原因と予防を徹底取材再発を防ぐ!つらい腰痛

健康と美容

腰痛に苦しむ日本人

 日本人の約4人に1人が悩まされているという「腰痛」(※1)。厚生労働省の調査によると腰痛は、仕事を4日以上休んだ人の休業原因の第1位となっています(※2)。
読者のなかにも腰痛に苦しみ、再発や慢性化に悩む方も多いのではないでしょうか。長時間同じ姿勢をしていたとき、重いものを持ち上げたとき、朝起きたときなどに感じる腰の痛みは、生活の質(QOL)を低下させます。
ひと口に腰痛といっても原因はさまざまです。腰の痛みを軽減したり再発を防止したりするためには、どのようなことに注意して生活すれば良いでしょうか?
今月は、腰痛治療の名医・西良浩一先生に腰痛の原因と対策を伺います。また、腰の負担軽減対策として、腰を痛めやすい介護現場での活躍が注目されている「マッスルスーツ」を編集部が取材・体験。その実力を紹介します。

※1 厚生労働省研究班(主任研究者=吉村典子・東大病院特任准教授)調べより
※2 2015年厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査結果」より

腰痛防止には「腰を安定させる」こと!

オリンピック選手をはじめ、腰痛に悩む5万人以上の患者を診療してきた経験を持つ西良浩一先生に、腰痛の原因と対策について伺いました。

●お話を伺った方
西良浩一(さいりょうこういち)先生
徳島大学運動機能外科学教授 整形外科医
2000年に腰椎分離症の内視鏡手術を世界に先駆けて成功。脊椎内視鏡PEDによる新しい治療法の確立に努め、患者の負担が少ない手術法の確立に貢献。「2020年版国民のための名医ランキング/桜の花出版」で整形外科医師の評価No.1。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演。

物を持ち上げるときは猫ではなくゴリラで

 確かな問診と検査で、ほとんどの腰痛の原因は特定できると話す西良先生。ゴールデンライフ世代に多いのは「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」や「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」、「圧迫骨折」による腰痛があげられるそうです。そこには加齢による「骨の変形」と「骨粗しょう症」が大きく影響しています。そこで50歳を過ぎたら、骨密度の検査を積極的に受けてほしいと西良先生は話します。
また、腰椎(背骨)が前後にずれる「すべり症」、腰椎の不安定性による「腰椎終板炎(ようついしゅうばんえん)(MODIC変化)」なども60代以上に多いのだとか。予防として大事なのは背骨の安定性で、そのためには背骨を支える「大腰筋」や「多裂筋」を鍛えると良いそうで、西良先生が推奨するのは「ドローイン」運動(左図)です。
繰り返しやすい「急性ヘルニア」、「急性腰痛症(ぎっくり腰)」に対しては姿勢が大切で、普段から猫背でいるとヘルニアになりやすいと指摘します。「モノを持ち上げる際は、腰を曲げず、膝と股関節を曲げてへそを突き出すゴリラのような体勢を意識すると突発的な腰痛を防げます。腰を安定させる姿勢と動きが大切です」と西良先生。しかし、体がかたいと股関節の動きが悪くなり、どうしても腰を動かすことになります。これには腰とは関係ないように思える「胸部」と「下半身」をやわらかくするストレッチが有効だそう(※3)。
「慢性腰痛に悩む患者さんの苦しみは本人にしかわかりません。痛みで立ち続けることや歩くこともできない症状がある場合、生活の質に大きく影響します。原因と対策を知れば、完治や再発を防ぐことにもつながるはずです。」

※3 詳しくは本誌89号で紹介した運動を参照してくださいhttps://www.goldenlife.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_tokushu-2.png

「着る、筋肉」で腰も人生も軽やかに


拡大し続ける介護ロボット市場で、安倍元首相や小池東京都知事も視察して話題を集めているのが、「マッスルスーツ」です。
今回編集部が取材したのは、東京理科大学発のベンチャー企業・株式会社イノフィス。2001年から「生きている限り自立した生活を実現したい」という研究理念のもと開発を続け、腰をアシストする「装着型筋力補助装置」を世界で初めて製品化させた企業です。
腰痛を理由に仕事を辞める人も多い介護業界において、「マッスルスーツ」は介護施設を含めて累計出荷台数が1万3000台の実績を持ち、介護従事者の腰の負担軽減と、離職率の軽減に貢献しています。
9月某日、総編集長をはじめとする編集スタッフは、昨年9月に発売された、着る筋肉といわれている「マッスルスーツEvery」の実力を体験してみることに。試着してまず驚いたのが、「これがロボット?」と思えるほどのコンパクトな形状と軽さです。重さは3.8㎏で空のリュックサックを背負うような印象。腰とお尻のベルトの長さを調節し、一体型パッドを太ももに固定すれば装着完了。慣れれば約10秒で装着できるそうです。装着後は付属の手動ポンプで人工筋肉に空気を送ります。
「筋肉を着た」実感がまったくないまま、ペットボトルが入った重さ20㎏ほどのケースを持ち上げてみると……腰を曲げることなく背中が引っ張られるように軽く持ち上がる感覚、思わず笑ってしまうほど楽々です。
作業支援ロボットの相場は通常100万円前後ですが、最近は企業努力により低価格化が進み、個人でも手が届く価格に。私たちの腰への負担軽減対策にひと役買うのではと期待されるのも納得です。


 

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