健康・お金・生活

必要な介護サービスが受けられなくなる?!負担割合の引き上げ

負担割合の引き上げ

今年の8月から一部の方で、介護サービスを利用したときに掛かる費用の負担割合が、3割に引き上げられることになりました。これによりどんな問題が出てくるでしょうか。考えてみたいと思います。

必要な介護サービスまで抑制される可能性

 多くはありませんが、現在1割(または2割)で利用できる介護保険サービスの利用料の支払いが滞りがちの方がおられます。ご本人やご家族は払いたくない訳ではなく、行政のアドバイスも受けながらギリギリで生活を維持しておられるため、私ども介護サービス業者への支払いが、時々できなくなってしまうのです。
 このような現実がある中で2015年、一部の方(全国でおよそ40万人)に対する介護サービス利用の負担割合が、1割から2割に引き上げられました。対象となった40万人のうち介護サービスを減らした方は40%以上にも上り、なかには特別養護老人ホームや老人保健施設から退去を余儀なくされた方も多数いらっしゃいました。
 そして今年の8月からは、さらに一部の方で負担割合が3割に上がります。対象者は3%で約12万人といわれますが、引き上げの基準となる年間収入340万円は決して高収入ではないように思います。
 2015年に負担割合が上がった際は、寝起きができない方にレンタルしていた介護ベッドや歩行器を「返却したい」と言われ、何とも言えない空しさを感じた記憶があります。用具を搬入したときは大変喜んでおられたのに……。他のサービス事業者の方もきっと同じ思いをされたことでしょう。
 負担割合の引き上げは、サービス利用の抑制を目的にしたものだと思います。無駄なサービスの抑制は必要ですが、真に必要なサービスの抑制にもつながる危険性があります。そのため「高額介護サービス制度(!)」の周知や啓発も併せて必要でしょう。
 少子高齢化などの社会情勢から、介護を社会全体で支えようと誕生したのが「介護保険制度」です。今後、保険財政のますますのひっ迫が予想されるなかで、時代の状況に合わせた「改正」はやむを得ないとは思いますが、介護保険制度を制定した原点に立ち返り、「弱者切り捨て」ということにならないよう願うばかりです。

(!)健康保険の高額医療費と同様に、介護サービス利用者の費用負担を軽減する制度。
支払った自己負担額の合計が一定金額を超えたとき、超えた分のお金が申請により戻ってくる。

斎藤豊男さん斎藤 豊男(さいとうとよお)
株式会社けんこうぷらん 代表取締役
福祉用具専門相談員 
福祉住環境コーディネーター

 

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