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心の不調や軽い認知症がフレイルを引き起こす?!健康長寿のカギはフレイル予防⑧

あなたは「フレイル」という言葉をご存じでしょうか?
体重が減ってきた、疲れて何もやる気が出ない、歩くのが遅くなった……などを感じたら、それはフレイルかもしれません。
介護予防のために知っておきたいフレイルの話、第8回です。

「フレイル」は要介護になる前の虚弱

健常なときから介護が必要となるまでの中間段階として、人によってその期間に長短の差はありますが、「フレイル」(虚弱)とよばれる状態があります。
 フレイルでは、加齢に伴って食欲が落ちるなどの理由から食べる量が減り、体重が減少し、低栄養を招きます。低栄養状態では疲れやすく、活動量が減り、動かないことで筋力が低下して、ますます身体機能が衰えていく……このような一連の負の連鎖を「フレイル・サイクル」といいます。
 ただし、フレイルは身体的な側面だけではなく、認知機能の低下やうつ症状などが現れる「精神・心理的フレイル」を合併する傾向があります。精神・心理的フレイルがあると、身体的フレイルが進みやすいといわれていますので、自分の今の認知機能や精神状態に意識を向けることも大切です。

軽度の低下なら認知機能は取り戻せる

2025年には65歳以上の4人に1人は認知症になると推計され、誰もが無縁とはいえない病気ですが、最近のアルツハイマー型認知症の研究では、発症の約20年〜30年前から脳内に変化が起きていることがわかっています。
 アルツハイマー型認知症の進行度は、①前臨床期(バイオマーカーは陽性だが無症状) ②前認知症(MCI)期 ③認知症期、の3つに分類されます。認知症期になる前のMCI期までに、脳の変化を早期に発見し早期に対応することが、精神・心理的フレイル予防の重要なカギとなっています。
 ある研究では、MCIと診断された人のうち、その後、認知機能が正常と判定された人の割合は14%〜44%でした。つまり認知機能が回復したわけです。そういった人たちの中には、診断を機に脳活性化プログラムを取り入れるなどして生活習慣を見直した人が含まれていました。
 MCIが治療により改善しなかった症例では、診断された時点で、すでに神経細胞に不可逆的なダメージが進行していたとの指摘があります。そこで、さらに早期から始める予防措置、すなわち認知機能の低下を予防するための生活習慣や食生活の改善、運動、知的活動などを行うことが有効と考えられています。

老年期はうつになりやすい

フレイルになると、「うつ」症状を併発することがよくあります。
 うつは、脳の海馬を萎縮させるため、MCIと関連することも知られています。
 知っておいていただきたいのは、「うつ=うつ病」ではありません。しかし単なるうつ状態と病気のうつを区別するのは難しいものです。
 65歳以上に多い「老年期うつ」は、気分がめいる、物事に対する興味や喜びがない、食欲がない、よく眠れない、いつも体がだるい、集中できないといった症状が、2週間以上にわたってほぼ毎日続く状態です。
 老年期は、環境の変化が一度に起こる時期であり、新しい環境に慣れにくくストレスをため込みやすい時期です。家族も本人もうつ状態を「老人ゆえ」と思い込み、うつと気付かないこともあります。
 そして、老年期に起こりやすいうつは、認知症と区別がつかない症状(うつ病性仮性認知症)もありますので注意が必要です。また、うつと認知症以外に、フレイルで認められる精神症状として「アパシー(無気力・無関心)」と「不安」があります。アパシーはうつとよく似ていますが、自責感、悲哀といった感情はみられません。
 このようなうつ症状やアパシーなどの疑いを抱いても、世間体を気にして精神科などの専門科は、受診しづらいこともあるでしょう。そんなときは心療内科や神経内科、脳神経外科などでも診察・治療を受けられますので、自分や家族だけで解決しようと悩まないことが大切です。

加齢に伴う心の変化を知っておこう

Dr.モリの転ばぬ先の杖

 

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