、ドラマ『西部警察』シリーズで初めてお会いしたときは、渡さんの礼儀正しく、紳士的な姿に衝撃を受けました。若造のて「渡です。よろしくお願いいたします」って握手をしてくれたんですよ。そして撮影を共にするなかで、「ひろし、お前には華がある」と言ってくれました。その言葉は僕を相手に、わざわざ立ち上がっいまでも忘れません。当時、斜陽の映画界で、ひときわ華やかな存在だったのが石原プロです。最終的にはその一員になれたおかげで、いまの僕があるんだと思います。

40年以上ぶりに演じるヤクザの組長

舘さんといえば、バイクの印象も強いですね。

 大学在学中に、アメリカ映画の中のバイカーに憧れてバイクに乗り始めたのが最初です。大型バイクのフォルムはかっこいいし、風をきって走る爽快感がたまらなくて。僕的には、あれは第2のグレ期かな。「クールス」というバイクチームを組んでいましたが、リーゼントに革ジャン、サングラス姿は、周りから見たら怖かったかもしれませんね。でも結果的にそれが、『西部警察』シリーズや『あぶない刑事』シリーズなど数々の映画やドラマ作品で役立ちました。あれから50年。僕のバイク愛はまったく変わっていません。いまはもうあまり乗る機会はありませんが……。

健康のためにやっていることはありますか?

 健康については無頓着ですね。医者の家庭ですが、体のためにああしろ、こうしろとうるさいことを言われなかったので、食事は食べたいものをたくさん食べて、嫌いなものは一切食べない主義でここまでやってきました。サプリメントもまったく飲んでいません。気楽なものですよね。運動に関しても、やりたいことをやっているだけで、スポーツジムなどに通った経験はほとんどありません。だから最近は体を動かすとすれば、趣味のゴルフくらいかな。ゴルフを始めてからずっと、スイングを完成させることが僕の大きな目標なんですが、時代とともに理論が変わり、道具も変わっていくので、常に最適のスイングを探してフォームの改善に取り組んでいます。もちろんいまもスイングを変えることに夢中。でも、そうやって、しょっちゅうクラブを振っているおかげか、自然と体幹は鍛えられているみたいです。

1月に『ヤクザと家族TheFamily』が公開されます。見どころを教えてください。

 この映画は、ヤクザの世界を舞台に「家族」の絆や愛を描いた作品です。注目は、初共演した主演の綾野剛さんの目力!彼の愛に飢えた目はすごいですよ。一緒に芝居をしていて、彼の目が訴えかけるさまざまな感情に、何度も泣かされました。彼のお芝居に対する情熱もすばらしくて、僕自身も俳優としてちょっと成長させていただいた気がしています。最近はヤクザを題材にした作品が少なくなりましたよね。僕自身、ヤクザ役は40年以上ぶりですが、いい作品に参加させてもらえたと感謝しています。ハードボイルドな映画だからこそ心に響くメッセージもあると思うので、是非、大きなスクリーンでご覧になってください。

舘ひろし(たちひろし)
1 9 5 0 年3月3 1日生まれ。愛知県出身。1975年、バイクチーム「クールス」結成後レコードデビュー。翌年には俳優デビューを果たし、映画『男組 少年刑務所』で初主演。『西部警察』シリーズの出演をきっかけに渡哲也と出会い、1983年、石原プロモーションに入社。俳優と歌手を兼任し、1984年には『泣かないで』の大ヒットで、第35回NHK紅白歌合戦に出場した。代表作は『あぶない刑事』シリーズやNHK大河『功名が辻』、『パパとムスメの7日間』など。

 

関連記事

TOP