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老化を速める原因は体内の「糖化」

老化を速める原因は体内の糖化だった!

84歳、現役医師が伝える健康と病気の話、第1回。
動脈硬化、肌のシワやたるみなどを引き起こし、寿命まで縮めてしまう「糖化」現象とは?今月は、老化を速める原因の1つで、体の焦げといわれる「糖化」についてお伝えします。

病的老化を進める「糖化」とは?

 加齢による「生理的老化」は必ず誰にでも訪れ、人の老化は生殖年齢に達した20歳頃から始まります。しかし「病的老化」の起こり方は人により異なります。たとえば高血圧や動脈硬化、認知症などは病的老化の現れですが、これらの発生には食事や運動などの生活習慣が大きく影響しています。
 病的老化の大きな要因の1つに「糖化」があります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、食事などから取った余分な糖質が体内で主にたんぱく質と結びつき、細胞などを劣化させる現象です。発見した人の名前を取って「メイラード反応」ともよばれています。
 活性酸素による酸化が「体のさび」といわれるのに対し、糖化は「体の焦げ」といわれています。
 ホットケーキを焼いたときにこんがりと褐色になるのも糖化の一例で、ホットケーキに含まれる砂糖が、卵や牛乳のたんぱく質と結びついて変性したものです。
 これが体の中で起こるとどうなるでしょうか。体内で不要な糖とたんぱく質が結びつくと「AGE=糖化最終生成物」という老化を進める原因物質が生成されます。
 AGEは体内で分解されにくく、これが血管にたまれば動脈硬化に、肌にたまればシワやたるみに、骨にたまれば骨粗しょう症の一因となります。

高血糖は寿命を縮める

 1971年から1980年の日本で、糖尿病患者とそうではない人の平均寿命を比べたデータでは、男性は約10年、女性は約15年、糖尿病患者の平均寿命の方が短いことがわかっています。これは高血糖状態により体内で糖化が起こり、たんぱく質が本来持っている機能が障害されたためと考えられています。
 糖化を引き起こす代表的な糖は「ブドウ糖」と「果糖」です。
 ブドウ糖の元である「砂糖」と「炭水化物」が、消化の過程でブドウ糖になり血中に入ると、すい臓から分泌されるインスリンによって体内の細胞に送られ、脳の働きや、筋肉を収縮させるなど生命活動のエネルギー源になります。このとき消費されなかったブドウ糖は肝臓や脂肪細胞に貯蔵され、貯蔵しきれなかったブドウ糖は、たんぱく質などと結びつきAGEを産生します。
 果糖は、腸から吸収されて血液中に入ると、速やかに細胞内に入っていきます。ブドウ糖の10倍以上の速さでたんぱく質や脂肪を糖化させる果糖は、老化物質を量産してしまいます。
 果糖といえば果物に含まれていると思われがちですが、果物の果糖含有量はそれほど多くなく、果物は食物繊維を豊富に含んでいるため、適量をゆっくりと食べる分には問題ありません。

生活習慣の改善で糖化予防

 メタボリックシンドロームの人では普段から血糖値が高いため、AGEが体内に蓄積され続けます。さらに糖尿病の人では蓄積のスピードが速くなり、糖化が進むと糖尿病合併症に陥る危険性が高まるため、より注意が必要です。
 糖化をゼロにすることはできません。しかし食事をはじめとする生活習慣の改善で、糖化を予防することはできます。
 糖分は、人間が生きていくための重要な栄養素です。過剰な摂取制限はかえって良くありません。そこでポイントとなるのは、急激に血糖値を上げない食品を選ぶこと、そして食べる順番です。
 急激に血糖値を上げない食品とは、GI値の低い食品です。GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、摂取した食品が消化されて糖に変わり、血糖値が上がる速度を計ったものです。GI値が低い食べ物ほど時間をかけて消化・吸収されるため、血糖値が急激に上がりにくいのです。一般的には食物繊維やミネラルが残っている硬めの食品です。お米であれば白米より玄米、果物であればジュースにするよりはそのまま食べる方が、GI値が低くなります。
 次に食べる順番ですが、主食のパンやごはんといった炭水化物を食べる前に、食物繊維が豊富な野菜やキノコ類、たんぱく質を含む肉・魚類を食べるのが基本です。その点、和食の伝統である懐石料理は理想的といえます。洋食でもサラダに始まり次にメインディッシュ、最後にパンやパスタを食べるのは、理にかなったものです。またAGEを下げる効果があるといわれる緑茶カテキンも、食事と併せて取ると良いでしょう。

運動も糖化予防に効果的

 体内にAGEができやすいのは、血糖値が上がる食後30分から1時間くらいの間です。このときにウオーキングなどの運動をすると効果的です。ただし、運動直後に糖分を多く含む飲み物をとると、急激に血糖値が上がるので注意が必要です。運動後の水分は、糖分をあまり多く含まないものを選びましょう。またタバコの煙が、AGEを増やすこともわかっています。自分で吸うだけでなく、喫煙者が出す副流煙を吸うだけでも、約30分後にはAGEが増えることが報告されています。
 食事や運動などの生活習慣は、自分がその気にさえなれば、今すぐにでも変えられます。生活習慣を改善して、元気で健やかな毎日をおくりましょう。

 

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