インタビュー

俳優 哀川翔さん

輝く人 インタビュー 12月号 Vol.87

使命感に駆り立てられないとその作品に出る意味がない

これまでの主演映画は実に100本以上。
多趣味で子煩悩としても知られる俳優・哀川翔さんに、仕事と遊びに対するスタンスや、いつまでもエネルギッシュなヒケツを伺いました。

釣りとゴルフと早寝早起きそれが元気のヒケツ

1984年、一世風靡(いっせいふうび)セピアとしてデビューした当時、今のような姿を想像していましたか?

 俺は、すぐにすっ飛んじゃうんじゃないかと思っていたんだよね。
一世風靡として歌っていた最初の5年は何とかやっていたけれど、正直もうそこで終わりかなと。でもそこから芝居やVシネをやらないかと声を掛けていただいて、いい感じで救われて。今度はドラマをやったらバラエティ番組に誘っていただいた。そうやって次々とうまいこと転がっているんだよね。

2015年の『HEADSUP!』は初ミュージカルで主演に抜擢。でも最初は断っていたと聞きました。

 舞台の稽古って1カ月もあるでしょ。それが大嫌いで断っていたんだけど、企画したラサール石井さんに「ぜひ俺に任せて欲しい」と言われてね。俺も人を口説くとき同じように言うから、そのぐらいの心意気があるなら任せようと。それと振り付けの先生が、業界に入って初めてお世話になった方だったというのも大きいね。デビュー前、全く踊れない時からの付き合いだから、俺の扱い方をわかってる。この作品では、そういうところがうまくリンクしてくれたかな。いくら座長だ主演だと言われる作品でも、「俺がやらなきゃ」という使命感に駆り立てられる何かがないと出る意味がない。
そう思っています。

また観たい!という舞台ファンの熱望に応え『HEADS UP!』の再演が決まりました。

 初演の時、ミュージカルを観たことがない仲間たちもたくさん呼んだんだけど、みんな引き込まれたって言うんだよね。裏方にスポットを当てたとか、舞台の設営からバラシまでを実際に再現してしまったとか。これまでにない斬新な要素がたくさんあって、何よりエンターテインメントとしての完成度が高くて3世代で楽しめる。
日本発のオリジナル作品としては最高傑作じゃないかな。舞台の概念が変わるほどの衝撃があると思います。

ミュージカルをやるにあたって体力作りなどは?

 昔からやっている釣りとゴルフ、それから早寝早起きだね。釣りとゴルフは集中力を保つのにちょうどいいんだよ。例えば撮影中に2時間空くとする。そこで寝ちゃうとモードが変わってしまうから、俺の場合は釣りやゴルフをやる。昔、撮影の合間にゴルフのハーフラウンドを回ったことがあって、共演していた宇津井健さんに驚かれましたよ(笑)。

早寝早起きのほかにも、ゆっくりと食事を取るなど、生活を大事にされていますよね。

 何もないときは、夕方5時から家で酒を飲み始めるからね。夜になって子どもたちが帰ってきてもまだ食べ続けてて、団欒(だんらん)が終わってもまだ食べている。でも10時になったらパタリと寝て、翌朝5時前には起きる。早寝早起きは子どもの頃からの習慣で、大人になっ健康でいるには、やっぱり夜の10時から深夜2時のゴールデンタイムは寝ないとダメですよ。それから、起きている時は家にいようが常にオン。寝る時だけオフにするのが俺の生活かな。

頑固ジジイでいた方が心も体も頑張れる

プライベートでは、5人のお子さんにお孫さんも3人。

 子どもは結構キッチリ育てたけれど、孫には何も言わないね。母親が言うなら父親は言わない。親が言うならじいちゃんばあちゃんは言わない。そうやってどこかで緩くしておいてあげないと、人って行き場所がなくなるんだよね。
それから人の優しさなんかも幼い頃に覚えるから、一番近い他人の懐がある程度大きいと、社会っていいな、そういう人もいるんだなって少しは感じるでしょ。子どもの頃から全員が敵だったら、社会に出た時もっとつらくなってしまう。ただ、やっぱり「親が一番あなたを裏切らない、だからうるさく言うんだよ」っていう教育はしていかないといけないと思いますね。

理想のシニア像は?

 俺はもうちょっと頑固になってもいいと思うよ。今まで生きてきた強さがあるんだから。だから俺は人に煙たがられるぐらいの頑固ジジイになりたいね(笑)。そっちの方が、いつも「具合が悪い」って言っているより100倍いいって。意地を持って生きているんだから、心も体も頑張れると思うよ。

哀川 翔 (あいかわしょう)
1961年生まれ。1984年に一世風靡セピアの一員としてデビュー。
その後、俳優としてテレビドラマ『とんぼ』、映画『オルゴール』などで一躍脚光を浴びる。1990 年には東映Vシネマ『ネオチンピラ・鉄砲玉ぴゅ~』で初主演。その後も『勝手にしやがれ!』『借王〈シャッキング〉』『修羅がゆく』など次々にヒットシリーズを生み出し、Vシネマの帝王と呼ばれるように。2004年には100 本目の主演映画『ゼブラーマン』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。
2007年、2008 年には舞台『座頭市』で座長を務め、2015年にはラサール石井演出『HEADS UP!』でミュージカル初出演でありながら主演を務めるなど、近年は舞台にも活動の幅を広げている。

 

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