健康・お金・生活

脳梗塞あとの在宅生活を助ける住環境の整備と福祉用具

発症後、多くの人に後遺症が出る脳梗塞は、退院後の生活に不安を抱く方が多いようです。
自宅のバリアフリー化や福祉用具の活用が、在宅生活を続ける鍵になります。

生活習慣が発症に影響する脳梗塞

 主治医の意見書によると、65歳以上の方が要介護状態になる原因の第1位は「脳血管疾患」で、全体の26%以上を占めます。
 脳血管疾患とは脳の血管が詰まったり切れたりする病気で、脳梗塞(のうこうそく)、脳出血、くも膜下出血などの総称です。
 厚生労働省の統計によると、脳血管疾患で命を落とした人のうち約60%が脳梗塞とされています。
 その原因はご存じの方が多いと思いますが、喫煙や多量の飲酒、ストレスなどの生活習慣が影響することがわかっており、高血圧や動脈硬化、脂質異常症、不整脈、高血糖などがある人で発症しやすくなるといわれています。

発症後多くの人に後遺症

 脳梗塞は、発症すれば命に関わる危険な病気です。たとえ一命を取りとめても深刻な後遺症を残すことが多い怖い病気でもあります。
 ほとんどの後遺症は左右どちらかの半身マヒで、体の半分が動かせなくなったり、感覚がなくなったりします。
 後遺症があると、寝起きや屋内外の移動(歩行)、食事、入浴、排せつといった発症前であれば何も考えず当たり前にできた日常生活動作の全てに影響が出ますし、他にも言語や視覚の障害、感覚障害を伴うこともあります。
 脳梗塞を発症すると多くの場合、手術、治療、リハビリを経て、およそ半年間入院した後に自宅へ戻ることになります。
 今月は、昨年夏に脳梗塞を発症し、自宅へ戻ることになった70代男性のお話をしたいと思います。

退院後、自宅での生活に大きな不安

 先日、福祉用具をご依頼いただいた70代の男性は、お子さまたちは独立され、奥さまと2人暮らし。脳梗塞を発症する前までは元気にお仕事をされていました。
 入院しながらのリハビリがほぼ終わり、退院の見通しが立ってきた頃「住環境の整備と、ベッドや車いすなどの福祉用具の選定をして欲しい」というお話でした。
 ご本人にお会いしたところ、半身マヒはあるものの短い距離なら杖で歩行ができ、コミュニケーションも十分取れる状態でした。
 しかし奥さまから見れば、今まで当たり前にできていたことが一人ではほとんどできなくなっており、「自宅は段差が多く、つかまるところもない、転ぶのではないか」「トイレや入浴も今のままではできない、どうすればいいのか」「本当に自宅で生活できるのだろうか」「自分一人で介護できるのだろうか」そういった強い不安をお持ちの様子でした。

自宅暮らしをかなえる住環境整備と福祉用具

 早速、ご自宅を拝見させていただきました。確かに段差が多く住環境の整備や、移動や動きを助ける福祉用具が必要です。
 リハビリを担当されたPT(理学療法士)と、OT(作業療法士)の意見を参考に、ご本人の希望もお伺いして、次のようなご提案をさせていただきました。

【住環境の整備】
 ●浴室を含めた手すりの取り付け
 ●段差の解消
 ●トイレの便器の方向転換

【福祉用具】
 ●4点杖のレンタル
 ●外出するための車いすのレンタル
 ●介護用ベッドのレンタル
 ●入浴補助用具(入浴いす、浴槽 内いす、入浴台)の購入

4点杖/自立するため安定感がある。歩行が不安定な方、筋力が低下している方に向いている。

4点杖/自立するため安定感がある。歩行が不安定な方、筋力が低下している方に向いている。

レンタルと購入用具については何種類かを事前にデモンストレーションさせていただき、一番使いやすいものを選定しました。
 そして、退院の日を迎えました。
 最初は使い慣れていない物ばかりですから、使い方を丁寧に説明させていただいても、全てをスムーズに使いこなせるというわけにはいきません。しかし、お2人共、現実を受け入れて前向きに用具を使いこなすための工夫や努力をしてくださったようです。
 一週間後、ご様子を伺うために訪問してみると、「自宅で生活ができる」という安堵の笑顔と共にお話をしてくださいました。私には、こうした笑顔が一番のモチベーションになります。
 環境整備や上手に福祉用具を活用することは、ADL(日常生活動作)の向上につながり、自宅での生活が可能になります。

斉藤豊男さん斎藤 豊男(さいとうとよお)
株式会社けんこうぷらん 代表取締役
福祉用具専門相談員 
福祉住環境コーディネーター

 

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