楽しく百歳、元気のコツ④

コラム

同じ生きるなら明るく生きた方がいい。今日を一番いい日に!何度も読み返したくなる百歳のメモリアルエッセイ。

工夫で楽しく「刻み漬け」

実りの秋です。新米がおいしい季節ですね。
私は硬いものが食べられなくなりましたが、好きなお漬物は食べたい。そこで考えたのが「刻み漬け」です。大根やナス、キュウリなど、何でも細かく刻んで塩で漬けます。ショウガやスダチの汁を入れてもいいし、刻んだ赤ジソを混ぜるとしば漬け風になります。
足が悪くて外に出られないので、これからの季節はプランターに春菊や小松菜、水菜の種をまいて、家の中の日当たりの良い場所に置きます。出てきた葉を、間引きして食べます。
年をとると、できなくなることが増えますが、工夫して、暮らしの楽しみを見つけたいものです。

風通しの良い家

 五十代後半から二年半ほど、認知症の義母を介護しました。約四十年前、認知症という言葉もなかった時代です。どうすればいいのか戸惑いながらの介護でした。
毎日「○○を盗まれた」と私のところに「盗難届」を持ってきました。「うちには泥棒はいないですから安心してください」と話していたのですが、専門家に聞くと「それは、まずかったね。『一緒に捜しましょう』と言えば安心するんですよ」と言われました。
ご近所付き合いが長い詩人の谷川俊太郎さんも、同じ時期にお母さんの介護をされていました。俊太郎さんが書いた絵本『おばあちゃん』は、認知症の祖母を見た孫が「おばあちゃんは宇宙人にで「そうか、宇宙人になったと思えば、何を言われても『そうですね』と受け流せる」と、気持ちが楽になりました。
それでも、昼も夜もなく介護に明け暮れていると、どんどん追い詰められました。疲れ果て、半日だけ親戚の女性に留守を頼んで、横浜まで行ったことがありました。海をながめたあと喫茶店でコーヒーを飲んで、一人の時間を過ごしました。すると帰りには「おばあちゃんが好きなシューマイを買って帰ろう」と、優しい気持ちになれました。
路線バスに乗って二~三時間出かけたこともありました。一人になって普段と違う景色を見ていると、ふっと心が救われる。そういう時間が必要です。自分を大事にしないと、親も大事にはできません。

 認知症の予防には手も足も頭も使うことが大切だそうです。毎日の家事を工夫することや、人と話すことには、脳を生き生きさせる効果があると聞きました。
逆に良くないのが、家でだれとも話さず孤立すること。昔なら縁側があって、通りかかった人と会話することもできましたが、今はそういうわけにもいきません。外に出られなくても人が来てくれる、風通しの良い家にすることを、早くから考えておきたいですね。
「家の中が散らかっているから、人に見せるのはいや」「良いお茶菓子が出せないから」なんて見栄を張っていると、人が来なくなってしまいます。散らかっていても「どうぞ」と招き入れ、「ごはんまだでしょ。一緒に食べない?」と声をかける。そういう気取らないつきあいを大切にしたいものです。

(2016.9.11)

 

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