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在宅生活を続けるための介護サービス 自宅で受けられる「訪問介護」

自宅で受けれれる「訪問介護」

逝ってしまった祖父との約束

 私が介護の仕事を始めたきっかけは、祖父母の面倒をみたいと思ったことでした。幼い頃は両親の仕事が忙しく、祖父母には習い事の送迎や通院、夜は一緒に寝てもらうこともありました。
 祖父母と一緒に過ごすなかで、将来、祖父母が年をとったときに面倒を見られたらいいな、と思うようになったのです。
 高校を卒業してすぐに介護の会社に就職した私は、資格を取り、訪問介護の仕事をしました。その後、結婚・出産のために介護の仕事から離れていましたが、近くに住んでいた祖父母とは毎日のように顔を合わせ、祖父母もひ孫をかわいがってくれていました。
 そんなある日、祖父の様子が少しおかしいな……と感じるようになりました。退職後、元気がなく、ボーっとしている時間が増え、食欲も低下、トイレを汚したこともありました。いま思えば認知症か、老人性のうつ病だったのかもしれません。「じいちゃん、具合悪いの?大丈夫?」と聞くと、「大丈夫だ!何ともない!」と言われ、当時の私は、何もしてあげることができませんでした。
 そして突然、祖父は73歳という若さで自ら命を絶ちました。
 寒い冬の夜、祖母に「ちょっと出かけてくる」と言い、それが最後の言葉でした。遺書もなく、なぜ命を絶ってしまったのか誰にもわかりません。しかし、祖父は私たち家族にSOSを出してくれていたと思います。それをキャッチしてあげられなかったことは、悔やんでも悔やみきれません。
 数年後、再び介護の仕事に就くことにした私は、お仏壇の祖父に報告に行きました。「介護の仕事をして、一人でも多くの方の役に立ちたい。一人でも多くの方を笑顔にしたい。じいちゃんみたいにつらい思いをする人がいなくなるよう、私たちのように後悔する人がいなくなるよう、できることをしてくるよ。」そう約束をしました。

訪問介護、認知症のA様のケース

 訪問介護の仕事で大切にしていることは、お客様とのコミュニケーションと、普段の様子を把握しておくこと、ちょっとした変化を見逃さないことです。
 訪問介護の良い点は、自宅に伺い、私生活という近い距離で支援ができることです。ただ、自宅に他人が入ることを最初から快く思う方は少ないかもしれません。
 ご自宅で一人暮らしをされているA様は、認知症と診断されました。食事がとれない、服薬ができない、エアコンが使えない、怒りっぽいなど生活に支障が出てきてしまい、ご家族だけでは支援しきれなくなり、ご相談いただきました。
 担当のケアマネジャーとご自宅に伺うと、ご本人は「よそ様の助けなんて必要ありません。私は何でもできますから。お帰りください」と、こわばった表情です。しかし時間をかけてお話を伺っていると、しだいに表情がやわらかくなり、笑顔が見られるように。
 後日、最初は私が訪問させていただき、食事をしっかりお召し上がりいただくことと、食後の服薬を目標にしました。ご本人は私のことを忘れており「初めまして。何しに来たの?私は何でも自分でできますよ」と警戒されているようでした。そこで自己紹介と世間話をすると、だんだんと笑顔が見られ、お話しくださるようになりました。お話の流れでキッチンへ移動し、おかずをお皿に盛り付けていただき、食事をテーブルに用意することができました。私がいると遠慮されて召し上がりにくいようでしたので「キッチンで片づけをしてきます」とお伝えし少し距離を置くと、キッチンに居る私に声を掛けてくださりながら、食事を完食されました。
 次に、服薬です。「いつもどのお薬を飲まれているのですか?」と伺うと、「この薬だよ」と、ご自分で服薬してくださいました。
 それから一緒にお皿を洗い、お湯を沸かしてお茶を入れ、初回の訪問を楽しく終えることができました。その後も訪問を重ね、私たちの支援を少しずつご理解くださり、ヘルパーの訪問も楽しみにしてくださるようになりました。毎回、素敵な笑顔と「ありがとう」という尊い言葉をくださいます。ご家族からも「母の支援に心の余裕ができました」と、感謝の言葉をいただきました。
 介護の仕事は、たくさんの方との出会いがあります。その方の人生に寄り添い、お手伝いをさせていただくことができます。嬉しいことも、悲しいことも、一緒に感じることができます。本当に素敵な仕事です。仕事を通して、祖父との約束を守りたいです。
 そして、協力してお客様の生活を支えられる仲間が増えるような事業所にしたいと思っています。

牧野さおり(まきのさおり)
㈱東日本福祉経営サービス
訪問介護事業所
ときめきケアプラザ 所長

 

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