インタビュー

2人に1人はがんになる時代 知っておきたいがんの基礎知識

知っておきたい!がんの基礎知識

日本人の寿命が延びるにつれて増えているのが「がん」です。現在、生涯のうち2人に1人はがんにかかり、3人に1人はがんで亡くなっています(※)。今月は、知っているようで知らない身近な病気「がん」について特集します。

「がん」は老化現象の1つ

 現在、がんは日本人の死亡原因の第1 位となっています。国立がん研究センターの最新の「がん統計」によると、2016年にがんで死亡した人の数は37万2986人に及び、これは死亡数全体の3割を占め、実に3人に1人はがんで亡くなっています(※)。
 生涯でがんになる確率は、男性62%、女性46%で、約2人に1人はがんになる計算です(2013年のデータに基づく)。
 年齢によるがん罹患率の変化は、男女共に50代から増加し、高齢になるほどその数は増え、60代以降は女性よりも男性の方が顕著に高くなっています。
 もはや「がんになる」ことが老化現象の1つと捉えられる現代。がんについての正しい知識を持ち、がんの予防に努めることが、私たちには必要不可欠といえそうです。

※厚生労働省の「平成28年人口動態統計」より

なぜ「がん」になるの!?教えて先生!がんQ&A


「がんになる」「がんにならない」の分かれ目は何なのでしょうか? 知っているようで知らない「がん」のこと。埼玉医科大学国際医療センターの西川忠曉先生に教えていただきました。

●お話を伺った方
西川 忠曉(にしかわただあき) 先生
埼玉医科大学国際医療センター 婦人科腫瘍科 外来医長
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 日本がん治療認定機構 がん治療認定医 日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医

 どうして「がん」になるの?

 人間の体は約60兆個(最近では37兆個という報告もあります)の細胞で構成されています。がんは正常な細胞が変化した、異常な細胞の塊です。正常な細胞が、なぜがん化するのかといえば、全ての細胞が持っている「がん促進遺
伝子」と「がん抑制遺伝子」という2つのがん関連遺伝子が関係しています。前者をアクセル、後者をブレーキとして考えた場合、両者が正しく機能しているうちは問題ないのですが、何らかの発がん要因によってこれらの遺伝子に傷がつくと、細胞が無秩序に増殖を繰り返す「がん細胞」へと変化するのです。実は、私たちの体の中では毎日5000個以上のがん細胞が作られているといわれています。しかし、そのほとんどは体にそなわっている免疫システムのおかげで、増殖することなく消滅します。

 がんは遺伝しますか?

 私たち人間は各細胞に、父親と母親それぞれから受け継いだ遺伝子を1つずつ持っています。先に述べた「がん関連遺伝子」も同様です。ですから、たとえ一方のブレーキが利かなくなっても、もう一方のブレーキが正常に働けば、が
ん細胞にはなりませんが、両方のブレーキが利かなくなると、細胞ががん化してしまうのです。ですから生まれながらにして一方の「がん関連遺伝子」に変異がある方の場合、若年でがんが発生しやすいと考えられます。
 生まれつきの体質や遺伝が関係している報告もあります。紫外線の影響を受けやすい白人は、黄色人種や黒人に比べると「皮膚がん」にかかりやすいことがわかっています。「卵巣がん」や「乳がん」など、ある程度の遺伝性が認められるがんもありますが、それでも、遺伝の影響はそこまで大きくはないことが、さまざまな研究からわかっています。

 良性と悪性の違いは?

 細胞が異常増殖した塊を「腫瘍(しゅよう)」といいます。「良性腫瘍」は細胞変異が少なく、特定の場所で増殖して大きくなったものです。外科的手術で取り除けば再発の可能性は低いといえます。それでも「子宮筋腫」や「卵巣のう腫」なども含まれるので、早めの診断が必要です。
 一方、がんに該当するのが「悪性腫瘍」です。増殖するだけではなく、周囲の細胞組織に広がり(浸潤[しんじゅん])、別の場所に転移して新しいがん組織を作ります。また「がん悪液質(あくえきしつ)」という物質を分泌し、ほかの正常な細胞が摂取する栄養を搾取(さくしゅし)、体を衰弱させます。

 日本人に多いがんは?

 日本人は長い間、井戸水を摂取してきたため、多くの人がピロリ菌に感染しており、「胃がん」の発生リスクを高めているといわれています。また、「子宮頸(しきゅうけい)がん」の罹患率(りかんりつ)が欧米諸国に比べて高いのは、ワクチンの接種率や検診率の低さも影響しているとされています。そのほか、「卵巣がん」の中でも治療が難しいとされる「明細胞(めいさいぼう)がん」は、欧米やアジア諸国では卵巣がんのうち5%を占める程度ですが、日本では10%~15%を占めるといわれています。その理由は、はっきりとはわかっていません。

 がんになる一番の要因は?

 発がん要因は、生活習慣や環境、時代背景などさまざまです。例えば、ここ50年で罹患率が7倍に増えている「乳がん」は、女性の社会進出による晩婚化や少産化も関係しているといわれていますが、最近増えている「大腸がん」々、食生活の欧米化が大きな要因と考えられます。動物性たんぱく質の摂取量の増加と、野菜や果物などをあまり摂らなくなったこと、加えて肥満もリスクを高める要因です。食事を含む生活習慣が、一番の危険因子と言えるでしょう。

知っていますか?他人ごとではない「希少がん」

がん患者さんの約5人に1人は「希少がん」といわれています。しかし、その診断や治療には、希少とよばれるがゆえの問題がありました。
希少がんについて引き続き、西川先生に伺います。

希少とは言い切れない事実

 罹患率が10万人あたり6人未満のがんを「希少がん」とよびます。「肺がん」の症例数の場合、10万人あたり年間200人ほどですから、いかに「希少がん」が稀であるかがわかると思います。
 具体的には、脂肪・筋肉・神経などの軟部組織や骨にできる悪性腫瘍の「肉腫(サルコーマ)」をはじめ、「悪性脳腫瘍」「皮膚腫瘍」「眼腫瘍」「中皮腫」「副腎がん」「神経内分泌腫瘍」などが「希少がん」とよばれ、200種類近くあるとされています。ただし、1つひとつの「希少がん」の罹患率は低くても、全ての「希少がん」を合わせると全がん患者の20%に及ぶといわれています。そう考えると、決して稀ながんとは言い切れません。

もし「希少がん」になったら

「希少がん」は希少であるがゆえに、治療法はもちろん、診断に関しても医療体制が確立されていないことが問題視されています。患者さんにとっては「情報が少ない」「情報が得られない」といった怖さがあります。こうした問題から国は2012年の「がん対策推進基本計画」で、「希少がん」の治療も主要な「がん」と同様に推進するよう目標を立てました。これにより国立がん研究センターをはじめ、がん研究施設などに、電話による相談が可能な「希少がんセンター」や「サルコーマセンター」が設立されています。
 治療薬の開発では、日本では2003年から製薬企業に代わって医師自らが薬剤開発を行うことができる「医師主導治験」の仕組みが作られました。
 治験とは、開発薬を実際に患者さんに使ってもらい、有効性などを確かめる臨床試験のことです。
 現在、「希少がん」の中でも特に発症頻度が低い「子宮がん肉腫」に対して、医師主動治験が全国7施設(※)で進められています。
 患者さんが治験に参加することが治療薬の承認につながり、「希少がん」治療全体の希望になるかもしれません。決して他人ごとではない「希少がん」。ぜひ多くの人に知っておいてもらいたい、と西川先生は話します。

(※)「国立がん研究センター中央病院」「埼玉医科大学国際医療センター」「静岡県立がんセンター」「愛知県がんセンター中央病院」「兵庫県立がんセンター」「四国がんセンター」「九州がんセンター」の7施設
【参考URL】https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/1201/index.html

がんを遠ざけるには?がん予防5つの法則

そもそも「がん」は予防できるのでしょうか? 国立がん研究センターの津金昌一郎先生が監修する書籍より、予防に大切な5つのことを紹介します。

生活習慣の見直しで「がんリスク」を下げる

がん予防1 たばこを吸わない

 日本人のがん死亡の20%~27%は喫煙が原因。「肺がん」だけでなく、「食道がん」「胃がん」「すい臓がん」「肝臓がん」「子宮頸(しきゅうけい)がん」「頭頚部(とうけいぶ)がん」「膀胱(ぼうこう)がん」のリスクを確実に高め、「大腸がん」「乳がん」も高くなる可能性があるとしています。
 タバコの煙には70種類以上の発がん性物質が含まれ、副流煙の方がより多くの有害物質を含んでいます。喫煙は自身だけでなく、家族や周囲の人の健康にも悪影響を及ぼします。禁煙治療は一定の要件を満たせば、公的な健康保険も適用されます。禁煙外来を受診しましょう。

がん予防2 お酒はほどほどに

 適量を超えて過度に飲酒すれば、発がんリスクは確実に高まり、「肝臓がん」「大腸がん」「食道がん」で飲酒の影響が確実としています。しかし節度のある飲酒であれば、かえって体に良いこともわかっています。適量とされる飲酒量は、アルコール換算で1日あたり23g程度までとしています。

がん予防3 日常生活を活動的にする

 身体活動によって、ほぼ確実に「大腸がん」のリスクは低下し、「乳がん」もリスクが下がる可能性があります。免疫力を高める効果のほか、がんのリスクを上げるといわれる糖尿病の予防にもつながります。歩行または同等以上の身体活動を1日60分。息が弾み汗をかく程度の運動を週に60分ほど行うことを勧めています。大切なのは習慣化することです。

がん予防4 食事は偏らずバランス良く

 野菜と果物を不足なく食べれば、ほぼ確実に「食道がん」のリスクは低下し、「胃がん」と「肺がん(※)」もリスクが下がる可能性が
あります。国際的には、野菜・果物を1日400g摂ることが推奨されています。また、食塩の過剰摂取は「胃がん」のリスクを高めます。1日の食塩摂取量の目標値は男性8g未満、女性7g未満が推奨されています。
※「肺がん」については果物にのみ、がんリスク低下の可能性があるとされています。

がん予防5 太りすぎ痩せすぎに注意

 肥満は全てのがんで発がんリスクを高める可能性があります。国際基準では、肥満度を表すBMIが30以上で肥満となります。一方BMIが18・5以下は痩せ過ぎといわれ、肥満と同様に発がんリスクを高めます。中高年においては、男性はBMIが21~27、女性は21~25の範囲になるように体重管理しましょう。

がんと闘うとき頼りになる!がん保険

 がんの治療方法は日進月歩で進化しています。同じように進化しているのが、がん保険です。
そこで今回は、がん保険の最新情報について、専門家の方にお話を伺いました。

●お話を伺った方
伊藤 英恵(いとうはなえ)さん
アフラック よくわかる! ほけん案内 シニアコミュニケーター

医療技術の進歩に合わせ保険も進化

 がんは、誰もがなり得る病気です。一般的に男女共に年齢が上がるほど、そのリスクは増加傾向にあります。
 ひと昔前までがんは、「治らない病気」「治っても長期入院が必要」というイメージでした。しかし近年は医療技術の進歩により、通院のみで治療を行うケースが増加傾向です。厚生労働省の「患者調査」によると、2008年には、がんの「通院治療」が「入院治療」を上回り、以降、通院治療の割合は増え続けています。がんをめぐる治療環境は進化しているのです。
 そして治療に備える「がん保険」も、がんの治療環境に合わせて日々進化しています。「がん保険に入っているから大丈夫」と安心していると、加入している保険が入院にしか対応しておらず、通院では給付金が支払われなかった、というケースも考えられます。
 そこで、アフラックのよくわかる!ほけん案内 シニアコミュニケーターの伊藤英恵さんに、がん保険の最新情報を伺いました。

検討したいがん保険は「先進医療」保障付き

伊藤さんは、「ライフスタイルが変化した」「がん保険の新商品を見掛けた」ときが、がん保険を見直すといいタイミングで、できれば3年に1度の定期的な見直しがお勧めと言います。見直すことで入院保障は抑えて、通院保障を手厚くするなど、保障内容をカスタマイズすることも可能です。
 そして見逃せないのが、がんの「先進医療」特約です。先進医療とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されています。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症(対象となる疾患・症状等)・実施する医療機関は、随時見直されます。例えば、がん細胞だけを攻撃して治療する「陽子線治療」など、さまざまな先進医療が日進月歩で登場しています。ただし、先進医療は公的医療保険の対象になっていないため、治療費が高額になる場合があります。
 先進医療のために給付金を得たいときは、これらの治療にも適用されるがん保険に入っておく必要があります。

がん保険で治療に専念できる

 がんになった際に掛かる費用は、がんの種類や症状などによりさまざまです。治療費だけではなく、食費や交通費、差額ベッド代など公的保険ではカバーできない出費が発生します。また、治療のために仕事を休んでしまい、収入が減少してしまう場合もあります。
 アフラックのがん保険加入者で実際に治療した方々からは「闘病だけでも精一杯なのに、お金の工面までするとなったら大変だった。治療に専念できて本当に助かった」などの声が寄せられているそうです。
 また、アフラックのがん保険の場合、専門医やセカンドオピニオンの紹介や相談などを受け付ける「プレミアサポート(※1)」という付帯サービスが利用できます。
 前ページで紹介した「希少がん」も、厚生労働省大臣官房統計情報部編「疾病、傷害および死因統計分類提要準拠」において「悪性新生物」「上皮内新生物」に分類されている場合は、保険が適用されます。診断が難しい希少がんの場合、専門医やセカンドオピニオンを必要とすることがあるので備えておきたいサービスでしょう。また、がん治療では一般的に判断に迷うことがあるため、こうしたサポートが「ありがたい」という声も多いそうです。

※1 「プレミアサポート」は株式会社法研が提供するサービスであり、アフラックの保険契約による保障内容ではありません。

気になったときはプロに相談

 健康上特に問題がなければ、がん保険は0歳から85歳まで加入することができます(※アフラックの場合)。早いタイミングで入れば支払期間は長くなりますが、いざというときに「入っていなかった」というのも困ります。それでは、いつ入るのがベストなのでしょうか。 伊藤さんは「気になったときが入りどき」と言います。つまり「思い立ったが吉日」というわけです。
 例えば、健康診断で悪い数値が出てしまってからでは、加入できない可能性があります。未加入の方は「気になったときに入る」。これを心得ておくと良さそうです。
 お店に入ると勧誘されるんじゃないかと心配になる方もいるかもしれませんが、相談は無料ということです。加入するかどうかは自分で決められます。気になる方は、まずは気軽にプロに相談してみましょう。入りっぱなしになっているという方も、この機会に、がん保険を見直してみてはいかがでしょうか。

 

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