コラム

【最終回】楽しく百歳、元気のコツ⑥

楽しく百歳、元気のコツ

同じ生きるなら明るく生きた方がいい。今日を一番いい日に!何度も読み返したくなる百歳のメモリアルエッセイ。

できない時は他のやり方

 寒さが厳しい時季です。毎朝、私は台所のカーテンを開けると、しばらく外を眺めます。庭のツバキやスイセンなどが、それぞれの場所を照らすように咲いているのを、飽きることなく見ています。
 もう、気軽に外には出られなくなりましたが、家の中から、だんだんと聞こえてくる春の足音に耳をすませ、季節を楽しむようにしています。
    * * *
 一月に誕生日を迎え、九十九歳になりました。約百年間、私の体は一時も休まず、何とよく働いてくれたことかと、丈夫だった体に感謝しています。
 九十七歳まで病気をしなかった私ですが、このところ、一週間か十日の予定で入院し、胸水を取ってもらったり、貧血の対応をしてもらったりということを、三カ月おきくらいに繰り返しています。
 病院食を味わってみて、家庭料理の大切さを身にしみて感じました。めいや友人たちからの手料理の差し入れに助けられていますが、基本はやはり一人暮らしなので、自分で工夫して作りたいと思っています。
 ただ、足の衰えのため、さっと買い物に行くことができません。大好きな白あえが食べたいと思っても、木綿豆腐もこん
にゃくも買い置きがないときなど、簡単には作れなくなりました。台所での立ち仕事も、長い時間は、くたびれてしまいます。出来合いのものを買うことも増えました。
 でも、家で作らなければ味わえない簡単なものが、自分で作れなくなるのは、つらいことです。
 たとえば、千切り大根を炊き込んだ熱いごはんに、熱々の一番だしをかけて、白髪ネギ、針ショウガ、もみのりなどの薬味をのせて食べる私の「大根めし」。家でしか食べられない大好きなものは、何とか作り続けたいと思っています。
    * * *
 今までできたことが、今日はしんどくなる。年をとれば、よくあることです。そんなことを何度も経験するうちに、私は、できない自分を嘆くことをやめました。できないことは仕方がない。では、他にやりようがないかしら。そんなふうに考えるようにしています。
 ビンのふたが固くて開けられなくなったときは、いろいろ考えて、両手にゴム手袋をはめてひねったら開けやすいことを見つけました。フライパンが重くて調理がつらくなったときは、サイズが小さくて軽いものに買い換えました。
 年をとった今、時間はたっぷりあります。できることなら、時間がかかっても自分でやったほうがいい。体は、楽をすることを覚えてしまうと、どんどん楽な方へと流されてしまいます。年をとってからの能力は、使わなければ衰える一方です。
 必要以上に無理をすることはありませんし、人に頼ることが必要な場合は、そうすればいい。そのうえで、少しくらいの不便さなら受け入れて、どうこなすか工夫を楽しむ方が、生きる張り合いが生まれるものです。私はこれを、老いて暮らしを楽しむための心構えにしています。

(2017.1.29)

 

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