人にはそれぞれの生き方があり、人生にはドラマがある。私もいつの間にか86歳になった。
ふと、あと何年生きられるかと思うことがある。必死に生きてきた私の半生を書いてみたい。
⑧歳月は人を育て、風雪は人を鍛える
敗戦後、台湾引き揚げから間もなく両親を亡くした私は、昼間は薬局で働きながら高校の夜学を卒業した。昭和32年4月、倫理研究所へ入所。先輩K先生のかばん持ちからスタートして、朝礼の資料『十分間の教養集』(のちの『職場の教養』)を手掛けた。
倫理法人会の歌を作詞
昭和45年秋、「倫理法人会」が誕生して以来10年、倫理を経営に取り入れる企業が1万社を突破した。
これを記念して平成2年6月10日、11日の両日、千葉県浦安市の東京ベイNKホールを中心に「倫理法人会1万社達成記念大会」が開催され大盛況をきわめた。また、全国の会員から広く「倫理法人会の歌」を募集することになった。有り難いことにたくさんの応募が寄せられたが、「帯(おび)に短し襷(たすき)に長し」で結論が出なかった。急きょ、当時、法人開発局企画担当部長だった私に期日までに作詞するように銘じられ、ない知識をしぼってまとめたものが結局採用された。その歌は、晴れの大舞台で披露された後に、全国の倫理法人会で週1回開催されるモーニングセミナーの冒頭で、出席者全員で歌うことになった。
倫理法人会の歌翔け未来へ
作詞/木村重男
作曲/中村八大
①
輝く朝の陽をうけて
希望を胸に立ちあがる
あしたを築く楽しい仲間
あなたと(あなたと)
わたしの(わたしの)
倫理法人会
②
豊かな国を求めつつ
使命に燃えてやり通す
あしたを担う愉快な仲間
あなたと(あなたと)
わたしの(わたしの)
倫理法人会
③
喜働にはげむ人の和は世界を照らす道しるべ
あしたに生きる嬉しい仲間
あなたと(あなたと)
わたしの(わたしの)
倫理法人会
日本の歌謡界で有名な中村八大先生に作曲をしていただいた光栄は一生忘れられない。
法人関係も年々発展して、朝礼の資料である「職場の教養」は、月200万部を発行し、現在なお「10万社達成」を目標に活動している。
余談だが、この「倫理法人会の歌」が大好きだという会長がいて、「わが校の校歌を作詞してほしい」という強引な依頼があった。九州
でも有名な「佐賀コンピュータ専門学校」である。
佐賀コンピュータ専門学校校歌
作詞/木村重男
作曲/松木敏晃
(陸上自衛隊中央音楽隊)
①
干潟(ひがた)の有明 豊かな筑紫野(つくしの)
歴史の街に 未来をみつめ
時代を先どるコンピュータ
栄の国の 先進校
ほこり高き ほこり高き
われらが母校SCC
②
命涯(かぎ)りあり 知は涯りなし
燦(さん)と輝く あゝわが英知
研鑽無限(けんさんむげん)をこころして
向学の仲間(とも) ここに集う
力強き 力強き
われらが母校SCC
③
永遠(とわ)の活力 感謝の心
みなぎる希望 あゝ糧(かて)にして
社会を担(にな)う 技と情熱(ちから)
大空高く いざ舞いあがれ
ほこり高き ほこり高き
われらが母校SCC
われらが母校 われらが母校
あゝ佐賀コンピュータ専門学校
作曲は陸上自衛隊中央音楽隊で、じつに勇壮で甘美に仕上げていただき、いまでは県の内外に名声をとどろかせている。
私はいい人たちとの出会いと天職から学ぶことが多く、無知蒙昧(むちもうまい)の殻を多少はがすことができて幸せだった。
①「歳月は人を育て、風雪は人を鍛える」(体験の積み重ねがその人を大きくする)
②「真剣だと知恵が出る、生半可だとぐちが出る、いい加減だといい訳ばかりする」
③「叱られてわかり、叩かれてものになり、恥をかいて人は磨かれる」
④「理想は高く、信念は強く、頭はさらに低く」
――私の好きな言葉であり、座右の銘でもある。
正に「命涯(かぎ)りあり、知は涯りなし」(荘子)いい教えである。
木村重男(きむらしげお)
1933(昭和8)年生まれ85歳
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数