インタビュー

喜劇役者 伊東四朗さん

輝く人 インタビュー 2月号 Vol.77

「いい出会いがたくさんあっていつも誰かが扉を開けてくれる」

コメディアンに役者、ときには司会者として、あらゆる役をこなす喜劇役者・伊東四朗さん。
戦争での疎開体験から、芝居に目覚めて喜劇役者・伊東四朗が誕生するまでの軌跡、そして頭の元気を保つヒケツも伺いました。

子どもの頃から喜劇が好きで演じることも楽しかった

芝居を観るようになったのはいつ頃からですか?

 最初の芝居は、3歳か4歳の時に新橋演舞場で観た『勧進帳』です。一番上の兄が、喜劇が大好きでね。私も好きになりました。疎開先の静岡の映画館では、一緒に行った兄貴と観たいものが違って、一人で喜劇を観たこともありましたよ。まだ小学生だったのに、よっぽど喜劇が観たいと思ったんでしょうね。
 自分で演じたのは、兄貴が作った素人劇団で、浮浪児役を頼まれたのが最初です。中学に入ってからは『さるかに合戦』の猿役をやって、その時にふと、最後に1人だけ閉まりそうな幕の外に出たらどうなるか?と思って、実際にやってみたんですね。すると計算通り幕が自分の背後で閉まってくれて。
いけねって頭をかいたらそれがバカウケした。その感覚が、今でも忘れられないんでしょうね。

もともと人を笑わせることがお好きだった?

 疎開先でいじめられることもありましたから、人を笑わせることが子どもなりに考えた中和するための方法だったんじゃないかな。
 就職試験は見事に全部落ちたので、高校卒業後は早稲田大学の生協で牛乳のふたを開けるアルバイトをして、日曜祭日は東大の売店と食堂で働きました。アルバイト仲間だった早稲田の初代落研会長と一緒に、漫才をしたり芝居を書いたりしながらね。それである時、好きだった歌舞伎の松綠(しょうろく)(二代目尾上松綠(おのえしょうろく))さんにアドバイスをもらおうよと、いきなり楽屋を訪ねたんです。そうしたら松綠さんは、初対面の私たちを突き返すことなく台本を見てくれて、「いいか、君たちは楽しんでやりなさい。
苦しんでやるのは我々プロ、アマチュアは楽しむこと」と。その上、四代目坂東鶴之助(後の五代目中村富十郎)さんを呼んで女方の振りまで付けてくださった。これは忘れられません。

運命のトビラはいつも誰かが開いてくれた

喜劇役者・伊東四朗が生まれたきっかけは?

 当時、私は軽演劇を観たくてストリップ劇場に通っていたんですが、いつも座るところが決まっていてね。それが舞台上から目立っていたようで、ある日、石井均(きん)さんに声を掛けられて楽屋に入り浸るようになりました。そのうち「出てみるか?」と誘われたのが最初のきっかけですね。

その後は「てんぷくトリオ」として活躍し、小松政夫さんとの名コンビや、ベンジャミン伊東の「電線音頭」で一躍人気者に。

 トリオはね、始めからトリオでやろうぜってわけじゃなかったんですよ。2人でやっていたのがたまたま3人になって……。私はずっと人に寄りかかってここまで来ていますから、自分から切り開いた記憶がないんですよ。芝居をやっていても、いつかは主役にという欲はない。主役の話がきても、脇役をやっている伊東を主役にしたら面白いと思ったのかなと。いい出会いがたくさんあって、いつも誰かが次の扉を開けてくれていた気がしますね。

健康面で気を付けていることはありますか?

 我々の仕事は、せりふを覚えて頭の中でただ反芻(はんすう)しているだけじゃダメなんですよ。せりふは覚えたら自然に喋れるようにならないと。例えば、円周率をスラスラと言えるようになれば、その上にセリフを乗せたらスーッといけるんじゃないかと単純に思って、1000桁まで覚えたことがありました。普段それをブツブツ言ってますよ。変人ですよね。他にも百人一首を全部覚えてみたり、世界の国名を順に言ってみたり。
だって頭はどんどん衰えていきますからね。たとえ変なおじさんでも日頃からそうしていれば、少しでも長持ちするんじゃないかと。

今回の出演作『三屋清左衛門残日録 完結篇』では、時代劇で難しい長ぜりふもあったのでは?

 前作なんてかなり長ぜりふがあって、どうしようかと思っちゃったよ。でも相手が北大路欣也さんだったからできたかなと。私の役どころは、欣也さん演じる主人公・三屋清左衛門の親友なんだけど、実際も、欣也さんとは随分長い付き合いでね。そういう人とはやりやすいですよ。欣也さん(三屋)とは、言いたいことが言える間柄なんだぞっていう雰囲気を出したいと思いながら演じましたよ。

三屋は隠居老人、かたや伊東さん演じる佐伯は現役町奉行。どちらの生き方に共感しますか?

 少しでも長く現役で、と欲をかいて流れに任せていきたいなと。
これまでもそうやってきたしね。ただ、誰にでも辞める時はあるわけで。その時はいつの間にかいなくなっていたいですね。「あれ?最近、伊東四朗見ないね」「それが、どうやら辞めたみたいよ~」なんてね。記者会見?絶対やりませんからね(笑)。

伊東 四朗 (いとう・しろう)
1937年生まれ。’58年に浅草の松竹演芸場でデビュー。’61年に三波伸介、戸塚睦夫と「ぐうたらトリオ」を結、’63 年に「てんぷくトリオ」に改名。’76年に『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』で電線音頭のベンジャミン伊東で大ブレイク。以後、『おしん』や『笑ゥせぇるすまん』などに役者として出演するほか、バラエティ番組『伊東家の食卓』や『脳内エステ IQサプリ』の司会者としても活躍する。芸歴60年近い今でも、ルーツである喜劇の舞台を大切にしている。
BSフジで2月11日(土)夜7時から放送予定のドラマ『三屋清左衛門残日録 完結篇』では、主人公・三屋清左衛門の親友である町奉行・佐伯熊太を演じている。

三屋清左衛門残日録

 

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