インタビュー

輝く人104 一路真輝さん

輝く人104 一路真輝さん

集団のなかでの責任感は宝塚音楽学校時代に培われた

元宝塚歌劇団雪組トップスターで、現在も舞台を中心に女優として活躍する一路真輝さん。
芸能生活37年を振り返るとともに、美の秘訣や舞台『細雪』についても伺いました。

12歳で決断宝塚へまっしぐら

宝塚を目指したきっかけは?

 小学6年生のとき、初めて宝塚の舞台を観に行きました。そこで、あの世界観にグーっと引き込まれ、「私の進むべき道はこれしかない」と強く思ったんです。もともと人前で日本舞踊を踊ったりピアノを演奏したりするのが大好きだったので、華やかな舞台に思わず自分の姿を重ね合わせたのかもしれません。以来、私の頭のなかは寝ても覚めても宝塚のことばかり。中学時代は宝塚音楽学校に入ることしか考えていませんでしたね。両親も、そんな私をあたたかく見守ってくれました。兄や妹弟も、私の都合に振り回されても文句も言わずに応援してくれました。だからこそ、無事に宝塚音楽学校に入学し、2年間の修練を全うできたんだと感謝しています。

宝塚音楽学校時代の思い出を教えてください。

 皆さんもご存じのように、とにかく「厳しかった」のひと言につきますね。朝から晩まで歌や踊りのお稽古三昧でしたが、覚えているのは上級生に厳しく指導されたこと。目上の人に対する言葉使いや姿勢、そうじといった日常生活の基本まで、徹底的に叩き込まれました。ときには理不尽に思うこともありましたが、それも含めて宝塚。覚悟のうえで入学していますし、何より舞台に立つという大きな夢があったので、少々のことで心が折れることはありませんでした。むしろ厳しい環境だからこそ、同期の結束が強まって、集団のなかでの責任感が培われました。たった2年という短い間でしたが、多くのことを学び吸収できた貴重な時間だったと思います。

宝塚時代でもっとも印象に残っている作品は何ですか?

輝く人 一路真輝さん 宝塚歌劇団には約14年在籍し、たくさんの作品に出演させていただきました。それぞれに思い入れはありますが、あえてあげるならば退団公演のときの『エリザベート』ですね。この作品はウィーンで生まれた人気のミュージカルで、このときが日本初上演。宝塚にとっても、私にとっても大きなチャレンジでした。何しろ演じる主人公が「黄泉(よみ)の帝王・トート」、いわば「死神」ですから。宝塚人生を締めくくる作品としてふさわしいか悩んだのも事実です。上演にあたっては、周囲の賛否もありました。それでも、もともとすばらしい作品でしたから、あっという間に皆さんに受け入れられていき、結果的には歴史に残る一作になったのではないでしょうか。そして退団後は、東宝版『エリザベート』でエリザベート役として出演させていただきました。私の女優人生に欠かせない縁の深い作品となっています。

お風呂は仕事の準備にも美容にもいい最高の空間

美容で気を付けていることはありますか?

 1年を通して、朝と夜の1日2回お風呂で半身浴をするのが習慣です。仕事と子育てを両立させているいま、お風呂に入っているときが一人になれる唯一の時間です。といっても、ゆったり優雅に過ごしているわけではなく、台本を読んだり、歌の練習をしたりしています。誰にも邪魔されず集中できる最高の空間です。しかも半身浴をすると、気持ちのいい汗がかけますし、浴室の蒸気で肌も潤いますからね。仕事の準備をしながらお肌のお手入れもできちゃう、そんな感じです。あとは、ピラティスも私のお気に入りです。深い呼吸を意識しながら体を動かすと、全身に酸素が巡って気持ちが安定します。朝やると、目覚めもスッキリ。1日元気に過ごせるのでお勧めですよ。

お仕事以外に熱中していることはありますか?

 そもそも仕事から離れるのって難しいですね。音楽を聞いたり、舞台を観に行ったりするのは大好きですが、結局は仕事に直結してしまいます。好きなことを仕事にしている宿命かもしれませんね。そんななか、最近ようやく仕事を忘れてやってみたいことが見つかったんです。それは娘と海外旅行に行くこと。娘が中学生になったら実行しようと、いまからあれこれとプランを練っています。

ご出演されている舞台『細雪』について教えてください。

 先日、大阪での仕事の合間に、作者・谷崎潤一郎氏が「細雪」を執筆したといわれる生家( 倚松庵(いしょうあん))や、谷崎潤一郎記念館などに行ってきました。実は、私が演じる「幸子」は、谷崎潤一郎氏の3番目の奥様をモデルにしているそうです。倚松庵では、その奥様についてお話を伺ったり、記念館では奥様がインタビューを受けていらっしゃる動画を見せてもらったりしました。そうした機会にふれ、いま私なりに幸子のイメージが仕上がりつつあります。その幸子を通して、作品の新たな魅力を感じていただけたら幸いです。

輝く人 一路真輝さん一路真輝 (いちろ まき)
本名・石川いづみ(いしかわ いづみ)。
1965年1月生まれ。愛知県出身。1982年、宝塚歌劇団に68期生として入団。歌唱力の高さが評価され、1993年には雪組トップスターに就く。『風と共に去りぬ』『雪之丞変化』などの人気作に出演し、1996年日本初演となる『エリザベート』で退団した。その後は、女優として『王様と私』『キス・ミー・ケイト』『アンナ・カレーニナ』などの舞台やコンサートを中心に活躍中。


 

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