コラム

老後をどう生きるか?④

老後をどう生きるか?

失われた生きがい。望まない延命治療。増え続ける「死ねない老人」。
人生の集大成ともいえる時期を充実して生きるために、私たちは何をすべきでしょうか。
その解決策を5回にわたって探っていきます。

④誰かの役に立つことが「生きがい」になる

「人の役に立つこと」によろこびを感じる脳

 日本大学医学部教授の林成之先生は、脳の働きに基づいて人間の能力を最大に引き出す指導を行っています。2008年の北京オリンピックでは、北島康介選手をはじめとする日本競泳チームが林先生の指導を取り入れ、見事結果を残しています。
 林先生は自身の著書で、脳神経細胞が持つ本能は「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つであるとしています。
 そして「このうち、『仲間になりたい』という本能は、脳に『人がよろこぶことが自分にとってもうれしい』と感じさせます。つまり脳は、人のためになると、貢献心が満たされるときに、それを『自分にとっての報酬である』ととらえて、機能するようにできている」と述べています(『脳に悪い7つの習慣』幻冬舎新書)。
 つまり脳科学的にも、私たち人間は人の役に立つこと、社会に貢献することに対し、根源的な喜びを感じるようにできているということです。
「役に立つこと」の代表といえば仕事でしょう。健康状態や環境的に可能であれば、年齢にかかわらず長く働くことは、高齢期の心身をより良く保つことにつながります。
 平成27年度の高齢社会白書には、さいたま市にある「BABAラボ」の活動例が紹介されています。ここは「100歳まで働けるものづくりの職場」を目指しており、腕の力などが弱くなった高齢者でも孫を抱っこできる補助グッズなどの「孫育てグッズ」を製作・販売しています。職場には高齢世代だけでなく、育児の中心世代の30代~40代も多く出入りし、多世代交流にもなっているということです。
 介護や保育、飲食店などの人手不足が深刻な分野では、60代~80代の高齢世代の働き手が貴重な戦力になってきています。公益財団法人「介護労働安定センター」の全国調査では、ホームヘルパーの平均年齢が近年上昇しており、60歳以上の人が36%を占めるといいます(2015年)。今や元気な高齢者が介護を必要とする高齢者を支える時代です。
 何か役に立つことをしたい、社会に貢献したいという気持ちがあれば、年だからとあきらめてしまわず、自分に合った働き方を探してみるのもいいのではないでしょうか。

地域を支えるボランティア活動にも注目

 人の役に立つ、社会に貢献する活動では、ボランティアもあります。健康や体力に不安があり、定期的に仕事をするのは難しい人でも、ボランティアなら自分の生活ペースに合った活動を選ぶことができます。
 最近の病院や介護施設では、高齢のボランティア・スタッフが活躍しているところも多くなっています。
 病院では、外来で車いすの人の介助や手続きの補助をするほか、図書コーナーの本の整理、病院敷地の花壇の整備、子どもの入院患者のための院内教室やイベントの手伝いなどがあるようです。活動をしてみたい人は病院に直接、問い合わせてみるといいと思います。
 さらに近年、「介護支援ボランティア制度」を導入している自治体も増えています。これは介護施設などでボランティア活動をするとポイントが付与され、ポイントに応じた特典が得られる制度です。2015年時点で全国282の市町村がこの制度を導入しています。横浜市の例では、介護施設内や高齢者向け配食サービスなどで活動をするとポイントが貯まり、1ポイント1円で換金、または介護施設へ寄付できるしくみになっています。この制度はボランティアではありますが、ポイントを貯める楽しさ、達成感もあります。
 高齢者が活躍できるボランティアは多岐にわたります。全国社会福祉協議会のホームページを見ると、次のような例が挙げられています(一部抜粋、編集)。
●自然や環境を守るための活動
 道路・公園などの清掃、植樹、野鳥の観察・保護、廃油を使った石鹸づくりの指導 など
●国際交流・ 国際協力に関する活動
 通訳、難民救助、技術支援、砂漠の緑化活動、海外への食料援助、留学生支援 など
●障がい者を対象とした活動
 肢体不自由者の学校などへの誘導、障がい者宅への友愛訪問・訪問介助、点訳・朗読・手話 など
●安全な生活/ まちづくりのための活動
 地域の危険場所点検のための巡回、通学路の安全確保運動、駅の自転車置き場の整理、地域おこしの活動 など
●乳幼児・児童・青少年等の健全育成を対象とした活動
 赤ちゃん相談、公園などでのレクリエーション指導、子ども会の援助・指導、児童保育、いじめ電話相談 など
 ほかにも多くの活動があるので、市区町村のボランティアセンターなどで問い合わせてみてください。
 初めてボランティア活動をする人は、最初は勇気がいるかもしれませんが、身近な家族以外の多くの人に接することで様々な刺激や活力を得られます。

杉浦 敏之(すぎうらとしゆき)
1988年千葉大学医学部卒業。同大学院で医学博士号取得。
2003年より医療法人社団杉浦医院院長、2004年より同医院理事長。25年間にわたり高齢者医療に携わり、地域医療を充実させるために末期がん患者への在宅医療も行う。

 

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