インタビュー

女優 高島礼子さん

輝く人 インタビュー 9月号 Vol.84

演じることが大好き私にはこれしかない

年齢を感じさせない凛とした美しさで、数々の映画、ドラマ、舞台で輝きを放つ女優・高島礼子さん。
女優業への思いと、今回3度目の主演となる舞台『おんなの家』について伺いました。

思いがけない転身もいまは私の全て

女優になろうと思ったきっかけは?

 たまたま巡ってきたチャンスを躊躇(ちゅうちょ)なく受け入れてみた、という感じでしょうか。でも、決していい加減な気持ちで始めたわけではありません。年齢もすでに20代半ばに差しかかっていましたから、この道を究めようという覚悟でのぞみました。実際、女優という道を歩み始めてからは、仕事に対する向き合い方が変わりました。それまでは自分が楽しむことが一番だと思っていたのですが、応援してくださる関係者の方、ファンの方の期待に応えたいという思いが強くなりました。ある意味、社会人としての自覚が芽生えるきっかけにもなりました。

レーサーからの転身でしたが、選択に迷いはなかった?

 最初は芝居のノウハウもわからず、「超」が付くほどのダイコン役者でしたよね。当時の自分にアドバイスをするなら「女優なんてやめて早くお嫁に行った方がいいよ」って言ってやりたいくらい。
あのでき損ないがよくここまで続けてこられたなと思いますが、これも多くの方々に支えていただいた結果だと感謝しています。仕事がうまく回り始めた30代のころに、諸先輩方に「40、50になると芝居がもっと楽しくなるよ」と言われたことがありました。最近になって、その意味がよくわかるんです。
今、私は演じることが本当に楽しくて、大好き。「私にはこれしかない」としがみついている状態ですから。

今回、明治座『おんなの家』は久々の舞台主演になりますね。

 そうですね、緊張しますね。舞台は2012年の明治座『女たちの忠臣蔵』が本格的なデビューになるので、まだまだ新人の域。未知の部分がたくさんありますよ。
そもそも自分の演技が客観的に見られない、というのが舞台の難しいところ。会場の2階席、3階席まで伝わる芝居をするには、どんな風に声を発したらいいのかなど、考えて悩むことばかりです。でも見に来てくださる方の立場になれば、出演者の経験値などはどうでもいいことで、作品をいかに楽しんでもらうかが大切です。だから不安を抱えたまま舞台の幕を開けるなんてもってのほか。今から精一杯稽古を重ねて、満足していただけるものに仕上げていきたいと思います。

がんばり過ぎない心の余裕が大切

舞台には体力が必要ですが、健康面で気を付けていることは?

 いま実践しているのは、ほど良いウオーキングと、ほど良いストレッチですね。「ほど良い」、これが重要なんです。私は何かやろうとすると、どんどんエスカレートしていく傾向があって。ウオーキングも最初は30 分だけと決めているはずなのに、つい1時間、2時間……とがんばってしまう。その結果、気付いたら体を痛めて動けなくなる、というのを何度も繰り返してきました。本末転倒ですよね。だから今は「軽く、軽く」と常に自分に言い聞かせながらやっています。それと運動に限らず、自分を労わってあげること。何事もストイックに追い詰めてしまう性格を治したいんです。例えば、セリフを覚えるとなると時間を忘れて没頭することがあるので、1時間やったら1時間休む、そんな心の余裕を持って日々を過ごしていきたいですね。

読者の方へメッセージをお願いします。

84_interview-1 実は、91歳になる私の父は病気で体を動かすことができず、1日の大半をベッドか車いすの上で生活しています。でも私の舞台だけは、欠かさずに観に来てもらっているんですよ。ほぼ寝たきりの父ですが、たまに人の集まる活気ある場所に連れ出すことは、本人にとって良いエネルギー補給になるようです。最近の劇場は、車いすがそのまま入れるスペースが確保されているので、父のような人でも気兼ねなく舞台を楽しめます。劇場の異空間は、付き添いの方にも良いリフレッシュの場になると思いますので、ぜひ活用していただきたいです。
14年近く父の介護をしてきて思うのは、自分がつらくなると、介護されている人は、もっとつらくなってしまうということ。介護には、経験した人にしかわからない怖さや厳しさ、つらさがたくさんありますが、「自分を追い詰めないでほしい」「状況を受け入れて楽しく生きてほしい」と伝えたいですね。そのためには人目を気にせず、周りに助けを求めることも大切。必要であれば、その矛先を劇場に向けてみてください。「舞台を観る」というつかの間のひと時が、少しでも皆さんの助けになれば幸いです。

高島礼子 (たかしまれいこ)
1964年7月25日生まれ。神奈川県出身。1988年ドラマ『暴れん坊将軍Ⅲ』でデビューし、1993年には『さまよえる脳髄』で映画初主演を果たす。以降、『陽炎』シリーズや『極道の妻たち』シリーズなどの任侠映画をはじめ、時代劇・現代劇問わずさまざまな映画、ドラマに出演。
2001年には映画『長崎ぶらぶら節』で日本アカデミー賞・優秀助演女優賞を受賞した。近年は、映画の吹き替えや舞台、海外作品への出演と、さらに活躍の場を広げている。

おんなの家

 

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