インタビュー

俳優・歌手 中村雅俊さん

中村雅俊さん

輝く人 インタビュー 8月号 Vol.95

なんでもわかった顔の大人にはなりたくない
『われら青春!』で主役デビューし、挿入歌「ふれあい」がミリオンセラーを記録。以来、40年以上にわたり俳優業と歌手業を両立させてきた中村雅俊さん。デビュー当時のこと、健康の秘訣について伺いました。

夢のまた夢がデビューで叶った

演じることに興味を持ったきっかけは?

 大学に入学してESSという英会話クラブに入り、そこでドラマセクションを選びました。主に英語劇をやっていたのですが、大学3年ごろに日本語で演じたいと思うようになり、文学座の試験を受けたところ合格、文学座附属演劇研究所に入所しました。そして大学4年の秋、テレビ局のプロデューサーが文学座に来てオーディションが行われ、それに運良く受かり、翌年の4月にドラマ『われら青春!』でいきなり主役デビューすることに。ドラマでは先生役でしたが、生徒役は先輩の役者さんばかり。収録以外では俺の方が後輩だったので、不思議な関係でしたね。

同時にドラマの挿入歌「ふれあい」で歌手デビューもしました。

 大学時代は曲作りもしていて100曲近く作っていたので、その中の1曲でもレコードになればいいなと思っていました。でも、そんなことは夢のまた夢だ、なんて思っていたのに、デビュー曲がヒットし、すぐにその夢も叶いました。本当に嬉しかったですね。それまで貧乏学生だったから、周りの景色がものすごく変わりました。振り返ると、デビューから今まで、連続ドラマの主演を34本やらせてもらって、コンサートツアーは43年間、1度も休んだ年がなく、去年1500回を超えました。これは自分でも驚く数字ですね。

印象に残っている作品は?

 やっぱり『俺たちの旅』でしょうね。『われら青春!』から3作品出させていただいて、デビューからあっという間だったので、自分の中で明確なビジョンもなく、下手すると一発屋かな?と思ったり。でも『俺たちの旅』をやったときに作品の出来や評価が良くて、手応えをすごく感じたんですよ。撮影でロケをすると500人くらいの人が見に来てくれて、そういう中で遅ればせながら、この世界でやっていこうという自覚や決意が生まれました。デビューから10作品近くは、プロデューサーと脚本家、スタッフも一緒で、ファミリーのような環境の中で育ててもらえて本当にラッキーでした。完全な温室育ちですよ(笑)。『われら青春!』のチームは今でもときどき集まって、今度も俺の故郷、宮城県の女川町に復興支援の旅に行くんです。東日本大震災では、これまで幾度となく避難所へ足を運び、歌を歌ったりしてきましたが、今は仮設住宅に避難する人たちも少なくなり、支援の形も変わってきました。先日も大学のクラスメイト21人で行ってきたのですが、現地で買い物をしたり食事をしたりしてお金を使うことも復興支援の1つだと思うんです。これはもう3年ぐらいやっています。

好奇心が全開になるウオーキングは楽しい

今年の夏は音楽劇『ローリング・ソング』に出演されますね。

 これまで映像作品が多かったので、今頃になって舞台の楽しさを感じるようになりましたね。今回は作・演出が鴻上尚史(こうかみしょうじ)さんと聞いて、二つ返事で出演を決めました。鴻上さんの舞台は、物語自体はわかりやすく進みながら、そこに込められたメッセージは深いんですよ。鴻上さんとは10年ぶりに一緒に仕事ができるので、すごく楽しみにしています。

健康面で気を付けていることはありますか?

 ウオーキングはよくしていて、最近は90分は歩いていますよ。音楽を聴くわけでもなく、自分でいくつかコースを作って、ただ歩くだけなんですけど。色々な学校を経由するコース、お寺や神社を巡るコース、住宅街の家々を見ながら歩くコース、あとは工事現場の進行具合を見るコース(笑)。昔から工事現場を見るのが好きで、どのぐらい進んだかチェックしながら歩いています。
 歩くといろいろな発見があるし、いろいろなこともあって楽しいですよ。以前、歌を覚えなきゃいけなくて、参道だったら大丈夫だと思い大声で歌っていたら、本堂の中から人が出てきたことがありました(笑)。それと全身黒ずくめの服に帽子とマスク姿で歩いていたら、前を歩く女性に不審者に間違えられたこともありましたね。

どのように歳を重ねていきたいですか?

 歳を取ると、やる気、元気、勇気などの「気」が薄れてきますよね。だけど、まだまだ自分は完成品じゃないということで、色々なものに興味を持って首を突っ込んでいたいなと。なんでもわかった顔の大人にはなりたくないですね。好奇心を持ち続けることが、いつまでもアクティブに、気持ちを老化させないことにもなるのかなと思います。

中村 雅俊 (なかむら・まさとし)
1 9 5 1 年生まれ。慶應義塾大学在学中に文学座附属演劇研究所に入所。
1974年にドラマ『われら青春!』の主役に抜擢されてデビューを果たす。自身が歌った同ドラマの挿入歌「ふれあい」が100万枚を越すヒットを記録。以降、数多くのドラマや映画に出演、歌手としてもコンスタントに楽曲を発表し、デビューから毎年開催する全国コンサートも1500回を超える。代表作は『俺たちの旅』『ゆうひが丘の総理大臣』『夜逃げ屋本舗』など。今夏は音楽劇『ローリング・ソング』への出演を控えている。

ローリング・ソング

 

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