インタビュー

女優 浅田美代子さん

輝く人 インタビュー 10月号 Vol.85

「ままごと遊び」のように誰かになりきる女優業が好き

キュートなキャラクターでファンを魅了し、女優としてもタレントとしても活躍中の浅田美代子さん。
40年を超える芸能人生を振り返るとともに、18年ぶりに出演する舞台『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』について伺いました。

たった一日で人生が大きく変わった

女優になったきっかけは?

85_interview-1 はじめのうちは興味のなかった芸能界ですが、スカウトの方が熱心に訪ねてくださるうちに、面白そうだなと関心を持つようになりました。でも両親は大反対。何を言っても許してくれる気配がありません。そこで苦肉の策として提案されたのが、ドラマ『時間ですよ』の新人オーディションへの挑戦でした。これが最初で最後のチャンス。ダメなら潔いさぎよくあきらめるつもりでしたが、まさかの合格で、急きょ芸能界入りが決まりました。

迷いはなかった?

 迷ってるヒマなんてなかったの。通っていた学校は校則が厳しくて、芸能活動なんてもってのほか。それが知れたら即退学ですよ。でもオーディションの結果は翌朝のスポーツ紙に掲載されるとわかっていたから、合格を聞いたその足で学校へ行き、自ら退学届を出しました。あまりに突然のことに担任の先生はびっくり。当時の私は保健室の常連だったので、「キビシイ世界なのにやっていけるのか」と体のことまで心配してくれました。でも保健室に行っていたのは単なるサボり根性から(笑)。先生には「ごめんなさい!」と心の中で謝って、その場をあとにしました。今思えば「数日後の期末テストからも逃れられる!」という悪知恵も働いて、より積極的になれたのかも。たった一日で人生が大きく変わったわけだけれど、後悔は全くありません。

これが天職だったんですね。

 私の言葉でいえば、別の誰かを演じる女優業は「おままごと」の延長みたいなもの。女の子って幼い頃から、別の誰かになりきる「おままごと遊び」が好きですよね。その素養を形にしたのが女優という仕事で、私には合っているのかなと思います。それに、ドラマや映画の撮影現場は、演者もスタッフも一丸となってがんばろう!という温かい雰囲気が漂っているんです。映画『釣りバカ日誌』への出演が決まった時も、シリーズ7からのキャスト変更で私は新参者でしたが、西田敏行さんや三國連太郎さんほか共演の皆さんが、あたかも昔から居たように接してくださったので、すんなり馴染むことができました。そんな居心地の良さもあって、女優という仕事にどんどんとりつかれていったんだと思います。

笑いと涙で安らぎを届けたい

さて今回は18年ぶりの舞台だそうですね。

 そうなんですよ。人に言われて18年ぶりだと気付き、急に緊張してきました。舞台って映像と全然違いますからね。全身を使って感情表現しなければならなかったり、セリフがなくても自分はその空間にいて常に見られていたりすることとか、そういった部分が難しかったなと、過去の記憶があれこれとよみがえってきて、かなり焦っているところです。一方で、舞台のライブ感がすごく楽しかったのも覚えています。舞台は、その日のお客さま、演者たちのコンディション、そしてセリフのちょっとした間合いによって全く違うものになるので、毎日が新鮮で刺激的。それを想像するとワクワクしますね。この場所(シアタークリエ)は、私が30年以上前に『喜劇・離婚』で初舞台を踏んだ思い出の場所でもあるので、初心にかえってがんばりたいですね。

健康管理で気を付けていることはありますか?

 そうですねぇ。毎日お風呂にゆっくりと浸かってリラックスすることと、野菜をたくさん食べることかな。つまり私には、「運動」の分野が欠けているんですね。わかってはいても、運動が大嫌いなのでなかなか行動に移せないんですよ。でも、今回18年ぶりに舞台に上がるためには、そんなこと言ってられません。年を取った分、昔に負けない体力をつけておかないと。そこで最近ようやく重い腰を上げて、ストレッチで全身の筋肉を緩めるトレーニングを始めました。今は「私ってこんなに体が硬かったかな」と反省の日々です。舞台は、自分の体と向き合う良いきっかけにもなりました。

今回の舞台の魅力を教えてください。

 父息母娘の4人劇で、観ている方はそのうちの誰かに感情移入できる楽しい作品だと思います。例えば母娘はお互いに言いたい放題で壮絶なやり取りを繰り広げるのですが、私はそのシーンで自分の母との関係を思い出して懐かしんだりしています。単純に泣いて笑って、そしてほっこりできるので、ぜひ気分転換に足を運んでいただきたいです。日ごろ介護などでご苦労されている皆さんにとって心が安らぎ「明日からまたがんばろう!」という気持ちになれる、そんな舞台にできたらうれしいなと思っています。

浅田美代子 (あさだみよこ)
1956年2月15日生まれ、東京都出身。
1973年ドラマ『時間ですよ』で女優デビュー。その際、劇中で歌った『赤い風船』が大ヒットし、同年のレコード大賞新人賞を受賞する。その後もドラマ『寺内貫太郎一家』『新選組!』、映画『釣りバカ日誌』シリーズ、『佐賀のがばいばあちゃん』『あん』など数々の作品に出演するほか、『さんまのからくりTV』でキュートな天然キャラが見い出され、バラエティーの分野にも活躍の場を広げている。

ナイト・イン・バリ

 

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