「介護問題」は日本社会が抱える大きな課題 気になる家庭の介護力低下

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限界のある介護保険制度

 介護保険制度が始まって間もなく20年が経過します。日本の少子高齢化と核家族化が進むなかで、この制度は「要介護者の生活自立支援」を目的にできました。
制度ができる以前は、デイサービスやショートステイ、訪問介護、介護施設はなかったわけですから、要介護者と同居する家族や近くの親族が中心となって介護を担っていたわけです。介護される側もする側も、大きな負担になっていたことと思います。また、その苦労や不安も、大きなものがあったことでしょう。  
ただし、いまの介護保険制度でも、生きるうえで必要なことすべてを賄えるわけではありません。ご家族や身内でなければできないこともあるのです。もちろん献身的に介護をされる方は多いのですが、一方で、血の繋がった家族であってもまったく関係を持ちたくない、という方もいるのが現実です。こういった方々は「介護保険制度や行政サービスで何とかしてください」と言うわけですが「いやいや、そういうわけにはいきませんよ」と返しても通じません。このような場合、矢面に立たされるのが担当ケアマネジャーで、私の場合、介護保険外でも協力依頼があれば「福祉も仕事のうち」と可能な範囲で対応してきました。利害抜きで一生懸命に対応していれば、親族の方が折れて介護にかかわってくることもあるからです。
しかし、介護保険制度を利用すれば要介護状態になっても生活全般の面倒がみてもらえる、と勘違いされているのであれば問題です。最近の「家庭での介護力低下」は、ときとして目に余るものがあります。厚生労働省は介護保険制度を設計するときに少子高齢化は予測しましたが、家庭の介護力がここまで衰えるとは予測できなかったようです。

斎藤 豊男さん斎藤 豊男(さいとうとよお)
株式会社けんこうぷらん 代表取締役
福祉用具専門相談員 福祉住環境コーディネーター

 

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