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残すより抜いたほうが良いときって?お口の健康を守る抜歯

「えっ! 本当に抜く必要があるの?」と思った歯を抜かれるのは、誰しもショックなものです。
しかし全身の健康を守るという意味で、抜歯が必要なときもあるのです。

残すより抜いた方が良い場合がある

 皆さまの中には、歯医者さんに「抜歯します」と言われた経験がある方もいらっしゃるでしょう。
 横や斜めに向いている親知らずや、八重歯のように大きく歯並びから外れている歯の場合は仕方がないと思えても、それ以外は「えっ!本当に抜く必要があるの?」と、まず思われるかもしれません。
 私たち歯科医が入れ歯を新しく作る場合、歯をなくされた理由や経緯を伺いますが、「奥歯は以前の歯医者さんに抜かれたんです」と言う方がいらっしゃいます。「抜いてもらった」ではなく、「抜かれた」という表現をされるのです。
 こういった言葉を耳にした時、私たち歯科医は「患者さまとのコミュニケーションがきちんととれていなかったのかな」と思います。
 抜歯には、それなりの理由があります。今月は、歯を残すより抜いた方が良いのはどういうケースか、というお話をいたします。

ケース❶
虫歯が進行してしまい、健康な歯が8㎜以下になっている。あるいはそれ以上あっても残せる歯質が薄くなっている場合。

 虫歯が進行してボロボロになった歯をそのまま放置すると、細菌に感染して歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が溶ける、歯ぐきが腫れて痛みが出る、といったさまざまなトラブルが起きてきます。
 また、歯の根の先に細菌感染したことで膿(うみ)がたまっている場合もあり、こうなると骨に感染が広がることもあります。
 このようなときは歯を抜きます。

ケース❷
歯周病が進行してしまった歯の場合。

これが「歯を抜かれた」と訴える患者さまが最も多いケースではないかと思います。歯周病は、細菌によって歯を支える歯槽骨が溶けてしまう病気です。抜歯原因の40%以上が歯周病、という調査もあるほどです。
 虫歯のように歯が悪くなるわけではないので、「なにも抜かなくても……」と思われる方が多いのかもしれません。しかし歯がグラグラと動いている場合、そこにはたくさんの細菌が増殖しているということです。
 そうなると歯を支えている骨どころか、周囲の健康な歯や骨までもが、歯周病に侵されてしまう恐れがあります。
 また昨今、歯周病が心臓や腎臓、子宮といった全身のあらゆる臓器に悪影響をおよぼしていることがさかんにいわれています。お口の健康はもとより、将来の全身の健康管理の面からも抜かなければいけない場合があるのです。
歯周病

ケース❸
歯の根が割れてしまっている歯の場合。

 歯の根が割れてヒビが入ってしまうと、物を食べていて力が入らない、かむと痛いといった症状が急に出ます。
 私たち歯科医はレントゲン撮影などでヒビの程度を診断し、なるべく抜かないように修復を試みますが、それでも人が1回にかむ力は、その人の体重分といわれています。毎日の食事による衝撃は相当なものです。ヒビが大きくなってくると、ヒビから入り込んだ細菌に歯の神経が侵されて痛んだり、歯ぐきが腫れてきたりします。このような場合、歯を抜かなければならなくなります。

抜歯を防ぐためにできること

歯と全身の健康のために
 以上のように、私たち歯科医は「まずは最大限に歯を残す」ことを第一に考えて日々の診療をしていますが、前述の理由や、患者さまのさまざまな全身状態などを考慮すると、どうしても歯を抜かなければいけない場合があります。
 前述の3つの症状を未然に防ぐためには、なんといっても定期的な歯科検診が重要です。
 虫歯になっている歯はないか、歯周病になりそうな歯はないか、もしあったときは進行はどの程度なのか、かみ合わせは以前と比べて変わっていないか、強く当たっているところはないかなど、定期的な歯科検診でチェックしてもらうことがとても大切です。
 

柏原毅さん柏原 毅(かしわばらたけし)
医療法人社団高輪会 診療部門統括院長
公益社団法人日本口腔インプラント学会 専門医 代議員
医療法人社団高輪会(いりょうほうじんしゃだんたかなわかい)故深井眞樹(歯学博士)により昭和54年に日本歯科医療教育発祥の地、東京都港区は高輪に第一号の診療所を開院、昭和62年7月に医療法人社団高輪会設立。平成5年訪問部門を立ち上げ、日本で初めて組織的に歯科訪問診療を開始。訪問歯科診療のパイオニアとして、日々変化し続ける歯科医療現場において、最新の技術・知識を持てるよう教育に力を入れ、北海道から九州まで診療所を展開。
理事長 相浦洲吉

 

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