特集

防災脳で「もしも」に備える命を守る食と住まい

実際に災害に遭ったら、あなたはどうしますか。考えたくない「もしも」の瞬間は、いつやってくるかわかりません。
9月は防災月間です。
今月は「食」と「住まい」を中心に、災害時の生き抜く術について特集します。
もしもの瞬間を「他人事」ではなく「自分事」として想像することが、大切な命を守る防災の第一歩です。

<防>災害対策はここから始まる「防災脳」に切り替えよう

区民による防災組織が300以上ある東京都・練馬区。
その取り組みから見えてきたのは「防災を特別視しない」という考えでした。

心と物の準備で日常生活に防災を

東京都・練馬区は区立小中学校99校を、避難所と防災拠点機能を併せ持つ独自の「避難拠点」に定めるなど、区と住民の防災意識が高い地域です。その練馬区区民防災課と協力して区民の防災活動支援を行う「心のあかりを灯す会」会長の鈴木裕子さんは、普段の生活の中で防災を習慣づけていくことが本当の防災につながると話します。
「人の脳は悲惨なことを忘れるようにできています。だからこそ、災害に遭遇した場合を想像することが必要で、それが防災のスタート地点になります。」
自身も1995年の阪神・淡路大震災で被災し、意識が大きく変わったと言います。
「ライフラインが断たれた中で、何が必要でどう動くべきかを日頃からシミュレーションしています。普段の生活でできないことは、災害時にもできません。逆に言うと、普段できていれば災害時にも行動できます。想像し、体験して学ぶことが防災脳を育みます。地域によっては「防災センター」とよばれる、展示や体験を通じて防災の知識や技術を得られる施設があります(※)。地域の防災訓練に参加すれば、災害時に必要な情報を得られ、地域とのコミュニケーションも生まれます。自宅周辺を散歩しながら避難経路を考え、避難場所を調べるのも良いでしょう。
阪神・淡路大震災では「自助7割・共助2割・公助1割」といわれました。私たち一人ひとりが、いつ災害が起きても大丈夫という心の準備と、命を守るための物の準備をしておきましょう。日常生活の延長線上に防災があるのです。」

※各防災センターによって取り組みはさまざまです。実施内容を調べることをお勧めします。

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防災ポーチ

<食>特別なものは必要なし災害時の食の知恵

生きるために欠かせない水と食糧。日常食を有効に活用する防災術を紹介します。

ローリングストック法

少し多めに買うだけローリングストック法

東日本大震災で物資が不足したことからも、災害時は水や食糧が不足するのは確かです。いざというときのために非常食や保存食を備蓄している人は多いと思いますが、賞味期限が切れていたり、何がどこにあるか忘れていたりしませんか。冷蔵庫にある食品と常備品を活用すれば、非常食を準備しなくても1週間分の食事は十分賄える、と鈴木さんは言います。
「東日本大震災で被災した人たちは、夏場でも温かい食事を欲し、野菜が食べたいと望んだそうです。自宅避難が可能だった場合、ローリングストック法が有効です。普段食べている食品を少し多めに確保し、賞味期限の近いものから消費していくという方法です。特別なことではなく無理なくできる防災です。水もローリングストック法で多めに用意しておきましょう。一般的には一人1日3リットル必要といわれています。もちろん、生活用水を確保しておくことも忘れずに。また、カセットコンロとガスボンベは必要不可欠です。ボンベ1本が1時間分と想定し、多めに用意しておくと安心です。ボンベも有効期限があるので、同じくローリングストック法を活用しましょう。」
災害時にも普段通りの食事ができれば、健康面はもちろん精神面でも大きな支えになるそうです。「1日で良いのでライフラインのない生活を試してみてください。暗い場所で食事をすると、自分にとって何が必要で何が大切か見えてきます。家族の会話が弾むなど意外な発見もあります。まずは食という普段の営みから、防災について考えてほしいです。」

鈴木裕子さん●お話を伺った方 鈴木裕子(すずきゆうこ)さん
練馬区区民防災組織「心のあかりを灯す会」会長。
兵庫県神戸市在住時に阪神・淡路大震災で被災し、東京都練馬区へ避難。2002年に同会を立ち上げ、人形劇や紙芝居を使って防災教育の支援を行う。

<食>災害時でもきちんと食べたい健康レシピ

災害時、ライフライン復旧の目安は電気が7日、上下水道30日、ガス30日といわれています(※)。
電気が復旧するまではカセットコンロが役立ちます。そこでカセットコンロや電子レンジを使って簡単においしくできる健康レシピを紹介します。

※東京都地域防災計画より

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鈴木邦子さん●健康レシピを教えていただいた方
鈴木邦子(ずずきくにこ)さん
料理研究家、認知症予防講座講師、
東京練馬野菜ぎょうざプロジェクト委員

<住>災害から命を守る住まいの備え

免震構造設計受注の実績を全国に400棟以上(※)持つスターツCAM株式会社に、安心・安全の住まい選びについて伺いました。

※設計中の建物を含む

震度マイナス2を実現する免震技術

ピタットハウス 地震大国日本では、住居の地震対策が必要不可欠です。阪神・淡路大震災では死者の約8割が、家屋の倒壊や家具の転倒による圧死、窒息死でした。家具の転倒防止対策はもちろんですが、土台となる住居の耐震診断も必須です。
阪神・淡路大震災では、国が定めた建築技術基準法に則った建物も、甚大な数で大破などの被害を受けました。建物自体が大破しては元も子もありません。まずは「耐震」「制震」「免震」といった建築工法を知っておくことがリスクヘッジにつながります。
簡単には、揺れに耐える「耐震」、揺れを吸収する「制震」、揺れを伝えない「免震」です。ちなみに現行の建築技術基準法に則った建物は総じて「耐震」となります。
注目すべきは、大地震時の揺れが「免震」では20%~30%に抑えられることです。東日本大震災では宮城県石巻市内にある約200の病院のうち、約7割が地震被害を受けた中、免震構造だった石巻赤十字病院には被害がなかったそうです。
同社では独自技術の高床免震構造でコストを抑え、中規模マンションにも免震装置を組み込める技術をいち早く開発。木造一軒家や既存の建物の免震化も可能と言います。また、受注した約400棟の免震建物の半数以上に、非常時に使える井戸や、かまどになるベンチを設置。災害時でも地域の共助を重視しています。
「命と共に、生活や財産を守る」視点から住まいを対策すれば、安心感は全く違うと言います。免震構造物件を探すのは容易ではないそうですが、首都圏の賃貸・売買を仲介するピタットハウスでは、免震物件の相談も可能だそうです。まずは自身の目で確かめてみては。

耐震・制震・免震の違い

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