都内の名処

シニアライフ・コンシェルジュが案内する都内の名処⑥

都内の名処

CHAPTER6 海と共に育まれた大名庭園 旧芝離宮恩賜庭園(きゅうしばりきゅうおんしていえん)

あまり知られていない穴場スポットは数多く存在します。そんな「都内の名処」を、シニアライフ・コンシェルジュ藤野政史がご案内します。今月は、JR浜松町駅の隣に広がる大名庭園「旧芝離宮恩賜庭園」に出掛けてみましょう。

水の満ち引きを楽しんだ遊び心溢れる名園

 旧芝離宮恩賜庭園は、今から約350年以上前、海面を埋め立てた土地に小田原藩主・大久保忠朝(おおくぼただとも)が屋敷を建て、庭を作って「楽壽園(らくじゅえん)」と名付けたところからその歴史が始まりました。以来さまざまな人の手に渡り、紀州徳川家の芝御屋敷、有栖川宮家の所有を経て、明治8年に宮内省が買い上げて翌年に芝離宮となります。関東大震災によって建物と樹木の大半が失われてしまいましたが、震災の翌年に東京都の庭園となってから整備と復旧工事が行われ、大正13年より一般公開されるようになりました。今月は、現存する大名庭園の中で最も古い部類に入るこの庭園を、所長の黒﨑さんと共にご案内しましょう。
 浜松町駅の北口に降り立つと、すぐに控えめな佇まいの正門が見えてきます。ここ旧芝離宮恩賜庭園は、国の名勝にも指定されている由緒正しき回遊式泉水庭園。ひとたび門をくぐれば、ビルの谷間に別世界が広がります。
「東京都には多くの日本庭園がありますが、これほどまでに遊び心に溢れた庭園は見たことがありません。ここが造られた当時、敷地内の池には海水が引かれていました。そのため、潮の満ち引きによって池の水位が変わり、訪れる人々はその景色を楽しんでいたようです。わざと入り組んだ池の形にして潮の満ち引きを鑑賞したり、雪見灯籠がある州浜と砂浜の両方を設けるなど、池の造り自体にも工夫が見られます。また、引き潮の時には飛石を渡って中島や浮島を巡るという楽しみ方もしていたようです」と黒﨑さん。通常中島は見せる島であって、渡らせるということはないそう。ここはあえて渡ることを良しとしたことからも、遊び心が感じられます。当時は波の音が聴こえるほど海に近く、明治天皇が来られた際には庭園内の丘(九尺台)から漁業の様子をご覧になったと黒﨑さんが教えてくださいました。

勇壮な石組の数々

 旧芝離宮のもう1つの見どころが、あらゆる石を巧みに組み合わせた石組です。庭園内は数々の名石を用いた庭造りが行われており、中国で仙人が住むと言われる蓬莱山(ほうらいさん)を表した中島の石組のほか、藩主の地元・小田原から運ばせた名産・根府川石を使った根府川山の石組の群れなど、実に見事なものばかり。池の中央には、造園当時日本人にとって憧れの地だった中国は西湖の堤を模した石造りの堤がありますが、この先にある中島の石組は楽壽園の頃からのものだ
そう。
 旧芝離宮は、現在近隣のオフィスで働く方たちの憩いの場として愛され、お昼時にはお弁当を広げてくつろぐ方も多いのだとか。また、日本庭園は四季の移り変わりを感じられる上、程よい起伏と広さのため、散歩をするにはうってつけの場所。足腰が弱くなったシニアの方には、駅から近いこちらの庭園散策をリハビリに勧める医師も多いのだそう。
65歳以上の場合、年間パスポートを購入しても280円という、お値段的にも魅力的な旧芝離宮恩賜庭園。ぜひ一度、海風が心地良い都会のオアシスを歩いてみませんか?


 

藤野 政史さん藤野政史(ふじのまさふみ)
グローバルライフ株式会社 代表取締役
シニアライフ・コンシェルジュ
シニア世代の皆さまが楽しく、笑顔で、遊び、学ぶ、集う会
「グローバルライフクラブ」を運営。
 

 

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