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生活習慣の改善で予防したい脳血管性認知症

脳血管性認知症

84歳、現役医師が伝える健康と病気の話、第6回。2025年には65歳以上の約5人に1人が発症するといわれる認知症。今月は、認知症の原因で2番目に多い「脳血管性認知症」のお話です。

認知症で2番目に多い「脳血管性認知症」

 2025年には700万人にのぼると推計されている認知症。多くの人が認知症に対して不安を抱いているのではないでしょうか。
 認知症の原因となる病気はいろいろとありますが、最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、日本人の認知症の約60%を占めています。次いで多いのが「脳血管性認知症」で、約20%です。
 認知症を予防するためには、この2つの病気を発症させる「危険因子」を減らすことが大事になります。そこで先月は、アルツハイマー型認知症のお話をしました。今月は、脳血管性認知症についてお伝えしたいと思います。

主な原因は脳卒中の発作

 脳血管性認知症の主な原因として、脳卒中( 脳梗塞(の うこうそく)・脳出血)が挙げられます。
 これらの病気により脳の血管が障害されることで、脳の神経細胞が必要とする栄養が行きわたらなくなり、多くは脳卒中の発作を起こしてから3カ月以内に、認知機能の低下が急に現れます。
 症状は脳発作を起こすたびに階段状に進行していき、以前は「まだらボケ」とよばれていました。認知機能の障害は比較的軽く、まだらなボケのため、記憶障害は進んでいても計算や理解力は正常であるなど、症状が不均一なことが特徴です。
 また、片麻痺(かたまひ)、構音(こうおん)障害(※1)、嚥下(えんげ)障害、歩行障害、尿失禁、病的反射(※2)などの症状を伴うことが多いようです。
 精神症状としては、意欲や意識、感情の障害がみられ、症状が進むと、せん妄(もう)(※3)や被害妄想などの周辺症状といわれる症状がみられるようになります。

※1 発音がうまくできない状態
※2 正常では認められない筋収縮が、叩打や皮膚擦過の刺激で現れる状態
※3 意識障害により混乱し※4〔 体重kg÷(身長m)2〕で算出される体格指数 時間や場所がわからなくなる、幻覚を見るなどの状態

生活習慣病の予防が認知症予防になる

 認知症の疫学研究では、生活習慣の改善が認知症の予防につながることが、次第に明らかとなってきています。なかでも特に注目されているのが、食生活と運動の習慣です。なぜかと言えば、脳血管性認知症の原因となる脳梗塞や脳出血の危険因子は、肥満や高血圧症、脂質異常症、糖尿病などで、これらの発症には運動不足、食塩の過剰摂取、飲酒、喫煙などの生活習慣が大きく関係しているからです。特に腹部の肥満は、脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型認知症の発症リスクを高めることもわかっています。
 カリフォルニア州にある保険会社の調査研究では、肥満の人はそうでない人に比べて将来、認知症を発症するリスクが1.9倍〜3.6倍にもなることが明らかになっています。この調査では、6583人を対象に腹部肥満度と、その後の平均36年間での認知症発症率との関係が調べられました。その結果、体重に関わらず腹部肥満度が高い人は、腹部肥満のない人に比べて、将来、認知症を発症するリスクが1・89倍高いことがわかりました。また、BMI(※4)が30以上で腹部肥満がある人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが3・60倍にもなることがわかりました。生活習慣の改善は、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣
病を防ぐだけでなく、認知症予防にもつながるのです。

※4〔 体重kg÷(身長m)2〕で算出される体格指数

うっすらと汗をかく運動を30分、週に3回

 適度な運動を続けることは、高血圧やコレステロール値を下げる効果があり、動脈硬化や肥満の予防になります。また、脳の血流を増加させ脳の代謝と循環が活発になるため、認知機能も高まることがわかっています。適度な運動により、思考に関係する脳の部位に血液を送る血管を増やし、新しい神経細胞の発生を促進することが明らかとなってきているのです。
 適度な運動といえば、まずは歩くことです。歩くことなんて何でもないように思えますが、歩くだけで脳のいろいろな領域が刺激され、脳の代謝と循環が活発になります。また、筋力の低下も抑えることができます。
 散歩などの軽い運動でも全身の血液循環を良くしますので、神経細胞へ酸素やブドウ糖などの栄養素が過不足なく補給され、脳の神経細胞の減少を最小限に抑えることができます。
 また、水泳や水中ウオーキングなどの有酸素運動も効果的です。
 適度な運動とは、うっすらと汗をかくくらいの運動を30分間、少なくとも週に3回行うのが目安です。激しい運動や過度のジョギングは心臓に負担をかけて、かえって寿命を縮めることになりかねませんので、運動の種類には注意しましょう。

脳卒中リスクを抑えて認知症予防

 ほかにも脳卒中や心筋梗塞の発症リスクとして、睡眠中の発汗によって気付かないうちに水分が失われて、血液濃度が濃くなることが挙げられます。これを防ぐには、就寝前にコップ1杯の水を飲むことがお勧めです。また、これからの寒い冬は、冷たい空気に触れることで血管が収縮し、血圧が上昇することで脳卒中のリスクが高まる季節です。室内でもトイレなど
の寒い場所に行く際は、軽く上着をはおったり靴下をはいたりするなど寒暖の差に気を付けましょう。

 

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