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お口は健康の入口飲み込む力は 正しい姿勢から

飲み込む力は正しい姿勢から

日々の食事は楽しみでもあり、健康を保つための基本です。しかし、のどが老化してくると飲み込む力が弱くなり、全身の健康にも影響してきます。今月は、飲み込む力を保つための正しい姿勢と、舌の動きについてお伝えします。

赤ちゃんの成長過程にみる飲み込む力

「食事中によくむせる方」という方は、飲み込む力( 嚥下機能(えんげきのう))が弱っているのかもしれません。のどの老化ともいうべき嚥下機能の低下は、食べ物や唾液などが誤って気道へと入り込む誤嚥(ごえん)を招き、これが誤嚥性肺炎を引き起こす原因となります。
 飲み込む力を得るためには、「舌の動き」と「体幹姿勢の調整」が重要になってきます。それは、赤ちゃんの成長過程をみるとよくわかります。
 首がすわっていない哺乳期の赤ちゃんは、咽頭口(いんとうこう)が大きく、大人よりも高い位置にあるため、息を止めなくても飲み込むことが可能で、仰向けでミルクを飲んでもむせることはありません(ただし固形物はNG)。
 生後5カ月ごろになると首がすわり、唇に乳首などが触れると首を回す「探索反射」や、口に入ってきたものを強く吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」といった生まれながらに備わっている反射が少なくなりはじめます。口腔内の容積が小さいので舌は前後にしか動きません(ミキサー食はOK)。
 生後7カ月ごろには座位姿勢が取れるようになり、重力に対して体を真っ直ぐに保てるようになります。口腔内の容積が大きくなるため、舌を前後以外に上下にも動かせるようになり、食物を押しつぶしての飲み込みが可能となります(唇の機能でコップから水が飲めるようになる)。
 生後9カ月ごろは、座位から横すわり、そして四つ這いへと移行する時期です。さらに口腔内の容積が大きくなり、舌を左右にも動かせるようになります。口唇の上下・左右運動、舌の前後・上下・左右運動が可能ですので、食べ物を前歯で噛み切ることもできるようになり、奥歯の歯肉のところに食べ物を運ぶこともできます。

舌と体幹はつながっている

 舌の筋肉は、ほとんど「体幹筋」であるといわれています。体幹筋とは、内臓や背骨を支えている筋肉のことです。舌をよく動かすことで、体幹がのびて鋭くなってくることがあります。舌と体幹はつながっているのです。
 体幹姿勢を良くして、よくかむ( 咀嚼(そしゃく)する)と、脳の血流が良くなり目が覚めて、頭がすっきりとしてきます。
 小児の発達からもわかるように、姿勢を変えることで活動性も変わってきます。咀嚼・嚥下が改善されると、起き上がりも上手になってくるのです。これは大人にも当てはまります。

安全に食べるための姿勢

 以上のようなことから、安全に食べるためには、姿勢が大切です。姿勢が悪いと、うまく飲み込めない、食べこぼしが多くなるなど、誤嚥や栄養が十分にとれない原因になります。
●椅子には深く腰かける
 椅子は、背もたれがあり、座面が硬いものを使いましょう。椅子に座って食事をするときは、最初に、足の裏全体が床にしっかりとついているか確認します。足がブラブラして安定しないと、食べ物をうまく口に運ぶことや飲み込むことが難しくなります。
●テーブルの高さはへその位置
 テーブルの高さは、椅子に座ったときにおへその辺りにくるくらいが適当です。テーブルと体の距離は、握りこぶし1個分くらいを目安にします。
●姿勢は直角三角形
 頭・ひざ・腰を結ぶ線が直角三角形になるように座るのが一番食べやすい姿勢です。「椅子に座る」というごく当たり前の姿勢も、筋力が衰えてくると保持するのが難しくなります。安全な食事摂取の第一歩として、正しい姿勢を目指しましょう。

安全に食べるための姿勢

行儀の良い食べ方は理にかなっている

 食べやすい姿勢とは、食事をするうえでリラックスした状態であり、集中しやすい適度な緊張感もある姿勢です。それは、私たちが幼いころからの食習慣の中で培われた姿勢であり動作なのです。私自身も親や祖父母に「食べるときはちゃんと座って」「お茶碗を手で持って」「口に食べ物が入っているときはしゃべらない」などとよく叱られたものですが、実は、この「行儀の良い食べ方」というのが、嚥下のメカニズムに合っているのです。
 また楽しんで食べると、心の満足度も増して消化吸収も良くなるといわれています。
 安全に楽しく食べるために、食習慣の中で習得してきた食べ方や環境について、もう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

山﨑 律子さん山﨑 律子(やまさきりつこ)
医療法人社団高輪会 西日本グループ 
事業運営部 歯科衛生士
医療法人社団高輪会(いりょうほうじんしゃだんたかなわかい)
故深井眞樹(歯学博士)により昭和54年に日本歯科医療教育発祥の地、東京都港区は高輪に第一号の診療所を開院、昭和62年7月に医療法人社団高輪会設立。平成5年訪問部門を立ち上げ、日本で初めて組織的に歯科訪問診療を開始。訪問歯科診療のパイオニアとして、日々変化し続ける歯科医療現場において、最新の技術・知識を持てるよう教育に力を入れ、北海道から九州まで診療所を展開。理事長 相浦洲吉

 

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