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こちら西新宿税理士よろず相談奮闘記【82】経営者の想いをつなぐ相続「家族信託」

経営者の想いをつなぐ相続「家族信託」

毎週月曜日に開かれる無料法律税務相談所。ここで生まれる丁々発止を書き続けて早や7年。最終話にご登場いただくのは、弊所にたびたび起こしくださったW社長です。

まずは現状分析から

「社長、驚きましたよ。思い切ったご決断でしたねえ。」
「やあ伏木さん。もう社長ではないけどね。」
 Wさんは先代から継いだ会社を25年間切り盛りし、順調に業績を伸ばしてきました。今年になってご長男が経営者としての資質を身に付けたと判断、このたび社長業を譲って、ご自身は会長職へ退いたのです。
「社長は譲ったと言ってもね、伏木さん、会社の株式はほとんどまだ私が持っているからね。完全に世代交代が済んだとは思っていないんだ。ただ、もうすぐ私も70になることだし、まずは現場を全て長男に任せることにしたんだ。」
「そうですか。Wさんもご承知のとおり、相続税の計算においては、同族会社の株式もプラスの財産としてカウントされます。Wさんの会社は長年利益をしっかりと計上なさってきましたから、ご想像以上に株価の評価が高いのではないでしょうか。」
「そうね、伏木さん。そこなんだよね。まだ計算していないんだけど、貸借対照表の試算の部って言うの?あそこが資本金の何倍もの数字になっているんだよね。まずはうちの株価をちゃんと計算してもらいたくて。」
「ええ、それがよろしいと思います。どんな税務的アプローチを施すにしても、まずは現状分析をしてからです。」

持ち株を動かす方法

「さて社長。今後、ご長男に持ち株を移転させる手続きが待ち受けていますが、そのやり方についてはいくつか考えられます。まずは贈与税の非課税枠を使い、毎年110万円の範囲内でこつこつと贈与する方法。また2500万円まで非課税枠のある相続時精算課税制度を使う方法。しかし、これらはWさんの会社のサイズにはそぐわない気がします。」
「そうだね。他には何かある?」
「株式を信託する方法と、新しい事業承継税制を用いる方法、が考えられます。」

家族信託を使う方法

「信託というと、伏木さんがよく話している家族信託のこと?」
「はい、そうです。まず大前提になりますが、この信託は節税とは全く無縁のプランになります。持ち株を贈与するのですが、贈与後でも株式の議決権についてWさんの意向を残すことができます。」
「節税ではないということは、納めるべき贈与税がそのままの金額で課税される訳だね。」
「はい。税務的には高くも低くもなりません。ところでWさん、ご長男に社長職として現場をお任せになりましたが、いまだ心配な部分もあったりしませんか?」
「そうだね。完全に離れるわけにはいかないよね。時折、目を光らせなきゃとは思っているよ。」
「通常は、株式の贈与に伴い、その議決権も同時に移行します。ご長男がWさんの意向を汲み取って会社の舵取りをなさっておられるのであれば問題はありませんが、その判断をするのはあくまでも議決権を持つご長男となりますので、Wさんの意向が必ずしも反映されるとは限りません。」
「そうそう!それは私も危惧しているところなんだよね。変なことはしないと思うけど、贈与した後でも私の考えが及ぶような仕組みがあれば……と思っていたんだよね。それが家族信託なの?」
「はい、そうなります。具体的には、Wさんの会社の株式を信託財産として信託します。よって信託の委託者はWさんです。その株式を預かる受託者もWさんとします。そして株式に係る配当などを受け取る受益者をご長男とします。株式の所有者は受託者であるWさんになりますので、議決権の行使は今まで通りWさんが行うことができます。また税法上は受益者に課税がされますので、ご長男は贈与税の申告が必要になるとともに、Wさんの相続時、この株式は相続財産にはなりません。贈与をした瞬間だけでなくその後もWさんの意向を反映させることができるため「線の承継」とよばれています。」
「ほうほう、それはいい仕組みだね。もうひとつの方法は?」
「はい。会社の株式を贈与や相続で後継者へ移行させる際、全く税負担がない税制で、新・事業承継税制といいます。」
 次回は「新・事業承継税制」を詳しくお伝えします。

伏木 栄太郎さん伏木栄太郎(ふせぎえいたろう)
新宿総合会計事務所 税理士
「お年寄りの味方」を合言葉にした税務相談は、高齢者にとって、丁寧でわかり易いと好評である。

ワンパック相続

 

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