インタビュー

俳優 小倉久寛さん

輝く人 インタビュー 11月号 Vol.86

不器用な僕を懲りずに使ってくれた三宅さんには頭が上がりません

俳優だけでなく、声優・ナレーター・バラエティタレントなど幅広いジャンルで活躍する小倉久寛さん。俳優というお仕事への思いと、プライベートについて伺いました。

三宅さんとの出会いが今の僕の原点

俳優になろうと思ったきっかけは?

 普通に地元の高校に行き、普通に東京の大学へ進学し、そして普通にどこかの企業に就職し……、それが僕の進む道だと思っていました。ところが、ちょうど大学3年生の頃にオイルショックで世の中が大混乱。その影響で就職難に陥って、僕もなかなか就職先が決まらなかったんです。そんな時、たまたまテレビで中村雅俊さん主演のドラマ『俺たちの祭』を見たんですよ。俳優を目指す若者を描いた青春ドラマなんですが、それを見ていて突如「俳優」という選択肢が浮上してきたんです。そして調査を兼ねていろいろな舞台を観に行くなかで、決め手となったのが劇団「大江戸新喜劇」でした。

それが、三宅さんとの運命の出会いとなったわけですね。

 そうですね。その舞台でちょうど三宅さんが主演していて、すごく面白くて。「ここだ!」と思い、早速オーディションに応募してみたところ見事合格。まぁ、その時はたった2人しか受けていなくて、二人とも合格したんですけどね。でも、それが僕にとっては人生の大きな第一歩になりましたよね。その後、三宅さんが新劇団(SET)を旗揚げすることになり、そこに誘っていただいたおかげで、今の僕が存在しているわけですよ。

俳優という仕事に不安はありませんでしたか?

 本当にこの世界に向いているのかな?と思うことは多々ありました。例えば、ある企業の教育ビデオへの出演が決まって、その撮影にのぞんだ時のこと。全然思うようにできず、何度もやり直しをさせられたんです。ついに、業を煮やした監督とスタッフは「ちょっと練習してて」と言って、その場から一時退散。電気を消されたスタジオに僕一人が取り残されました。そこで5~10分くらい一生懸命練習していたところにスタッフが戻ってくると、「代わりが見つかったからもういいよ」といきなりのお役御免。しかも、その代わりというのが僕のマネージャーだったんですよ。普通、ありえないでしょ?確かに彼は結婚式の司会なんかもやっていて、人前でスムーズにしゃべれるヤツだったけど……。本当にショックでしたね。でも、そんな不器用な僕を、三宅さんは懲りずに上手に使ってくれたんですよね。だから、僕は三宅さんに頭が上がりませんね。とにかく感謝、感謝の思いでいっぱいですよ。

ギターと船で憧れの加山雄三さんを目指す!

プライベートで夢中になっていることはありますか?

 ギター弾くことですね。子どもの頃からベンチャーズのようなグループサウンズが好きでギターに憧れていて20年前くらいに実現したんですが、それ以来ずっと。きっかけは加山雄三さんの映画、若大将シリーズのその後を描いたドラマ『社長になった若大将』に出演させてもらった時のことです。収録スタジオの廊下を歩いていたら、「テケテケテケテケ〜」と迫力あるエレキギターの音が聞こえてきたんです。それはオーディオからの音ではなくて、誰かが弾いている音。その音をたどって部屋に入ったら、あの加山雄三さんがご自身のコンサートに向けてエレキギターの練習をしていたんです。図々しくも、その場にとどまってしばらく聞かせてもらいました。まさに10~15分、加山雄三さんを独り占め!かっこいいな~と。その次の日にはエレキギターを買って練習を始めました。

一級船舶の免許も取ったと聞きましたが?

 はい。海が好きなので。田舎育ちの反動で東京に憧れたように、山育ちで海にも憧れてるのかな。東京湾とか大好きで、モーターボートに乗ってベイブリッジをくぐったり、羽田の方まで行ったりしてみたいと免許を取りました。先日、劇団の仲間を連れて初めて海に出たんですが、海風が本当に気持ち良くて心身共にリフレッシュしました。ちなみに、夢は船の上でかっこよくギターを弾くこと。要するに、僕は加山雄三さんになりたいんですよ(笑)。

最後に、今後の目標を教えてください。

 これまで三宅さんと一緒にミュージカル・アクション・コメディーを追求してきたので、今後も歌って、踊って、アクションもできる俳優であり続けたいですね。実は、50歳くらいまでは、かつて体操部だった経験を生かして、お芝居の中でバク転をやっていたんですよ。腰を傷めてできなくなりましたけど。体の衰えは感じますが、気持ちだけはいつまでも若く、老け込まないでやっていきたいですね。

小倉久寛 (おぐらひさひろ)
1954年10月26日生まれ。三重県出身。
大学卒業後、1979年、三宅裕司主宰の劇団スーパー・エキセントリック・シアターの旗揚げに参加。舞台役者として活動する一方、バラエティ、映画、ドラマなど多方面で活躍。また、声優として映画「美女と野獣」吹き替え版や「ポチたまペット大集合」「イチから住」のナレーターとしてレギュラー番組を持つ。

 

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