特集

足腰に負担が少ない水中ウオーキング

足腰に負担が少ない水中ウォーキング

足腰への負担が少なく、ダイエット効果や、腰痛や膝痛(しっつう)の軽減効果が期待されている水中ウオーキング。今月は、その効果のヒミツに迫ります。

太り過ぎが招く「腰」や「ひざ」の痛み

 腰やひざに痛みを抱える人が増えています。いまや成人男性の約3割、成人女性の約2割が太り過ぎ(※)といわれる時代。太り過ぎは生活習慣病のもとといわれていますが、腰痛や膝痛の原因になることもわかっています。
 近年、患者数が増えている「変形性膝関節症」の原因の1つも、肥満によるものです。腰痛や膝痛がある人で太り過ぎの場合、医師からダイエットをすすめられることもあります。ダイエットといえば食事制限か運動療法が一般的ですが、痛みがあると運動をしたくてもできない、長続きしないという人が多いのではないでしょうか。
 そこで今月は、体への負担が少ないうえに、大きな運動効果が得られるという「水中ウオーキング」の魅力を専門家へ取材。水の特性がもたらす体への驚きの効果に迫ります。

※厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」より

専門家も太鼓判を押す水中ウオーキング

陸上と水中でのウオーキング効果の違いを、水中運動療法の第一人者である筑波大学名誉教授の野村武男先生に伺いました。

●お話を伺ったのは 野村 武男先生
筑波大学名誉教授 医学博士
約30年前に水中運動が腰痛改善につながることを研究し、「腰痛水泳」を全国に広めた水中運動療法の第一人者。筑波大学発ベンチャー企業㈱つくばアクアライフ代表として、水中運動特化型通所介護施設(VIVIDちくせいとVIVIDつくば)を運営。また、高齢者や要介護者の機能改善や回復のための水中運動プログラムを策定し、全国で講演活動や水中運動指導を行う。著書は『水中ウオーキング健康法―肥満・腰痛の予防と改善!』(講談社)など。

効果のヒミツは、水の驚くべき特性にあった

 いま、足腰への負担が少ないにもかかわらず、運動効果が高いことから、ゴールデンライフ世代に人気なのが、水中ウオーキングです。
 野村先生によると、「水中ウオーキングは中高年者の運動として体への負担が少なく、腰痛や膝痛(しっつう)で医師から手術をすすめられた人でも改善につながるケースが多い」と言います。
 そこには、水の特性である「浮力」「抵抗」「水圧」「水温」が大きく関わっています。「水中では浮力によって体重が大幅に軽くなるため、腰や足関節への負担が大きく軽減するうえ、水による抵抗で運動効果が増し、体に負担をかけることなく、短時間で効率的な全身運動が実現します。また、水に入るだけで水圧の力により血液循環が良くなり、体温よりも低い水温によって代謝が上がり、カロリー消費にもつながるのです」
 つまり、水の特性により、陸上よりも高い運動効果が得られるというわけです。

肥満・腰痛・膝痛を軽減!水中ウオーキングの力

 これまでシニア向けの水中運動療法に力を注ぎ、全国各地で水中運動教室を開いてきた野村先生は、参加者の半数以上が肥満や、整形外科的な要因で要介護にある人たちだったと言います。
 参加者のなかには、最初は水着になることや水に入ることにさえ抵抗があった人もいたそうですが、いざ水に入ってみると自分の体を簡単に動かせることが楽しくなり、ほど良い運動によって食事が進み、夜も快眠できるようになり、数カ月もしたころには水泳教室を心待ちにする人がほとんどだったそうです。なかには水中ウオーキングによって体重が減ることで腰やひざの関節障害が改善し、車いすでの移動から杖で歩けるようになり、やがては杖を忘れて帰ってしまう人もいたと言います。要介護だった人の介護度が軽くなり、要支援認定になったケースもあったそうです。ただし、水中運動をすれば症状が治る、とは一概には言い切れません。大切なのは「続けること」と野村先生は話します。
「1回45分~60分の水中ウオーキングを、笑顔でやれるくらいの負荷(ニコニコペース)で、まずは週2回行ってみましょう。いまはスポーツジムや公営のプールでも、水中ウオーキング専用のコースを設けているところがほとんどです。生活に合わせて自分の好きな時間に行うだけで結構です。半年間続けることで、体の変化を実感できるはずです。残念なのは、少しでも改善すると、続けていた運動をやめてしまう人が多いこと。大切なのは継続することです。一人でも手軽にできる運動ですが、「楽しい」と思えなければ続きません。仲間と一緒に目標を持って行ったり、コーチがいるスポーツジムなどに通ったりしてみるのも運動を続けるコツです」水中ウオーキング、始めませんか?


野村先生が代表を務める通所介護施設「VIVIDつくば」(茨城県つくば市)の水中運動ができるセラピープール


水の効果は自律神経を整え、ストレス軽減やうつ予防にもつながる

 

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