特集

おひとりさま必見!転ばぬ先の生活サポート【保存版】

頼れる身内が近くにいないとき、もし急な病に倒れたり災害やトラブルにあったりしたら……あなたならどうしますか?
今月は、いざというときのために知っておきたい支援制度や備えておけばきっと役立つ知識を特集します。

将来に備える「頭の保険」任意後見制度

 一人暮らしをするシニアが増えています。2014年の厚生労働省調査では、シニア(65歳以上)の人がいる世帯のうち48・8%は、シニアの単身世帯となっています。「病気のときなどに頼れる人がいない」というシニアも増加し、2015年の内閣府調査では、子どもがいない一人暮らしの男性の約35%を占めていました。その一方、高齢化の影響から認知症や脳梗塞など、病後に介護が必要となる病気にかかる人も増えています。
 もし急な病に倒れたときに身内がいない、いたとしても遠方で頼れる人が身近にいなかったとしたら、あなたはどうしますか?入院手続きをはじめ住まいや資産管理のことなど、不安は尽きないのではないでしょうか。「そんなときの助けとなるのが、任意後見制度です」そう教えてくださったのは、司法書士の勝猛一氏です。
 認知症などで判断能力が不十分になったとき、家庭裁判所に認められた後見人(法定代理人)が本人の代わりとなって、生活面や資産管理などを支援してくれる「成年後見制度」はよく知られるようになりましたが、この制度の場合、申立人は原則「四親等内の親族」と定められています(四親等内の親族がいない場合、市区町村長がこれに代わります)。つまり、頼れる身内がいない人にとっては、利用しがたい制度といえます。
 一方、任意後見制度の場合、申立人は親族だけではなく、本人はもちろん司法書士や税理士、社会福祉士など自分が信頼のおける人に自由に依頼することができます。そして、まだ判断能力があるうちに自分で後見人を決め、将来について自分で考え備えておくことができるのです。「任意後見制度は、まさに頭の保険ともいえる制度です」と勝氏は言います。

単身シニアに最適な制度

任意後見は ①見守り契約/財産管理等委任契約 ②任意後見契約 ③死後事務委任契約 ④遺言執行の4点からなりますが、後見人にどこまで委任するのかや、報酬も話し合いで自由に決められます。
 例えば「見守り契約」は、実際に任意後見が必要となるまでに後見人と疎遠にならないよう定期的に電話連絡や訪問を受け、判断能力の衰えや健康状態を把握してもらうことができます。認知機能や判断能力の低下は、自分ではなかなか気付きにくいものです。判断能力が不十分になってくると、お金の管理がうまくできなくなり、詐欺や悪徳商法の被害に合いやすくもなります。
 任意後見契約は、「本人の判断能力が不十分」と医師に診断されたときに発効され、その後は、財産管理をはじめ終末期医療から死後事務(葬儀社の手配から自宅の後片付け)、相続のことまで、後見人とあらかじめ約束しておいた自分の意思に沿って進められます。
 任意後見契約が発効されると、後見人が約束通りに仕事をしているかを監督する「任意後見監督人」が家庭裁判所から付されますが、「財産全てを後見人に委ねるのは不安」というときは、生活に必要な資金以外は信託会社が保全してくれる「士業支援信託」などを利用するのもよいでしょう。
 また、入院や高齢者施設へ入居する際、たいていは保証人が必要となりますが、近年は保証人がいないシニアが増えてきており、社会問題となっています。このような場合、身内の代わりとなって身元を保証してくれるNPO等を利用する方法もありますが、「任意後見契約を結んでいて後見人がいる場合、入院や施設入居が認められるケースも増えてきています」と勝氏は言います。
 任意後見制度は、一人暮らしで先々が不安というシニアに最適な制度といえそうです。

任意後見契約が発効される流れ

勝 猛一さん司法書士 勝 猛一(かつたけひと)
大阪と東京に事務所を置く「勝司法書士法人」の代表社員。成年後見を中心に遺言・信託・相続のセミナーや勉強会の依頼は年50回以上。情報誌への寄稿多数。著書に「相続請負人」など。テレビ朝日「モーニングバード」出演など各方面で活躍中。

 

知っておくと安心につながる知識&生活サポート

もしも1 災害にあったら

 地震や台風などによる災害は、いつ起きてもおかしくありません。防災用品を備えるとともに、自分の住む地域はどんな災害が起こりやすいのかをハザードマップで確認したり、離れている家族とは連絡方法を確認しておきましょう。

❶ 災害用伝言ダイヤル
 災害時に被災地への通信が混雑してつながりにくくなった場合に提供される伝言ダイヤルです。
「171」にダイヤルして、家族や知人に伝言を残したり聞いたりすることで、安否確認や避難場所の確認ができます。

もしも2 生活が不便になったら

 買い物、食事の支度、掃除といった日常生活における負担や、社会的孤立に対する不安は夫婦・3世代世帯よりも、単身世帯の方が大きいといえます。単身生活を支援するサービスは自治体によって違いますが主なものを紹介します。
❶ 見守りサービス
 各自治体では、電話や訪問、配食、コミュニティ活動などを通じた「見守りサービス」を提供しています。こうした地域の取り組みに頼ることも大切です。
❷ 買い物のサポート
 一部の自治体では地域のNPOと協力し、利用者に代わって買い物をする「買い物サポート事業」を展開している地域があります。料金、利用回数、制限量、対象エリアもまちまちなので、お住まいの自治体に確認してみましょう。
❸ 引っ越しサポート
 低所得高齢者に向けた、厚生労働省の「住まい・生活支援モデル事業」をご存じですか。自治体によって内容や実施期間は異なりますが、転居時の物件探しから転居後の生活支援、不動産契約時の同行、空き家を活用した住まいの提供などを支援しています。参加している自治体は北海道、岩手、神奈川、京都、福岡、大分などの一部地域ですが、まずはお住まいの自治体に確認してみましょう。

もしも3 病気や事故にあったら

急病などの緊急時に一人で適切な判断や行動をとるのは難しいものです。もしものとき冷静に対処できるよう備えておきましょう。
❶ 救急相談(安心)センター
 体調が優れないけれど、救急車を呼ぶべきかどうか判断に悩むときの相談窓口です。
「#7119」にダイヤルすると、看護師などの相談員が緊急性を判断し、応えてくれます。 救急相談センターは東京、札幌、横浜、愛知、奈良、大阪、福岡の7地域のみですが、「医療電話相談窓口」は各地域に存在するので調べておくことをお勧めします。
❷ タクシー番号
 地元タクシー会社の電話番号を控えておくことも重要です。 地域によっては「救援タクシー」というサービスを提供する会社もあります。サービス内容は各社異なりますが、病院の送迎や受付、介護タクシーの役割を果たすところもありますので、調べておきましょう。
❸ 緊急通報システム
 急な発作や事故の際、身に着けているペンダント型の発報器や、通信機本体の緊急ボタンを押すことで、自治体の協力機関や救急車の救助、民間事業者の救援を得ることができるシステムです。自治体によっては貸与している地域もあるので調べてみましょう。
❹ 救急医療情報シート(キット)
 名前、住所、緊急時の連絡先、持病、かかりつけ医療機関などの情報を記入し、携帯するか自宅の目立つ場所に保管します。
 もし本人が意識不明でも、救急隊や搬送先の医療機関が参考にできるので適切な処置に役立ちます。
救急医療情報シート(キット)は多くの自治体で配布しています。
❺ 入院時に必要な物
 急病で倒れてそのまま入院となった場合、一人暮らしでは入院の準備もままなりません。下の入院準備品リストを参考に、必要な物をあらかじめまとめておけば、いざというときに慌てずにすみます。

入院準備品リスト

 

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