特集

年を重ね経験を積んだ今だからこそできる自分を輝かせる生き方⑤

自分を輝かせる生き方

ワイワイ賑やかな食卓を子どもたちに。
日頃忙しいお母さんには一食分でもゆっくり過ごしてもらいたい。
そんな思いから東京・豊島区の自宅で子ども食堂をオープンした山田和夫さんにお話を伺いました。

Chapter 05 皆が集まるあたたかい居場所子ども食堂

大人が楽しむことで子どもも楽しくなる

 現在、日本の子ども(18歳未満)の7人に1人は貧困状態にあるとされています。子どもの貧困率とは、国民を可処分所得(手取り収入)の順に並べ、その中央の人の半分以下の所得しかない人の割合をいいます。例えば親子2人世帯の場合、月に約14万円以下(公的給付含む)の所得で暮らしていることになります。こうした世帯で育つ子どもたちに、栄養豊富な食事と安心できる食卓を安価で提供しようと、全国各地に誕生しているのが「子ども食堂」です。
 東京・豊島区の「要町子どもあさやけ食堂」は2013年、山田和夫さんが自宅を開放してスタートしました。毎月第1・第3水曜日の17時半〜19時に、子どもには「安心・安全な食事」と「遊び場」を、お母さんには「息抜きできる時間」を提供しています。
 多い日には20台近くの自転車が山田さんの家の前に並び、40人近い親子が訪れます。食堂を手伝うボランティアはおよそ20人。「貧困問題に立ち向かおうという気はさらさらなく、できることを淡々としているだけです。食事が足りないときもありますが(笑)、そこは愛きょう。みんなで協力して切り抜けています」と山田さん。
 大人たち自らがこの活動を楽しんでいることが、子どもたちも楽しい気分にさせていて、食事が終わった後も遊んでいく子がほとんど。なかには開催日ではない日に来てしまい、残念で泣いてしまう子どもや、駆け足でやって来て「ただいま!」と玄関を開ける子も。無邪気な「ただいま!」の声に、思わず涙を流すボランティアの人も多いそうです。

妻が遺した一枚のレシピがきっかけに


 学生時代は教師を目指していた山田さん。しかし「社会を知らない人間が先生になるべきではない」と考え直し、子ども好きだったことからキャラクターグッズなどを販売する大手企業に就職します。まもなく退職し、思い切って玩具メーカーを起業。事業は波に乗っていましたが、余生は妻とゆっくり暮らしたいからと、60歳を機に社長の座を譲りました。しかし引退したその年に、奥さんは病に倒れて亡くなります。
 闘病中の妻に病床で告げられたのは「このレシピで私の活動を引き継いでほしい」という言葉。
 奥さんは生前、子どもを見守りながら仕事がしたいと、自宅でパンを焼いて玄関で販売していました。国産小麦と天然酵母で焼くこだわりのパンは人気でしたが、どうしても売れ残ってしまうパンがあります。奥さんは、それを福祉団体を通して池袋の路上生活者へと寄付していたのです。
 葬儀をはじめさまざまな手続きが半年ほどで落ち着くと、ふと孤独感に押しつぶされそうになった山田さんは、妻が遺したレシピを思い出します。山田さんは、パンを焼いて寄付することにしました。
 そうこうしていると、ある人から子どもの貧困問題に取り組んでみては?と提案されます。子どもが好きな山田さんは、せっかくパンを焼いているのだからと、子ども食堂を始めることにしました。

気負わない活動が支援する人の生きがいにも


 子ども食堂を始めて間もない頃は、材料費をまかなうのもひと苦労でした。生協でのアルバイト代を充てるほどだったと言います。しかし、その活動が少しずつ認知され始めると、区の助成金や、さまざまな企業や団体から寄付や物資が集まるようになりました。現在では全国各地から応援者が訪れています。札幌から「子ども食堂を開きたい」と手伝いに来る人や、山形の女子大生が夜行バスで来たこともありました。近所でタバコ店を営む81歳の女性は「ここで手伝うことが私の生きがい」と言ってくれるそうです。
「食べに来てくれたり、手伝いに来てくれたりすることが、最大の褒め言葉です」と山田さんは頬をゆるめます。
 要町子どもあさやけ食堂は、今年で5周年を迎えました。5年の間には山田さんが自宅を空けることもありましたが、誰かしらが必ず手伝ってくれて、食堂を休んだことは1度もありません。あと5年は続けて、それから先はまた改めて考えたいとのこと。「これまで設立主旨とか小難しいことを考えず、皆で作り上げたからこそ続けてこられた」と振り返る山田さん。気負わずにゆるく取り組む姿勢は、何かを始めるちょっとしたコツなのかもしれません。

 

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